広告ブロック拡張機能「uBlock Origin」のManifest V3対応版である「uBlock Origin Lite」について、Mozillaのレビュープロセスに不満があったとして、開発者が当該拡張機能をストアから削除しました。

uBOL version updates missing in Firefox add-ons store · Issue #197 · uBlockOrigin/uBOL-home · GitHub

https://github.com/uBlockOrigin/uBOL-home/issues/197



Mozilla's massive lapse in judgement causes clash with uBlock Origin developer - gHacks Tech News

https://www.ghacks.net/2024/10/01/mozillas-massive-lapse-in-judgement-causes-clash-with-ublock-origin-developer/

記事作成時点でFirefoxの拡張機能ストアである「Firefox Add-ons」からuBlock Origin Liteは削除されており、Firefox版を使うにはGitHubから直接ダウンロードするほかありません。なお、通常版のuBlock Originは引き続きFirefox Add-onsで入手できます。

開発者によると、Mozillaの対応に不満を抱いたのが削除の理由だとのこと。きっかけは開発者の元に届いたMozillaからのメールでした。

メールには、「Mozilla Add-onsチームがuBlock Origin Liteを独自に評価し、手動でレビューした結果、以下のMozillaのポリシーに違反していることが判明しました」と記載されていたそうです。Mozillaが示したというポリシーは以下の通り。

・ユーザーデータを収集または送信するアドオンについては、ユーザーに通知した上で、ユーザーがデータ収集を制御する方法を明確かつ簡単に提供する必要がある

・あなたのアドオンには、縮小、連結、またはその他の方法で機械的に生成されたコードが含まれている

・あなたのアドオンをaddons.mozilla.orgに掲載する場合、プライバシーポリシーが必要であり、アドオンの説明欄にデータ収集の概要について記載する必要がある

以上を根拠として、Mozillaは最も古いバージョンを除くuBlock Origin Liteのすべてのバージョンを無効にし、最古のバージョンについても「同じ問題があり、問題が解決されない限り無効化する」と通達したそうです。



上記の指摘について、開発者はGitHub上のコードを引用し、「これのどこにデータ収集があるのでしょうか?」「縮小は一体どこに存在するというのでしょうか?」と主張。プライバシーポリシーについても1年以上前から公開していると述べ、「手動のレビュープロセス」で上記のような指摘がなされたことに不満をあらわにしました。

いずれ無効化されるとはいえ、最古のバージョンだけを公開しておくとユーザーが誤って利用してしまう可能性があるとして、開発者は自らの手で当該バージョンを無効化。さらに「くだらないことに時間を費やす気はない」として、Mozillaのプロセスに異議申し立てを行わず、今後はFirefox Add-onsでuBlock Origin Liteを公開することはないとの意思を示しました。

なお、開発者の意思表明後にMozillaから謝罪のメールが届いたそうです。メールには「再レビューした結果、以前の判断は間違っていたと判断し、アドオンを元に戻しました。間違いをおわび申し上げます。今後、レビューに関してご質問やご不明な点がございましたらいつでもご連絡ください」と書かれていたとのことですが、開発者は考えを変えませんでした。

開発者によると、将来的には自動更新が可能なセルフホストバージョンのuBlock Origin LiteをGitHubで公開するとのことです。