チャンピオンズ・リーグ(CL)の決勝戦を21日に控えたチェルシーのアブラム・グラント監督が、対戦相手のマンチェスター・ユナイテッドに対し、早くも心理戦を仕掛けた。マンUがプレミアリーグの優勝を決めた11日のウィガン戦で、主審から有利な判定を受けたと指摘。しかし、敵将のアレックス・ファーガソン監督は、グラントの発言について、「CL決勝に向けた布石だろう」と軽くいなしている。

 優勝決定が最終節にまでもつれ込んだ今シーズンのプレミアリーグ。結局、ウィガン戦に2-0で勝利したマンUが、ボルトンに引き分けたチェルシーに勝点2差をつけて優勝を決めた。しかし、グラント監督はウィガン戦でマンUが主審のスティーブ・ベネットから有利な判定を受けていたとコメント。ペナルティエリア内でリオ・ファーディナンドが犯したハンドを見逃し、ポール・スコールズは退場を免れたとして、イングランドではマンUに有利な笛を吹く審判が存在すると語っている。

「あの試合で主審は片方のチームに有利な笛を吹いた。予想通りだったがね。イングランドには素晴らしい審判が存在する。しかし、特定のチームに有利な笛を吹いてしまう審判もいるようだ」

 一方、グラントの発言に反論したマンUのファーガソン監督だが、その口調は穏やかだ。この老将は、このイスラエル人監督がCL決勝に向けた心理戦を仕掛けてきたと指摘し、感情的な発言は避けている。

「予想した通りだ。グラントは、土曜日の試合について語っているが、実際は水曜日のファイナルや来シーズンに向けた布石を打っているに過ぎない。審判の判定についてなら、いくらでも話したいことはある。結局は、どんな判定にだって不満は付き物なのだから。いずれにしても、我々がシーズンを通して有利な判定を受けたとは思っていない。恐らく、先月のチェルシー戦で優勝を決めていればこんなことを言われずに済んだのだろうがね。水曜日の試合を前に、アブラムは心理的に優位に立ちたかったのだろう」

 プレミアリーグで優勝争いを繰り広げ、CL決勝でも対戦することになったマンUとチェルシー。先に心理戦を仕掛けたグラント監督に対し、老将ファーガソン監督も穏やかに反論するなど、ピッチ外での争いはすでに始まっている。21日のファイナル当日まで、指揮官同士の手の内の探りあいは続くことになりそうだ。