⼈⽣を豊かにするのは“国語⼒”!?東⼤所属の講師たちがレクチャーする国語特化塾「ヨミサマ。」の強みとは?
中学・⾼校・⼤学受験で重要なのは、問題を解いて得点を取ること。しかし、それ以上に重要なのが「思考⼒を育むこと」だ。しかし、その思考⼒はどうやって⾝につければよいのだろうか。
【画像】「ヨミサマ。」を展開する株式会社 Overfocus 代表取締役の神⽥直樹さん。通信制⾼校から東京⼤学に進学、そして世界最⼤⼿のコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーに⼊社した経歴を持つ
そんな思考⼒を養うプログラムを提供しているのが、国語専⾨のオンライン個別指導「ヨミサマ。」 だ。東⼤⽣をはじめとする最難関⼤学の講師陣が、マンツーマンで国語力を伸ばすことに特化しており、さらに、国語⼒が向上すれば国語の成績だけでなく数学や英語など他の科⽬にも良い影響を与えるという。
なぜ国語⼒を伸ばすことで思考⼒が鍛えられるのだろうか。今回は「ヨミサマ。」を運営する 株式会社Overfocusの代表取締役・神⽥直樹さんに、ヨミサマ。の特徴や魅⼒、国語⼒を鍛えることのメリット、そして⼦どもの学⼒を伸ばすために必要なことについて聞いた。
■ドイツの日本人学校時代、東大進学を志した神田さん
――神⽥さんは⼀切塾に⾏かずに、通信制⾼校から東京⼤学にトップクラスの成績で合格さ れたと聞きます。⼩さいころから勉強熱⼼なタイプだったのでしょうか?
【神⽥直樹】実はそんなことは⼀切なくて…(笑)。私は1998年に茨城県で⽣まれ、保育園時代は祖⽗⺟と⼀緒に住んでいました。当時は今ほど勉強や教育に熱⼼ではなく、なんとなく「⾜が速いやつはかっこいい」くらいのことしか思っていませんでした。また、その保育園は子どもたちを裸足で遊ばせる教育をする特殊なところだったので、自分も次第に足が速くなりました。
【神⽥直樹】僕は特別速いほうではなかったのですが、その後、東京に引っ越して都内の⼩学校に転校すると、みんな⾜がすごく遅いことに気がついて…。相対的に⾜が速くなったおかげで⾃⼰肯定感がむくむくと成⻑しました。
【神⽥直樹】中学校に上がるタイミングでドイツのミュンヘンに引っ越し、12歳から19歳まで約7年間住むことになりました。⽇本⼈学校に入った当初もあまり勉強はしなかったのですが、定期テストなどでクラスメイトに後れを取らないように、次第に勉強をするようになりました。
――それが神⽥さんの勉強との出会いだったのですね。そこから、どのようにして東大を目指すようになったんでしょうか?
【神⽥直樹】中学3年生のときに東大を目指し始めました。背景を説明すると、当時僕が通っていた日本人学校の中学校って全学年合わせて20数名っていう、すごく⼈数の少ない学校だったんです。⼀⽅で、設備やカリキュラム、先⽣の数は⽇本の学校と⼀緒なんですね。つまり、先⽣の数が⽣徒と同じくらい存在することになるんです。また、生徒の⽗親は駐在員が多く、⼀⽅で⺟親はたいていは配偶者ビザで住んでいるために、基本的に専業主婦になります。
【神田直樹】結果として、ひとりの⼦どもに対しての⼤⼈の⽬線がすごく多いですよね。⼀般的にはいいことかもしれませんが、これが僕にとってすごく苦⼿で。そのうえ先⽣も熱意あふれる⼈ばかりだったので、通常の学校では放任されるようなところも、さまざまな注意だったり指導だったりを受けており、ある意味、息苦しさのようなものは感じていました。そのような指導の中でも、「大人である先生が考えていることは正しい」、というような圧を感じてしまい、あまり自主性が認められていないなと感じていました。いわば「優等生をつくる」ということに熱心な大人が多かったような気がします。
【神⽥直樹】そのような経験を背景に、⽇本の教育体制に対して疑問を抱くようになりはじめ、そのときから⾃分⾃⾝で学校を作りたいと思うようになりました。そのためには、日本で一番良い教育を受けてきたであろう人たちが、どのような教育を受けてきたのかを知りたいと考え、東⼤を⽬指し始めました。これが中学3年生のことです。
――そこからどのように勉強を開始されたのでしょうか?
【神⽥直樹】僕は当時成績がすこぶる良かったわけではないので、このタイミングで「⽣きている時間の全部を勉強に捧げよう」ということを決めました。今の成績から東⼤に⼊るためにはリスクを取らなきゃいけないと思ったのですが、周りの先⽣たちはそんなルートで東大に入ろうとすることに、すごく反対してくるんですよね。僕のことを何も知らないし、「何か責任をとるわけではないのに、なんで無理だからって反対するんだろう」と感じたことを覚えています。そんな教師たちの姿を⾒たのが決定打になって、東⼤へ⾏く覚悟を完全に決めましたね。
【神⽥直樹】⽇本⼈学校にいた先生も、東⼤のことや東大に対しての勉強のことなんか本当は知らなかったですし、なんらかの責任を取ってくれるわけではないのに、自分の知っている範囲だけで判断をしているように、当時の僕の目には映っていました。僕の考える⼒が意思決定が軽視されているように思えたんですよね。そのような⼤⼈たちの姿が東⼤への思いを加速させ、結局、東⼤に⼊るためにひとりでの勉強をスタートし、通信制⾼校に⼊って勉強時間を確保し、首席に肉薄する成績で合格することができました。
■「ヨミサマ」が国語に特化するワケとは?
――神⽥さんが取り組んでいる「ヨミサマ。」とはどのような事業なのでしょうか?
【神⽥直樹】「ヨミサマ。」とは、東⼤⽣が作っている国語特化のオンライン個別指導です。講師たちが東⼤⽣や京⼤⽣など、難関⼤学の在学⽣なのが⼤きな特徴のひとつですね。⼀般的な学習塾で⾏われているような、講義形式の指導ではなく、「対話を通じて根本的な国語力を育てること」が⼀番の⽬的になります。
【神⽥直樹】ヨミサマ。のキャッチコピー⾃体が「成績は、国語で決まる。」というものなのですが、我々は頭の良さや成績はいわゆる国語⼒で決まると思っています。頭の良さには、相⼿の⾔っていることを理解する⼒、構造的に説明する⼒、知らないものに出会ったときに⾃分の知識と組み合わせて考える⼒、などさまざまあると思いますが、これらの基盤となるものこそが国語⼒ です。
【神⽥直樹】どういうことかというと、まず本に書いてあることや相⼿が⾔っていることを理解する、そしてそれを⾃分の頭の中で深く考えて、第三者に対して論理的にわかりやすい形でアウトプットする。この一連のプロセスを統制する⼒こそが国語⼒なのです。
ーーつまり、「国語力」は頭の良さそのものということですね。
【神⽥直樹】はい。例えば東⼤入試のための勉強はかなり国語力の重要性を意識しやすいと思います。東大合格のための勉強って、暗記マシーンみたいになることのよう に思われがちなのですが、実は全然違って。実際は、カンニングペーパーを試験場に持ち込んだとしても、とても合格できないような思考力が試される問題が出題されているんです。
【神⽥直樹】例えば東大入試の日本史などがわかりやすい例ですが、解答を作るのに必要な資料はすでに共有されており、その資料を正しく読み解かない限り、高得点は取れない仕組みになっています。自分の頭の中にあることだけで答えても得点はもらえないんですね。漫然と教科書を読むだけでは、そのような問題に対応できる力は育ちません。ここで問われているのが「問いを立てる力」、つまり、一見しただけでは素通りしてしまいそうな記述にも、疑問を持ち、それを言葉にする力です。
【神⽥直樹】例えば、僕は毎日何時間も家に籠って勉強だけいていたと思われがちですが、実際は少し違う勉強生活でした。ドイツには湖や川がそこら中にあるのですが、湖畔で物思いにふけりながら、ときには数学の問題や、世界史について考えたりしていました。本を持っていなくても考え事をするためには、知識が言葉として自分の中に格納されてなければなりません。だからこそ、国語力なのです。
【神⽥直樹】僕はこのように深く勉強するための⼟台というのが国語⼒だと信じています。⾔葉を通してさまざまなことを思考できることが結局は数学や理科、社会など他の科⽬を伸ばすことにもつながる考えています。
――国語を伸ばすことで他の教科はどのように伸びるのでしょうか?
【神⽥直樹】僕はすべての科⽬が国語の「拡張版」だと思っています。算数は例えば数式というひとつのルールを用いていますが、その本質は、ルールや与えられた条件を理解し、自己の知識と結び付けて解釈をし、適切な形でアウトプットをするという作業であり、それ自体は、まさに国語となんら変わるところはありません。
【神⽥直樹】実感としても感じていることがあります。実は僕は⼀度東⼤に落ちていまして。その後、受験勉強を再開した際に何をしたかというと、国語力を⾼めるために、現代文だけを1⽇11時間、4カ⽉ほどぶっ続けで勉強して、他の科目には一切手を付けなかったんです。もちろん国語の成績は⼀気に上がったのですが、興味深いことに何もしていなかった他の教科の点数もとんでもなく上がっていたんですよね。そこで、「国語⼒がすべてだ」と気がつきました。
【神⽥直樹】そういえば、最近の中学受験においても、理科や社会は暗記⼒よりも資料を読み解くという⼒を試すような⽅向が強まってきているように思います。このような問題は結局、使う材料が違うだけで、国語⼒がものを⾔うんですね。受験は国語⼒で決まると⾔っても過⾔ではありません。
――現在、ヨミサマ。の受講者はどれくらいの年齢層が多いのでしょうか?
【神⽥直樹】割合としては⼩学校5年〜高校2年⽣くらいの年齢の受講⽣が⼀番多いですね。国語に苦⼿意識を抱いている⽅がほとんどです。ですが、実際に苦手意識を持っていたとしても、国語ってどこが苦⼿かを測りづらい教科なんですよね。「⽂章を読んで登場⼈物の気持ちを答えなさい」という問題を解いてみても、自分の解答の何が間違いなのかって明確にわかりにくいですからね。
【神⽥直樹】だからこそ、国語はセンスが必要で、つかみどころのない科⽬だと思われてしまっており、放置されがちです。「勉強してもしなくても⼀緒じゃん」って。また、国語を教える側も⽣徒たちが何を理解して、何を理解できていないのかを把握できていないという問題もあります。授業を受ける側も、教える側も「なんとなく」になってしまう科⽬なんです。
――では、どのように国語を学習すればいいのでしょうか?
【神⽥直樹】一方的に説明を聞くだけだから、「なんとなく」のままになってしまうんですよね。であれば、解決法はシンプルで、双方向の授業をすることです。だから、ヨミサマ。では「対話」をベースに授業をするようにしています。いわば先⽣と⽣徒のおしゃべりですね。ヨミサマ。では、一方的な説明ではなく対話を通じて国語を学びます。
【神⽥直樹】先⽣は問いかけを⾏い、⽣徒が深く考えて答える、というプロセスを一回の授業で何度も繰り返すからこそ、「自分の答えがなぜ間違いなのか」を理解することができます。問いかけによって⽣徒は⾃分の答えを⾒直し、東⼤⽣など最難関大学生の思考の過程を追体験することで理解を深めていきます。
【神⽥直樹】我々は国語の学習において答えを教えるとか、その授業内でその⽂章を理解させるとかは重視していません。だから、僕らの授業を受けたあとには、むしろ受ける前よりも強い疑問が⽣まれることのほうが多いのではないかと思います。しかし、そのように疑問が増えるということは、また新たな観点をひとつ増やしたということでもあり、よりその文章を深く理解したということでもあるのです。⽂章をただ説明されることよりも「⽂章と向き合って、疑問を持って考える」ことが、国語の上達には不可⽋なのです。
【神⽥直樹】ヨミサマ。における最初のアプローチは、⽣徒の頭の中を覗くことにあります。⼦どもたちがどのように文章をとらえているか、どんな認識を抱いているかを確認しながら授業を進めていきます。ここまで丁寧に深くやるからこそ、「国語は結局センスなんだ」という考えから脱却できるんです。
――「国語はセンスが必要」という思い込みから抜け出させるのが⼤事ですね。
【神⽥直樹】もちろんセンスがある⼈もいますし、好き嫌いが分かれるものでもあります。ですが、国語は適切な学習を通していけば他の科⽬以上に点数が跳ね上がり、実⼒を伸ばせる 科⽬です。そういう認識を持ってもらうことが、スタートラインになりますね。
【神⽥直樹】そして、ヨミサマ。を3〜4カ⽉ほど受けていると、だんだんと国語への苦⼿意識がなくなります。これまで⽩紙だった解答に答えが書けるようになる。そして半年〜1 年後くらいには、他の科⽬に波及していきますね。論理⼒が⾼まるのと、文章の要点をとらえることができるようになるので、他の科⽬の成績も上がり始めます。
【神⽥直樹】私たちは基本的には言語でものを考えます。だからこそ数学も英語も理科も社会も、国語という下敷きがあってこそ理解ができるし問題を解くことができる。⽂章問題など、算数が苦⼿な⼦どもの課題が、実は国語⼒に潜んでいるということも結構ありますからね。
――他の科⽬においても、国語⼒の不⾜が原因で苦⼿になっていることもあるのですね。
【神⽥直樹】ヨミサマ。のスタンスは「まず、国語でしょ。」というものです。「うちの⼦は勉強ができない」と悩む保護者が本当に⾒直すべきなのは国語⼒であることが多いと感じます。算数や英語は点数に出やすいから塾にで学ばないと、となるのですが、実際には⽇本 語での思考⼒や読解⼒が不⾜しているパターンもよくあります。
【神⽥直樹】⼩さいころの学習はもちろん、⾼校・⼤学受験においても国語⼒は必須になりますし、いくら数学や英語をたくさん勉強しても国語⼒がついていかないと、論理的思考⼒の基礎がないためにせっかくの勉強が無駄になってしまいます。だからこそ、⼈⽣の早い段階で国語⼒を鍛えておくことが、学習において肝心なのです。
■子どもの学力を伸ばす方法は「とにかく話すこと」
――国語⼒を鍛えることは、受験の先の⼈⽣にどのような影響をもたらすとお考えですか?
【神⽥直樹】受験に限らず、何かを実⾏するうえで⼤切なのは、周囲との関係構築にあると思っています。⾃分ひとりでは大きなことを成し遂げるのは難しい。結局のところ、どれだけ周囲の⼈が応援してくれたり、⾃分のことを理解してくれたりするかが重要になると思います。
【神⽥直樹】例えば、理系の研究の世界に進んだ場合であっても、研究の予算を得るためにチーム以外の⼈からの⽀援や理解が⽋かせません。また、⾃分の研究や取り組みの意義を他者に伝えられる能⼒が成功には重要な要素になります。そう考えると、人の話を理解し、自分のやりたいことを認めてもらうコミュニケーションの力、ひいては国語⼒が⾮常に大切になります。
【神⽥直樹】⾔葉で⾃分の考えを的確に伝え、相⼿の話を理解できる⼒がある⼈は⾃分のしていることを説明できますし、周囲を巻き込む⼒があれば⼤きな成果を得ることができます。これはきっとビジネスや恋愛、⼈間関係にも共通するスキルだと思います。これを⾝につける基礎は、まさに国語で鍛えられると思います。
――国語⼒は⼈⽣のすべてに役⽴つのですね。
【神⽥直樹】まさにそうです。現代社会ではグローバル化が進み、英語が重視されがちですが、英語であれ⽇本語であれ、最終的に求められるのは「相手の考えを理解し、⾃分の考えを相⼿に伝える⼒」です。これがAIにはできない、最後の⼈間らしさの部分ではないかと僕は思いますね。インプットもアウトプットも結局は国語力の産物です。
――⼦どもたちがアウトプットをする機会を増やすにはどうすればいいのでしょうか?
【神⽥直樹】アウトプットの機会を増やすために大切なことは、まずは「話すこと」です。勉強となると、ついつい文章などを「書くこと」を重視しがちですが、「話すこと」の方が実際には同じ時間でも多くの言葉を紡ぐことができるし、微調整を繰り返し続けることも容易です。
【神⽥直樹】また、⼦どもが友達と同じコンテンツを楽しみ、それについて話すことを奨励することが⼤事です。例えば、意外かもしれませんが「ポケットモンスター」のモン スターの種類について話し合うことも、勉強の⼀環と捉えるべきなのです。単に問題集を解くだけではアウトプットの量が不⾜し、結果として思考⼒が伸びません。
【神⽥直樹】私⾃⾝、親から「コンテンツにかかるお⾦は惜しむな」と⾔われ、好きな本や 漫画、ゲームなどに⾃由にアクセスできたことが東⼤合格や思考⼒を伸ばすのに⼤きく役⽴ったと思います。多くの異なるコンテンツに触れ、それについて話す経験が積めたことが、国語⼒やコミュニケーション⼒の向上につながったと実感していますね。
――ゲームや漫画などの勉強の邪魔になりそうな娯楽も、実は学⼒の向上には重要なのですね。
【神⽥直樹】そうですね。⼩学校〜中学校のころに友達と同じコンテンツを共有し、それについて話す機会を持つことが、後々の学⼒向上や社会性の形成に⼤きく影響します。保護者は、短期的な成績や点数だけを⾒ず、⼦どもが⾃由に話し、考える⼒を養うことができる環境を提供してあげることが将来の成功につながると僕は考えています。
【神⽥直樹】⼦どもにとって本当に重要なのは「⾃分の⾔葉で⾃分の世界を築き上げる⼒」だと私は思いますね。学校での成績や進学先だけがすべてではなく、⾃分のアイデンティティ を⾔葉で表現できることが、「自分らしさ」の強固な地盤になるのではないでしょうか。保護者様も⻑期的な視点で、⼦どもたちが話し合って、考える⼒を育てるサポートをしてあげることが大事です。
【神⽥直樹】ヨミサマ。の講座で⼤事にしているのは、⼦どもたちと東⼤⽣をはじめとした講師とのコミュニケーショ ンです。インプットとアウトプットを増やし、東⼤⽣とたくさん話すことで「頭の良さ」に直結する国語力を鍛えます。国語⼒を磨くことにより、「世の中を⽣きる⼒」を養い、⼦どもたちの豊かな未来の可能性を拓くことがヨミサマ。の使命だと感じています。ぜひ、今後とも応援よろしくお願いします!
取材・⽂=越前与
【画像】「ヨミサマ。」を展開する株式会社 Overfocus 代表取締役の神⽥直樹さん。通信制⾼校から東京⼤学に進学、そして世界最⼤⼿のコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーに⼊社した経歴を持つ
そんな思考⼒を養うプログラムを提供しているのが、国語専⾨のオンライン個別指導「ヨミサマ。」 だ。東⼤⽣をはじめとする最難関⼤学の講師陣が、マンツーマンで国語力を伸ばすことに特化しており、さらに、国語⼒が向上すれば国語の成績だけでなく数学や英語など他の科⽬にも良い影響を与えるという。
■ドイツの日本人学校時代、東大進学を志した神田さん
――神⽥さんは⼀切塾に⾏かずに、通信制⾼校から東京⼤学にトップクラスの成績で合格さ れたと聞きます。⼩さいころから勉強熱⼼なタイプだったのでしょうか?
【神⽥直樹】実はそんなことは⼀切なくて…(笑)。私は1998年に茨城県で⽣まれ、保育園時代は祖⽗⺟と⼀緒に住んでいました。当時は今ほど勉強や教育に熱⼼ではなく、なんとなく「⾜が速いやつはかっこいい」くらいのことしか思っていませんでした。また、その保育園は子どもたちを裸足で遊ばせる教育をする特殊なところだったので、自分も次第に足が速くなりました。
【神⽥直樹】僕は特別速いほうではなかったのですが、その後、東京に引っ越して都内の⼩学校に転校すると、みんな⾜がすごく遅いことに気がついて…。相対的に⾜が速くなったおかげで⾃⼰肯定感がむくむくと成⻑しました。
【神⽥直樹】中学校に上がるタイミングでドイツのミュンヘンに引っ越し、12歳から19歳まで約7年間住むことになりました。⽇本⼈学校に入った当初もあまり勉強はしなかったのですが、定期テストなどでクラスメイトに後れを取らないように、次第に勉強をするようになりました。
――それが神⽥さんの勉強との出会いだったのですね。そこから、どのようにして東大を目指すようになったんでしょうか?
【神⽥直樹】中学3年生のときに東大を目指し始めました。背景を説明すると、当時僕が通っていた日本人学校の中学校って全学年合わせて20数名っていう、すごく⼈数の少ない学校だったんです。⼀⽅で、設備やカリキュラム、先⽣の数は⽇本の学校と⼀緒なんですね。つまり、先⽣の数が⽣徒と同じくらい存在することになるんです。また、生徒の⽗親は駐在員が多く、⼀⽅で⺟親はたいていは配偶者ビザで住んでいるために、基本的に専業主婦になります。
【神田直樹】結果として、ひとりの⼦どもに対しての⼤⼈の⽬線がすごく多いですよね。⼀般的にはいいことかもしれませんが、これが僕にとってすごく苦⼿で。そのうえ先⽣も熱意あふれる⼈ばかりだったので、通常の学校では放任されるようなところも、さまざまな注意だったり指導だったりを受けており、ある意味、息苦しさのようなものは感じていました。そのような指導の中でも、「大人である先生が考えていることは正しい」、というような圧を感じてしまい、あまり自主性が認められていないなと感じていました。いわば「優等生をつくる」ということに熱心な大人が多かったような気がします。
【神⽥直樹】そのような経験を背景に、⽇本の教育体制に対して疑問を抱くようになりはじめ、そのときから⾃分⾃⾝で学校を作りたいと思うようになりました。そのためには、日本で一番良い教育を受けてきたであろう人たちが、どのような教育を受けてきたのかを知りたいと考え、東⼤を⽬指し始めました。これが中学3年生のことです。
――そこからどのように勉強を開始されたのでしょうか?
【神⽥直樹】僕は当時成績がすこぶる良かったわけではないので、このタイミングで「⽣きている時間の全部を勉強に捧げよう」ということを決めました。今の成績から東⼤に⼊るためにはリスクを取らなきゃいけないと思ったのですが、周りの先⽣たちはそんなルートで東大に入ろうとすることに、すごく反対してくるんですよね。僕のことを何も知らないし、「何か責任をとるわけではないのに、なんで無理だからって反対するんだろう」と感じたことを覚えています。そんな教師たちの姿を⾒たのが決定打になって、東⼤へ⾏く覚悟を完全に決めましたね。
【神⽥直樹】⽇本⼈学校にいた先生も、東⼤のことや東大に対しての勉強のことなんか本当は知らなかったですし、なんらかの責任を取ってくれるわけではないのに、自分の知っている範囲だけで判断をしているように、当時の僕の目には映っていました。僕の考える⼒が意思決定が軽視されているように思えたんですよね。そのような⼤⼈たちの姿が東⼤への思いを加速させ、結局、東⼤に⼊るためにひとりでの勉強をスタートし、通信制⾼校に⼊って勉強時間を確保し、首席に肉薄する成績で合格することができました。
■「ヨミサマ」が国語に特化するワケとは?
――神⽥さんが取り組んでいる「ヨミサマ。」とはどのような事業なのでしょうか?
【神⽥直樹】「ヨミサマ。」とは、東⼤⽣が作っている国語特化のオンライン個別指導です。講師たちが東⼤⽣や京⼤⽣など、難関⼤学の在学⽣なのが⼤きな特徴のひとつですね。⼀般的な学習塾で⾏われているような、講義形式の指導ではなく、「対話を通じて根本的な国語力を育てること」が⼀番の⽬的になります。
【神⽥直樹】ヨミサマ。のキャッチコピー⾃体が「成績は、国語で決まる。」というものなのですが、我々は頭の良さや成績はいわゆる国語⼒で決まると思っています。頭の良さには、相⼿の⾔っていることを理解する⼒、構造的に説明する⼒、知らないものに出会ったときに⾃分の知識と組み合わせて考える⼒、などさまざまあると思いますが、これらの基盤となるものこそが国語⼒ です。
【神⽥直樹】どういうことかというと、まず本に書いてあることや相⼿が⾔っていることを理解する、そしてそれを⾃分の頭の中で深く考えて、第三者に対して論理的にわかりやすい形でアウトプットする。この一連のプロセスを統制する⼒こそが国語⼒なのです。
ーーつまり、「国語力」は頭の良さそのものということですね。
【神⽥直樹】はい。例えば東⼤入試のための勉強はかなり国語力の重要性を意識しやすいと思います。東大合格のための勉強って、暗記マシーンみたいになることのよう に思われがちなのですが、実は全然違って。実際は、カンニングペーパーを試験場に持ち込んだとしても、とても合格できないような思考力が試される問題が出題されているんです。
【神⽥直樹】例えば東大入試の日本史などがわかりやすい例ですが、解答を作るのに必要な資料はすでに共有されており、その資料を正しく読み解かない限り、高得点は取れない仕組みになっています。自分の頭の中にあることだけで答えても得点はもらえないんですね。漫然と教科書を読むだけでは、そのような問題に対応できる力は育ちません。ここで問われているのが「問いを立てる力」、つまり、一見しただけでは素通りしてしまいそうな記述にも、疑問を持ち、それを言葉にする力です。
【神⽥直樹】例えば、僕は毎日何時間も家に籠って勉強だけいていたと思われがちですが、実際は少し違う勉強生活でした。ドイツには湖や川がそこら中にあるのですが、湖畔で物思いにふけりながら、ときには数学の問題や、世界史について考えたりしていました。本を持っていなくても考え事をするためには、知識が言葉として自分の中に格納されてなければなりません。だからこそ、国語力なのです。
【神⽥直樹】僕はこのように深く勉強するための⼟台というのが国語⼒だと信じています。⾔葉を通してさまざまなことを思考できることが結局は数学や理科、社会など他の科⽬を伸ばすことにもつながる考えています。
――国語を伸ばすことで他の教科はどのように伸びるのでしょうか?
【神⽥直樹】僕はすべての科⽬が国語の「拡張版」だと思っています。算数は例えば数式というひとつのルールを用いていますが、その本質は、ルールや与えられた条件を理解し、自己の知識と結び付けて解釈をし、適切な形でアウトプットをするという作業であり、それ自体は、まさに国語となんら変わるところはありません。
【神⽥直樹】実感としても感じていることがあります。実は僕は⼀度東⼤に落ちていまして。その後、受験勉強を再開した際に何をしたかというと、国語力を⾼めるために、現代文だけを1⽇11時間、4カ⽉ほどぶっ続けで勉強して、他の科目には一切手を付けなかったんです。もちろん国語の成績は⼀気に上がったのですが、興味深いことに何もしていなかった他の教科の点数もとんでもなく上がっていたんですよね。そこで、「国語⼒がすべてだ」と気がつきました。
【神⽥直樹】そういえば、最近の中学受験においても、理科や社会は暗記⼒よりも資料を読み解くという⼒を試すような⽅向が強まってきているように思います。このような問題は結局、使う材料が違うだけで、国語⼒がものを⾔うんですね。受験は国語⼒で決まると⾔っても過⾔ではありません。
――現在、ヨミサマ。の受講者はどれくらいの年齢層が多いのでしょうか?
【神⽥直樹】割合としては⼩学校5年〜高校2年⽣くらいの年齢の受講⽣が⼀番多いですね。国語に苦⼿意識を抱いている⽅がほとんどです。ですが、実際に苦手意識を持っていたとしても、国語ってどこが苦⼿かを測りづらい教科なんですよね。「⽂章を読んで登場⼈物の気持ちを答えなさい」という問題を解いてみても、自分の解答の何が間違いなのかって明確にわかりにくいですからね。
【神⽥直樹】だからこそ、国語はセンスが必要で、つかみどころのない科⽬だと思われてしまっており、放置されがちです。「勉強してもしなくても⼀緒じゃん」って。また、国語を教える側も⽣徒たちが何を理解して、何を理解できていないのかを把握できていないという問題もあります。授業を受ける側も、教える側も「なんとなく」になってしまう科⽬なんです。
――では、どのように国語を学習すればいいのでしょうか?
【神⽥直樹】一方的に説明を聞くだけだから、「なんとなく」のままになってしまうんですよね。であれば、解決法はシンプルで、双方向の授業をすることです。だから、ヨミサマ。では「対話」をベースに授業をするようにしています。いわば先⽣と⽣徒のおしゃべりですね。ヨミサマ。では、一方的な説明ではなく対話を通じて国語を学びます。
【神⽥直樹】先⽣は問いかけを⾏い、⽣徒が深く考えて答える、というプロセスを一回の授業で何度も繰り返すからこそ、「自分の答えがなぜ間違いなのか」を理解することができます。問いかけによって⽣徒は⾃分の答えを⾒直し、東⼤⽣など最難関大学生の思考の過程を追体験することで理解を深めていきます。
【神⽥直樹】我々は国語の学習において答えを教えるとか、その授業内でその⽂章を理解させるとかは重視していません。だから、僕らの授業を受けたあとには、むしろ受ける前よりも強い疑問が⽣まれることのほうが多いのではないかと思います。しかし、そのように疑問が増えるということは、また新たな観点をひとつ増やしたということでもあり、よりその文章を深く理解したということでもあるのです。⽂章をただ説明されることよりも「⽂章と向き合って、疑問を持って考える」ことが、国語の上達には不可⽋なのです。
【神⽥直樹】ヨミサマ。における最初のアプローチは、⽣徒の頭の中を覗くことにあります。⼦どもたちがどのように文章をとらえているか、どんな認識を抱いているかを確認しながら授業を進めていきます。ここまで丁寧に深くやるからこそ、「国語は結局センスなんだ」という考えから脱却できるんです。
――「国語はセンスが必要」という思い込みから抜け出させるのが⼤事ですね。
【神⽥直樹】もちろんセンスがある⼈もいますし、好き嫌いが分かれるものでもあります。ですが、国語は適切な学習を通していけば他の科⽬以上に点数が跳ね上がり、実⼒を伸ばせる 科⽬です。そういう認識を持ってもらうことが、スタートラインになりますね。
【神⽥直樹】そして、ヨミサマ。を3〜4カ⽉ほど受けていると、だんだんと国語への苦⼿意識がなくなります。これまで⽩紙だった解答に答えが書けるようになる。そして半年〜1 年後くらいには、他の科⽬に波及していきますね。論理⼒が⾼まるのと、文章の要点をとらえることができるようになるので、他の科⽬の成績も上がり始めます。
【神⽥直樹】私たちは基本的には言語でものを考えます。だからこそ数学も英語も理科も社会も、国語という下敷きがあってこそ理解ができるし問題を解くことができる。⽂章問題など、算数が苦⼿な⼦どもの課題が、実は国語⼒に潜んでいるということも結構ありますからね。
――他の科⽬においても、国語⼒の不⾜が原因で苦⼿になっていることもあるのですね。
【神⽥直樹】ヨミサマ。のスタンスは「まず、国語でしょ。」というものです。「うちの⼦は勉強ができない」と悩む保護者が本当に⾒直すべきなのは国語⼒であることが多いと感じます。算数や英語は点数に出やすいから塾にで学ばないと、となるのですが、実際には⽇本 語での思考⼒や読解⼒が不⾜しているパターンもよくあります。
【神⽥直樹】⼩さいころの学習はもちろん、⾼校・⼤学受験においても国語⼒は必須になりますし、いくら数学や英語をたくさん勉強しても国語⼒がついていかないと、論理的思考⼒の基礎がないためにせっかくの勉強が無駄になってしまいます。だからこそ、⼈⽣の早い段階で国語⼒を鍛えておくことが、学習において肝心なのです。
■子どもの学力を伸ばす方法は「とにかく話すこと」
――国語⼒を鍛えることは、受験の先の⼈⽣にどのような影響をもたらすとお考えですか?
【神⽥直樹】受験に限らず、何かを実⾏するうえで⼤切なのは、周囲との関係構築にあると思っています。⾃分ひとりでは大きなことを成し遂げるのは難しい。結局のところ、どれだけ周囲の⼈が応援してくれたり、⾃分のことを理解してくれたりするかが重要になると思います。
【神⽥直樹】例えば、理系の研究の世界に進んだ場合であっても、研究の予算を得るためにチーム以外の⼈からの⽀援や理解が⽋かせません。また、⾃分の研究や取り組みの意義を他者に伝えられる能⼒が成功には重要な要素になります。そう考えると、人の話を理解し、自分のやりたいことを認めてもらうコミュニケーションの力、ひいては国語⼒が⾮常に大切になります。
【神⽥直樹】⾔葉で⾃分の考えを的確に伝え、相⼿の話を理解できる⼒がある⼈は⾃分のしていることを説明できますし、周囲を巻き込む⼒があれば⼤きな成果を得ることができます。これはきっとビジネスや恋愛、⼈間関係にも共通するスキルだと思います。これを⾝につける基礎は、まさに国語で鍛えられると思います。
――国語⼒は⼈⽣のすべてに役⽴つのですね。
【神⽥直樹】まさにそうです。現代社会ではグローバル化が進み、英語が重視されがちですが、英語であれ⽇本語であれ、最終的に求められるのは「相手の考えを理解し、⾃分の考えを相⼿に伝える⼒」です。これがAIにはできない、最後の⼈間らしさの部分ではないかと僕は思いますね。インプットもアウトプットも結局は国語力の産物です。
――⼦どもたちがアウトプットをする機会を増やすにはどうすればいいのでしょうか?
【神⽥直樹】アウトプットの機会を増やすために大切なことは、まずは「話すこと」です。勉強となると、ついつい文章などを「書くこと」を重視しがちですが、「話すこと」の方が実際には同じ時間でも多くの言葉を紡ぐことができるし、微調整を繰り返し続けることも容易です。
【神⽥直樹】また、⼦どもが友達と同じコンテンツを楽しみ、それについて話すことを奨励することが⼤事です。例えば、意外かもしれませんが「ポケットモンスター」のモン スターの種類について話し合うことも、勉強の⼀環と捉えるべきなのです。単に問題集を解くだけではアウトプットの量が不⾜し、結果として思考⼒が伸びません。
【神⽥直樹】私⾃⾝、親から「コンテンツにかかるお⾦は惜しむな」と⾔われ、好きな本や 漫画、ゲームなどに⾃由にアクセスできたことが東⼤合格や思考⼒を伸ばすのに⼤きく役⽴ったと思います。多くの異なるコンテンツに触れ、それについて話す経験が積めたことが、国語⼒やコミュニケーション⼒の向上につながったと実感していますね。
――ゲームや漫画などの勉強の邪魔になりそうな娯楽も、実は学⼒の向上には重要なのですね。
【神⽥直樹】そうですね。⼩学校〜中学校のころに友達と同じコンテンツを共有し、それについて話す機会を持つことが、後々の学⼒向上や社会性の形成に⼤きく影響します。保護者は、短期的な成績や点数だけを⾒ず、⼦どもが⾃由に話し、考える⼒を養うことができる環境を提供してあげることが将来の成功につながると僕は考えています。
【神⽥直樹】⼦どもにとって本当に重要なのは「⾃分の⾔葉で⾃分の世界を築き上げる⼒」だと私は思いますね。学校での成績や進学先だけがすべてではなく、⾃分のアイデンティティ を⾔葉で表現できることが、「自分らしさ」の強固な地盤になるのではないでしょうか。保護者様も⻑期的な視点で、⼦どもたちが話し合って、考える⼒を育てるサポートをしてあげることが大事です。
【神⽥直樹】ヨミサマ。の講座で⼤事にしているのは、⼦どもたちと東⼤⽣をはじめとした講師とのコミュニケーショ ンです。インプットとアウトプットを増やし、東⼤⽣とたくさん話すことで「頭の良さ」に直結する国語力を鍛えます。国語⼒を磨くことにより、「世の中を⽣きる⼒」を養い、⼦どもたちの豊かな未来の可能性を拓くことがヨミサマ。の使命だと感じています。ぜひ、今後とも応援よろしくお願いします!
取材・⽂=越前与