シーズン開幕前は上位候補の一角に挙げられながら、結果は降格圏外ギリギリの17位に終わったサンテティエンヌ。シーズン序盤に司令塔のパスカル・フェインドゥノ(ギニア代表主将)がカタールに移籍したり、ル・マンから獲得した松井大輔が期待通りに活躍できなかったりしたことなども低迷の原因に挙げられるが、リーグ・アンで下から2番目という守備(56失点)が最大の弱点だった。

 その結果、もっとも責任を問われるのはGK。過去2シーズンにわたってサンテティエンヌのゴールを守ったのは、ジェレミー・ジャノ(31)とジョディ・ヴィヴィアニ(27)のふたりだった。ジャノは監督交代とともに守護神の座を奪回したが、DFの脆さをカバーできずに失点を重ね、首脳陣から信頼を失いつつある。

 ヴィヴィアニが移籍を求めていることから、サンテティエンヌは現在、来季1部に昇格するモンペリエのジョアン・カラソ(フランス代表GKセドリック・カラソ=トゥールーズの弟)、元フランス代表守護神グレゴリー・クペ(アトレティコ。マドリー)、ヴァンサン・プランテ(カーン、来季2部降格)らの獲得を急いでいる。

 これに対してジャノは、17日付のレキップ紙に「競争は恐れていない。ただクラブがフランス中のGKとコンタクトをとっているのを見ると、馬鹿にされているような気がする」と怒りをあらわにしている。ジャノはサンテティエンヌを去る意思は否定したが、「いつも最初に代えるべきところが自分となると我慢できない。16年間もチームにいるのだから、もっと率直に話をしてもらいたい」と不満をもらしている。

 ジャノは1996年にサンテティエンヌでプロデビューし、今年4月に通算300試合出場の記録を打ち立てたばかり。176センチとGKとしては小柄ながら、04年から05年にかけては、ホーム無失点のリーグ記録(1534分)を塗り替えたこともある。スパイダーマンそっくりのユニフォームでゴールマウスを守ったり、ブラジルの格闘家ヴァンダレイ・シウバの大ファンで後頭部にはシウバと同じ刺青を入れているなど、話題に事欠かないチーム屈指の人気選手だ。長く試合に出られなかった松井の復活を喜んだよき理解者でもある。