高橋メアリージュン「モラハラをしてしまう夫は、弱い人なんでしょうね」

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夫からの暴力や暴言、浮気、経済的な束縛――。結婚生活に悩んだりトラブルを抱えている人が少なくないことは、FRaUwebの人気連載「探偵が見た家族の肖像」でも明らかです。

現在、高橋メアリージュンさんが出演中のドラマ『離婚弁護士 スパイダー』〜慰謝料争奪編〜では、さまざまなタイプの“問題のある夫”が登場。メアリーさん演じる弱き を助け強きを挫く弁護士・美雲飛鳥のカッコよさとともに、「いま耐えている人たち」が前に進む勇気をくれるドラマとして注目を集めています。

メアリージュンさん連載「優しさと生きる」前編では今回の役柄、そして結婚・離婚についてお伝えしました。

後編では「ハラスメント」を中心に語ってもらいました。

他人同士が一緒に暮らすには、リスペクトと思いやりが必要

うちの両親は仲のいい夫婦ですが、その秘訣を親に聞くといつも残念な回答で。一言「我慢」って言うんですよ(笑)。子どもにそんなことを言うのが恥ずかしいのか、意地を張っているのかわかりませんが、毎回そんなふうに言われます。でも確かに自分とは違う人間と一緒に暮らすわけですから、なんでもかんでも思い通りにはなりませんよね。

『離婚弁護士 スパイダー』の劇中に、<婚前契約書>が出てくる回があります。私としては、これは状況次第ではありだと思っていて。もちろんパートナーの行動を制限したり縛ったりするようなものはNGですが、たとえば財産の問題とか、どちらかが会社を経営していたりする場合、きちんと明記しておかないと後々トラブルになる場合もありますから。

他人同士が一緒に暮らすには、リスペクトと思いやりが必要だと思います。ドラマに出てくる夫たちは、妻を自分の所有物のように扱い、「NO」を言わせない人たちです。そういう男性と一緒に生きていく意味ってあるのかな、相手を受け入れられないなら一人で生きていけばいいじゃん!と私なら思います。

そもそもモラハラをしてしまう人は、弱い人なんでしょうね。でもそれを当人に気づかせるのは難しい。モラハラの人に「あなたはモラハラしてますよ」と言ったところで、違うと言われるのがオチだと思いますし……。だからこそ飛鳥のような人が必要になってくるのでしょう。

「離婚は新たな人生を築くためのもの」と考えている

ドラマは現在、8話まで撮り終えています。なかでも1、2話の夫が一番イヤでした。1話は先ほども言いましたが、子どもにまでハラスメントをする夫。2話は経済的DVで、経済力を奪うことで妻を縛り付ける夫です。

結局、心が満たされていないんでしょうね。大切な家族を失って初めて気づく人もいるでしょうし、気づかない人もいるでしょう。パートナーが頑張って「あなたは素敵だよ」と言っても、ダメな時はダメ。

飛鳥は「離婚は新たな人生を築くためのもの」という考えで、マイナスにはとらえていません。私自身はまだ結婚も離婚も経験していない立場ですが、彼女の考え方には共感できます。

私自身、友人から離婚の報告を受けた時は「おめでとう!」と言います。モラハラで離婚した友人もいました。お相手はリッチな人だったけど心がもたなかったと。今は仕事をして自分で稼いで、すごく幸せに暮らしています。

「それってモラハラだよ?」と気づくことが第一歩

なかには「私さえ我慢すれば」とか「私が悪いんだ」と、自らを苦しい立場に追い込んでしまう人もいます。

まず自分が悪くないことに気づくことが必要なので、一人で考え込まず、ぜひ誰かに相談してほしい。できれば自分に近い人でなく、客観的に物事を判断してくれる人がいいですね。「それってモラハラだよ?」と気づくことが第一歩だと思います。

経済力も大事ですよね。それが理由で離婚に踏み切れない場合もある。私は子どもの頃から、自分は将来、結婚しても仕事をするだろうと思ってました。両親が共働きだった影響だと思いますが、専業主婦として家にいる姿は想像したことがないです。幸せに生きるために大事にしていることは、すべてに感謝することですね。その時イヤだなと思ったこともすべてギフト。必要なことだと思って受け止めるようにしています。

結婚したいと思うくらい好きになれたら超よくない!?

ドラマにはさまざまな離婚にまつわるトラブルが登場しますが、私自身は結婚に対しては一貫してポジティブです。だって「結婚したいと思うくらい好きになれたら超よくない!?」と思ってますから(笑)。

「こんな人と結婚したい」という願望はいろいろありますが、やっぱり好きな人じゃないと心がザワつきますよね。それが第一で、あとは感謝すべきことに感謝できて、謝る時に謝れる人。そして穏やかな人がいいです。

ドラマはゲストの皆さんが毎回素敵なお芝居をしてくださるので、ついついもらい泣きしてしまうほど。妻が本音を吐露するシーンになると、心の中で「味方だよ!」と励ましています(笑)。

長いセリフが多いうえ、法律関係の専門用語を覚えるのが大変ですが、今つらい思いをしている方のヒントになればいいなと思いながら演じています。

『離婚弁護士 スパイダー』〜慰謝料争奪編〜

不倫、モラハラ、経済的DV、悪魔の婚前契約……。

夫婦の数だけドラマがあり、誰しも、パートナーに対して少なからず悩みや不満、秘密を持っているもの。

結婚生活で悩めるすべての人々に贈る痛快リーガル・エンターテインメント、開幕!

構成・文/上田恵子

高橋メアリージュンが考えた結婚と離婚のこと