フランスのリーグ杯3回戦の5試合が23日に行なわれ、リーグ・アンのヴァランシエンヌとナントが敗れる波乱が起きた。ヴァランシエンヌはPKの末、今シーズン2部に昇格したばかりのヴァンヌに屈し、ナントは3部のクレテイユに0―1で敗れた。

 ナントはリーグ優勝8度を誇る名門だが、一昨年2部に陥落、昨シーズンは2部で2位と好成績をおさめ、すぐにリーグ・アンに復帰したものの、これまで6試合で1勝(4敗1引き分け)と振るわない。わずか3試合を終えたところで監督解任、第5節から前トゥールーズ監督のエリ・ボープ氏を新監督に迎え、20日の第6節(対ヴァランシエンヌ)でようやく今季初白星をあげたところだ。

 ボープ新監督は試合後レキップ紙に「心配はしていない。ケガ人や出場停止で3日前の試合に出た選手は2人しか使えなかった。いまはまだチームの立て直しの最中。結果を見ながらどんどん選手を入れ替えていく」と、さほどショックを見せていない。

 リーグ杯は、フランス・サッカー連盟(FFF)が主催するフランス杯と異なり、プロ・サッカー連盟(LFP)が主催のトーナメント戦。リーグ・アン、リーグ・ドゥに所属する40クラブに前シーズン2部(リーグ・ドゥ)から降格した3クラブと3部ながらプロリーグに加盟している2クラブ(クレテイユとイストル)を加えて争われる。

 1回戦は2部の前シーズン下位5チームと今シーズン昇格した3チーム、3部の2チームの間で行なわれ、2回戦から2部の残り15クラブが加わり、3回戦からリーグ・アンのクラブが参戦するが、今回リーグ・アンの2チームが敗れたのは、いずれも1回戦から勝ち上がってきたチームだった。

 このリーグ杯、毎年その“存在意義”を問う論議が浮上する大会。フランス代表のレイモン・ドメネク監督は、過密スケジュールを理由に“廃止論”を掲げるひとりだ。昨シーズンは決勝でパリ・サンジェルマン(PSG)のサポーターが対戦相手のランスに対し、侮蔑的な横断幕を掲げ大問題になり、いったんはPSGの出場資格が剥奪(最終的には決定が覆され、出場できることになった)されるなど、ネガティブな要素は尽きない。

 リーグ・アン残留が今季の至上命題であるナントのボープ監督がリーグ杯敗退をことさら重大に受けとめていないのも、その表れであるかも知れない。

 24日には3回戦の残り9試合が組まれており、うち4試合がリーグ・アン同士の対決。とくにモナコ対PSGが注目のカードだ。