Image: NASA / JPL-Caltech / ASU

NASAの探査機パーサヴィアランスが火星に着陸したのは2021年2月18日のこと。それからたくさん画期的な発見をしてきましたが、今回リストにヘンテコな岩が加わったようですよ。

周囲に溶け込まないシマウマ・ロック

去る9月13日、パーサヴィアランスはかつて水で満たされていたと考えられている、小石が多くて平らなジェゼロクレーターをゆっくりと探索していました。すると、探査機のカメラが明らかに周囲と特徴の異なる奇妙な岩を発見。

火星といえば赤を思い浮かべますよね。ところが、それと対照的に岩肌は白く、さらに奇抜なことに表面の大部分が黒いしま模様で覆われていました。

NASAのパーサヴィアランス科学チームは、その岩をグランドキャニオンにそびえ立つ有名な山頂にちなんで、「フレイヤ・キャッスル(Freya Castle)」と名付けました。といっても、地球のフレイヤ・キャッスルが高さ約1,000mあるのに対し、火星の岩はわずか20cmと、かなりミニチュアです。

NASAが言及しているように、岩がシマウマのような模様をしていることから、ネットには「ゼブラ・ロック」というニックネームで呼ぶ人もいるようです。

SNSのThreadsでは、この岩がなんでこんな見た目をしているのかについて、さまざまな説が飛び交っています。ある人は、この岩は高い熱と圧力によって以前とは異なる種類の岩に変化する変成作用によって、このような見た目になったのではないかと推測しています。

実際のところ、その説は正しいかもしれません。NASAは声明の中で、岩石の組成に関する知識が限られていると認めていますが、ゼブラ・ロックの奇妙な模様は、火成岩および/または変成岩起源の可能性があるとしています。

フレイヤ・キャッスルはローリング・ストーン

NASAによれば、フレイヤ・キャッスルの特徴が周囲の岩盤とまったく異なることから、傾斜を転がり落ちて発見された場所にたどり着いたのはほぼ間違いないそうです。ラッキーなことに、パーサヴィアランスはクレーターの縁の傾斜をゆっくりと上っているので、もしかするとフレイヤ・キャッスルのような岩や石が見つかるかもしれません。

地球に持ち帰るのは無理ぽい

ところが、残念ながら発見したフレイヤ・キャッスルを地球に持ち帰って分析するのは無理みたいです。

NASAはパーサヴィアランスが回収した岩石や土壌のサンプルをいつか地球に送りたいと考えていますが、フレイヤ・キャッスルはロボットが持ち運ぶには大きすぎるのだとか。

火星のサンプルを持ち帰る任務はコストと複雑度が高すぎるため、NASAは計画の練り直しに協力を求めています。

シマウマ模様の奇妙な岩は、過去にパーサヴィアランスが地球へ送信した画像のインパクトを考えると、そんなに興奮するほどではない感じもします。たとえば、7月にパーサヴィアランスが発見した「ヒョウの斑点」の模様を持つ岩なんて、数十億年前の火星に微生物が生息していた可能性を示唆していますしね。

火星に生命がいた可能性(火星人かも?)と比べたら、フレイヤ・キャッスルは見劣りするかもですけど、多くの人に「これシマウマじゃん!」と思わせた衝撃は相当なもの。ゼブラ・ロックは、ロックスターと呼んでもいいんじゃないでしょうか。

Reference: NASA https://science.nasa.gov/mission/mars-2020-perseverance/location-map/