株式会社一旗がプロデュースする「動き出す浮世絵展 TOKYO」が2024年12月21日(土)〜2025年3月31日(月)まで、寺田倉庫 G1ビル(東京都品川区)で開催される。これまでに名古屋、イタリア・ミラノ、鹿児島で開催し、15万人を超える来場者で溢れている注目のイマーシブ展覧会について、担当者に話を聞いてみた。

【写真】2024年開催「動き出す浮世絵展 KAGOSHIMA」より

「動き出す浮世絵展 TOKYO」が12月21日からスタート!


――「動き出す浮世絵展」ついて教えてください。

「動き出す浮世絵展」は葛飾北斎、歌川国芳、歌川広重、喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川国貞など世界的な浮世絵師の作品300点以上をもとに、3DCGアニメーションやプロジェクションマッピングを駆使して大人から子どもまで楽しめるグラフィカルなデジタルアート作品として描き、9エリアの立体映像空間で浮世絵の世界に没入できるイマーシブ体感型デジタルアートミュージアムです。「浮世絵」と聞くと、日本を代表する文化芸術のひとつであり、文化価値が高いゆえに手が出しにくいというイメージが持たれていますが、主に江戸時代の人々から見た浮世絵は手に取りやすい存在で、日常を彩る圧倒的なポップカルチャーでした。この「動き出す浮世絵展」は、浮世絵の文化価値を伝えるとともに、「ポップカルチャー」に焦点を当て、浮世絵を色鮮やかにポップに魅せることで、現代に生きる人々がポップなお江戸カルチャーを体験し、楽しみ、学ぶことを目指した展覧会です。さまざまなコンセプトの立体映像空間を体感いただくスタイルの展覧会のため、小さなお子さまから高齢者まで、三世代でご来場いただけます。また、“映える”写真や動画がたくさん撮影できるため、InstagramやTikTokなどのSNSユーザーにもおすすめ。また、着物で来場される方が多いのも特徴で、映像は”ノンバーバル(非言語)”のため外国の方でも楽しんでいただけます。あらゆる人々が直感的に浮世絵の世界に没入できる、それが「動き出す浮世絵展」です。

――「動き出す浮世絵展 TOKYO」のイチオシのポイントを教えてください。

「動き出す浮世絵展」はこれまで名古屋、イタリア・ミラノ、鹿児島で開催されましたが、「動き出す浮世絵展 TOKYO」は過去最大規模の会場で、これまでになかった演出や仕掛けと、“江戸”を舞台とするさまざまな浮世絵が登場します。歌川広重の「名所江戸百景」や「東海道五十三次」、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」に描かれた“江戸”の姿を立体映像空間で多彩に表現するほか、解説エリアでは本物の浮世絵も展示し、両方を見比べていただくことができます。ぜひ東京ならではの浮世絵を探してみてください。

――「動き出す浮世絵展」のアイデアはどのようにして生まれましたか?また、その実現に向けて苦労した点などあれば、それをどうクリアしたか教えてください。

いま、世界では「イマーシブ」と呼ばれる没入感のある体験型のコンテンツが大きな注目を集めています。デジタル技術によって高精細で臨場感のある映像体験が実現でき、ゴッホやモネなど過去の芸術作品を題材に現代のアーティストがデジタルアート作品として新たな感性で再構成する展覧会「イマーシブミュージアム」は、新しい展覧会の形態として世界的なブームになっています。こうした中、世界的に評価の高い浮世絵をテーマにした空前の規模の「イマーシブミュージアム」としてお届けするため、国内外でプロジェクションマッピングを手がけてきたデジタルクリエイティブカンパニー・一旗とテレビ愛知が「動き出す浮世絵展」を共同で企画しました。制作にあたっては、最先端のデジタル技術を駆使し浮世絵のおもしろさ・楽しさ・美しさにさまざまな着眼点でフォーカスし、あらゆる世代に楽しんでいただけるデジタルアート空間の創出を目指しました。例えば、AIを活用して浮世絵のデジタルデータをより高精細にする手法、江戸時代の色彩を再現する手法、VTuberで使われるLive2Dによって人物画を立体的に描く手法、輪郭をなぞり線画にする手法など、浮世絵の魅力を最大限に引き出すためさまざまな手法にチャレンジしています。一方で、学芸員資格を持つデザイナーが浮世絵に描かれた世界観を拡張して手作業で描くなど、多くのクリエーターが膨大な時間をかけて制作しています。そうして制作したコンテンツを40台以上のプロジェクターによって投影し、複雑な立体映像空間を作り上げています。多くのクリエーターの苦労が詰まった「動き出す浮世絵展」を通して、ぜひ浮世絵の魅力や奥深さ、意外性を体感していただくとともに、心が躍るポップアートとして浮世絵の世界を身近に感じていただければ幸いです。

【写真】2024年開催「動き出す浮世絵展 KAGOSHIMA」より


――浮世絵をテーマとしたイマーシブミュージアムを開催するうえで、技術的に特に難しかったテーマがあれば教えてください。

浮世絵は平面的な紙に刷られた二次元の作品で、それをどう三次元的、立体的に映像空間に表現するかが最大のポイントであり、表現するためにさまざまな手法を使っています。例えば、「ジャパン・ブルー」と絶賛される「藍」をテーマとする空間では、歌川国芳の「宮本武蔵の鯨退治」に描かれた平面的なクジラを立体的な3DCGとして描き、ダイナミックに泳がせました。また、美人画と花々で彩る「麗」をテーマとする空間では、喜多川歌麿・歌川国芳・歌川国貞が描いた美人画に描かれた背景を拡張し、花見を楽しむ女性たちの優美な姿をLive2Dという手法を使って立体的なアニメーションを生成して表現しています。風景画を中心とする「眺」をテーマとする空間では、3D空間に山や川、樹木、人物などのレイヤーを立体的に配置し、その空間にドローンを飛ばすようなカメラワークを付けて立体的な奥行きを表現しています。

2024年開催「動き出す浮世絵展 KAGOSHIMA」より


――これまで、名古屋、イタリア・ミラノ、鹿児島で開催されていますが、反響はいかがでしたか?

これまでで15万人を超える方に来場いただきました。来場された方からは「綺麗で感動した」「初めての体験だった」などの声を多くいただきました。“映え”写真や動画を撮影したいという方、着物で風情を楽しみたい方、家族の思い出づくりをしたい方、カップルでアート体験をしたい方など、さまざまな方から大変好評をいただいています。

――読者へのメッセージをお願いします。

江戸時代に庶民に広く親しまれ、時代を超えて今なお世界を魅了し続ける浮世絵の傑作の数々。それらを現代のアーティスト・クリエーターの感性でダイナミックに躍動させ、令和につながるポップアートとして、浮世絵に描かれた世界が楽しく生き生きとよみがえるような映像空間を目指しました。また、浮世絵の本来の構図や色彩と対比させて鑑賞いただけるよう、江戸時代に摺られたオリジナルの浮世絵および復刻版の浮世絵や線画の展示、それらの解説もあわせて行います。本物の浮世絵も含め、会場内は全て写真・動画の撮影が可能で、幻想的な浮世絵の世界に飛び込んで撮影いただけます。ぜひ「動き出す浮世絵展」を通して、浮世絵の魅力を身近に感じていただければ幸いです。

■担当者おすすめ映えポイントは?

海を題材とした浮世絵の部屋では水族館にいるような幻想的な青の空間の写真、美人画を題材とした部屋では、等身大の浮世絵の美人画と一緒に写真が撮影できる。また、富士山を表現する空間では動き出す浮世絵展 TOKYO で初めて行う映え演出も計画中!

■公式ハッシュタグを利用した投稿は公式サイトに掲載!

公式ハッシュタグ「#ukiyoeimmersiveart」「#動き出す浮世絵展」を利用して投稿すると、公式サイトから確認できるように。ぜひ投稿してみよう!

日本を代表する文化のひとつである浮世絵に身も心も没入できる展覧会。今までになく、ここでしかできない特別な体験ができること間違いなし。ぜひ訪れて、古きよき日本の心に触れてみてほしい。

文=岸遥南