人によって給料に差がある理由を説明できますか?…賢い人は知っている”3つの視点”

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4人姉妹の一家。納得のいく「おこづかい」や「ごほうび」の与え方やおやつの分け方など、親にとって悩ましい問題をうまくまとめる最適解はあるでしょうか。

生活の中におけるさまざまな「しやすい」を、「分ける技術」を使って「しやすい」に変えることを探った本『「しやすい」の作りかた』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。

「限られた資源」を分ける3つの分配法

モノゴトをちょうどよく複数人で分ける方法には、どのようなやり方があるのだろうか? 数に限りがある「おこづかい」「イチゴ」「ごほうび」を例に考えてみよう。

我が家には4人の姉妹がいる。四女を除いて成人したが、子供の頃は「おこづかい」をいくら渡すべきかを妻とよく議論した。均等な金額を渡すようなことはしない。長女が一番多く、続いて次女、三女となり、四女の金額が一番少ない。そう聞いて違和感はないと思うが、そうする理由はなんだろう?

限られた資源を分配する方法は「必要原理」「平等原理」「公平原理」の3つだ。

このうち、「おこづかい」には「必要原理」を適用している。必要原理とは、必要としている人に多くの資源を分配する方法。

長女は、友達づきあいなどでお金をつかう機会も多いため、もっとも多い金額になる。妹たちがこれに納得しているかどうかは定かでないが、少なくとも三女や四女より、長女や次女のほうがもらう金額が多いことには納得感がある。下の子はうらやましいと思うだろうが、「わかりやすい」バランスだ。

ちなみに、唐揚げやハンバーグの数も体格に合わせるので、「必要原理」で分ける。

一方、食後のデザートやおやつとして出す「イチゴ」について考えてみる。4姉妹がそろっていたとすれば、妻はイチゴの数を均等に分けて食卓に出す。前章で果物やおかずを大皿に盛って出す話をしたが、イチゴについては4姉妹がみんな同じように好きなので、大皿で出すとひと騒動起きる可能性があるからだ。

イチゴは、おなかを満たすものではなく、味そのものを楽しむものだ。そのため、体の大きさに合わせて数の多少を決めるのではなく、均等に分けて出すのが理にかなっている。先ほど、資源分配の方法には「必要原理」「平等原理」「公平原理」の3つがあるとお伝えしたが、イチゴは「平等原理」で分けている。

平等原理とは、必要性や貢献度にかかわらず、資源を均等に分配する方法だ。飲み会の「割り勘」など、一人ひとりの差を特定するのが難しい場合もこのやり方になる。

「ごほうび」をどう分けるか?

最後に「ごほうび」について考えてみる。

受験に合格した、テニス大会で優勝した、家の大掃除を1日手伝ってくれた等々。このようなときに当人にだけ「ごほうび」を渡すことがある。食事に連れていったり、ケーキを買ってきたり、欲しがっていたアニメのグッズを買ってあげたり。

これは「公平原理」という分配方法だ。公平原理とは、その人の「貢献度」に応じて資源を分配する方法。がんばった人には多く分配するというやり方だ。貢献度の判断に納得感があれば、これが一番「わかりやすい」と感じるだろう。

会社の給料や昇格なども基本的にこのやり方だ。こちらは貢献度の判断が難しく、不満がある人が多いのが難点だが……。

「なぜそう分けたのか」を説明できるように

大切なことなので、繰り返しておく。限られた資源を分配する方法には、「必要原理」「平等原理」「公平原理」の3つがある。「わかりやすい」と感じるためには、目的に応じてこの3つのどれが適切かを考えて選ぶことが大切だ。

必要原理と公平原理は、なぜそう分けたのかを説明することが求められる場合がある。「なんで、お姉ちゃんだけおこづかいが多いの?」とか「どうして彼より私のほうが給与が低いのですか?」などと言われたときに、自信を持って説明できるようにしておくことが大切だ。

あなたが分けようとしているものは、おこづかいか、イチゴか、ごほうびか。さて、どれに近いだろうか。

『能力が高い人は「分け方」がうまい…状況に応じて“わかりやすさ”の程度を変える納得の理由』では、なにかを分ける際にあえて「わかりにくい」ものにするテクニックについて、解説する。

能力が高い人は「分け方」がうまい…状況に応じて“わかりやすさ”の程度を変える納得の理由