Aさんと金本容疑者。交際時には仲睦まじかった様子がうかがえる

「彼は、毎日のように私を罵倒し暴言を吐いていました。『死ね』とか『覚悟しとけよ、おら』とか。しかも別れた後も、SNSに私の実名や職場までさらして誹謗中傷を繰り返したんです。もうこれ以上は、自分も周囲の人間も危険なので、刑事告訴したんです」

 そう話すのは、神戸市在住のAさん(50代)だ。Aさんがいう彼とは、「3代目タイガーマスク」として活躍した元新日本プロレスのレスラーで、現在はフリーランスの金本浩二容疑者のことだ。8月21日、兵庫県警は、金本容疑者をAさんに対する侮辱罪で書類送検した。

「21日に『書類送検した』と警察から連絡がありました。告訴したのは6月だったので時間はかかりましたが、ようやくここまできました」

 かつて“喧嘩番長“の異名を取り、新日のリングで鳴らした金本容疑者に何があったのか。Aさんが苦しい胸中を吐露した。

「もともとは私が20年以上前から金本のファンだったんです。祖母がプロレス好きだったこともあり、よく祖母に連れられて試合を見に行っていました。仕事を始めてからはすっかり忘れていましたが、2022年、金本がSNSをやっていることがわかり、金本の投稿に返事をしたりするようになりました」

 SNSでやり取りをするうちに親しくなり、食事をする仲になったという。2022年当時、Aさんも金本容疑者も独身。金本容疑者がコロナに感染した際に介抱したことから、2人の仲は急速に親密になったという。翌2023年5月から2人は半同棲を始めた。Aさんは無償で金本のマネージャーにもなっていた。

 ところが、2023年夏ごろから金本容疑者の態度が変わってきたという。

「金本とは、引退したら一緒に飲食店を開こうと話をしていました。私ができるのは飲食店でした。2人で、老後はどうやって生きていこうかと話をしていましたから。実際にお店の場所も決まり、工事も始めていました。もうプレオープンできるところまでこぎつけていたんです。

 ところが、金本の母親から急に反対されてしまい、飲食店がとん挫してしまいました。基本的に金本は、母親の言うことならなんでも聞くような性格ですから、逆らえなかった。そこから彼の態度が急変したのです。母親に認めてもらえない恐怖で不安症が悪化、何かにつけすぐに口論になり、『お前は頭がおかしい』『死ね』などと暴言を吐くようになったのです」

 ほぼ毎日のように暴言を浴びたため、Aさんは精神に変調をきたし、心療内科に通うようになったという。診断はうつ病だった。

「前妻に暴力を振るって逮捕されたときも、暴言を吐いていましたが、私の時も言葉の暴力が凄まじかったです。逮捕を恐れたのか、さすがに手は出さなかったのですが、プロレスラーの体で凄んでくる。そのため、2023年9月、警察にストーカー行為と暴言で相談に行きました。警察は金本に対し接近禁止命令を出してくれましたが、その後も暴言は収まりませんでした。また、SNSで私のことを『詐欺師団体のオバン』『妖怪オバン』などと私の顔写真付きで投稿するようになり、2023年12月にも誹謗中傷名誉毀損でも警察に相談しました」

 しかし、年が明けた2024年1月以降も、金本容疑者はSNSへの投稿を控えることはなかった。

「今年の5月から金本は、SNSに私の実名や、私が仕事をしている団体の名前まで出していました。また、私のマンションの管理会社に近隣住民のふりをして電話し、部屋から聞こえる犬の声がうるさいとか、部屋が汚いなどと、うその抗議をして嫌がらせをしていました。そのため、すぐに弁護士に相談して刑事告訴することにしたのです。彼に貸したパソコンなどもまだ返却してもらっていません。なぜここまでやるのか。私には理解できません」

 書類送検されたことについて金本はどう思っているのか――。本人に話を聞いた。金本容疑者は電話越しに25分にわたって、送検されたことについての反論を展開した。

「あいつが言ってるのは全部うそや、全部。今回のことでいくつ仕事なくしてると思うてんねん、あのババアのせいで。

 いい迷惑なんやこっちは。俺は何があっても関係ないんや」

 終始、声を荒らげた金本容疑者は、Aさんを「ババア」と呼び、とにかく「俺は関係ない」の一点張り。Aさんとの交際について問うと……。

「いい時期があったかといえば、普通ですよ。あいつは嘘ばっかり言うから、腹が立って書き込んでいました。でも、今はしてない。俺からすると、いい迷惑ですよ。逆に訴えたいけど、アホみたいだからやらないだけです」

「今はしていない」などと言いつつ、Aさんが警察に相談後も投稿を続けていたのだが……。Aさんの述懐でも触れられたように、金本容疑者は2019年に前妻を殴ったとして、兵庫県警に逮捕されている(後に不起訴処分)。

 タイガーマスクは、孤児たちを助ける正義のヒーローだったはず。「ケンカファイト」として恐れられた金本だが、それはリング上だけにしてほしいものだ。