【堺屋 大地 】元AKB大島優子は「数字を持っていない」から一転…再ブレイクの兆しが出てきていた

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放送中『GO HOME』で主人公のバディ役

再びの快進撃となるか?

AKB48卒業からちょうど10年経った現在、大島優子さんに再ブレイクの兆しが出てきています。

AKB48を卒業前後の頃はGP(ゴールデン・プライム)帯ドラマで主演したり、2、3番手の主要キャストに名を連ねたりしていましたが、近年は番手が下がりバイプレイヤー的な出演が多くなっていました。

ですが現在、日本テレビ系の土曜21時枠で放送中の連続ドラマ『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』にて、主演の小芝風花さんに次ぐ2番手キャストとして大島さんが出演中。

というか、大島さんが演じるのは主人公のバディ役で、公式サイトなどで用いられているメインビジュアルには小芝さんと大島さんの2人が採用されており、実質的にダブル主演に近いキャスティングと言っても過言ではないでしょう。

『GO HOME』のバディ役に大島さんのファンが歓喜したであろうことは想像に難くありませんが、その抜擢に驚かれた方々も少なからずいたはず。

そこで今回は、年間・約100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、大島さんのこれまでの俳優キャリアを振り返り、“いま”が低迷期からの復活劇の真っただ中であることを解説していきます。

2015年にはGP帯で連ドラ初主演を飾る

まず役者・大島優子の歩みを振り返っておきましょう。

1988年10月17日生まれで現在35歳の大島さんは、そもそもAKB48加入以前に子役として活動しており、1996年に7歳で昼ドラ『ひよこたちの天使』(TBS系)でドラマデビュー。1998年の映画『大怪獣東京に現わる』にも出演していました。

2006年にAKB48に加入するとアイドルとして人気を博し、2010年開催の『第2回 AKB48選抜総選挙』では、前回トップの前田敦子さんを破り1位に輝きます。そして初センターを務めた曲「ヘビーローテション」がメガヒットしたのはご存知のとおり。

もともと女優志望だったこともあり、2011年には香里奈さん主演の月9ドラマ『私が恋愛できない理由』(フジテレビ系)に出演。この作品は香里奈さん、吉高由里子さん、大島さんの3人がメインキャストの恋愛ものでした。

2014年6月にAKB48を卒業すると俳優業を本格化。

同年公開された宮沢りえさん主演の映画『紙の月』で好演し、「日本アカデミー賞」で優秀助演女優賞を受賞するなど、いくつかの映画賞で賞を獲得。

2015年には『ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜』(TBS系)で、GP帯連ドラの初主演を飾り、同年は主演映画『ロマンス』も公開。

2017年には吉高由里子さん主演のドラマ『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)がスマッシュヒット。こちらは吉高さん、榮倉奈々さん、大島さんの3人がメインキャストで、彼女たちが演じるキャラの絶妙なガールズトークがウケたのです。

こうしてGP帯ドラマの主演を務め、3番手以内のキャストに名を連ねるなどし、順風満帆の役者人生を送っていました。……が、ここからゆるやかな下降線を描く時期に突入。

メインキャラではないオファーが続く…

『東京タラレバ娘』の放送後の2017年7月から、約1年間、アメリカへ語学留学をしていた大島さん。アメリカから帰国後に俳優活動を再開させ、たびたびドラマ出演していましたが、忌憚なく言うのであれば以前に比べるとランクダウンしたキャスティングが多かった印象。

主演から遠ざかるだけでなく、3番手以内のメインキャラとしてキャスティングされることもなくなってしまいます。

たとえば木村文乃主演で2020年に放送されたドラマ『七人の秘書』(テレビ朝日系)は、タイトルどおり7人の秘書の活躍を描いた作品で、大島さんもその7人のメンバーのうちの一人。ただ、キャスティングの番手的には5、6番手。

広瀬すずさん×櫻井翔さんのダブル主演で2021年に放送されたドラマ『ネメシス』(日本テレビ系)でも、主人公たちの仲間を演じましたが、大島さんのキャラが出演しない回もある7、8番手といったポジションでした。

留学の1年間というブランク後でも需要があるのはさすがですが、メインキャラではなく脇役としての出演が多くなっていたのは事実。もちろんどんなドラマでもバイプレイヤーがいなければ作品は成立しませんので立派なポジションですが、出演者の番手順にこだわるのであれば、全盛期の勢いに比べると少々寂しい状況になっていたというわけです。

低迷の原因は複数あるでしょうが、初の主演ドラマ『ヤメゴク』がコケてしまったのは大きな要因のひとつになっていたのではないでしょうか。

2015年といえば、まだリアルタイム視聴を計測する視聴率が成否を占う絶対的指標であり、二桁台を取って合格、一桁台で不発という時代。

そんな時代において『ヤメゴク』初回の世帯平均視聴率は9%台(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや残念な数値。

第2話以降で上昇させて二桁に乗せれば、ヒット作になる可能性もありましたが、第2話は上昇するどころか急落して6%台。それ以降も5〜6%台で推移し、全話の平均視聴率も6%台となったため、失敗作の烙印が押されてしまいました。

アイドル業界で天下を取っていたAKB48の超人気メンバーが、卒業後にドラマ初主演という触れ込みで非常に注目を集めていただけに、その反動が大きいのは容易に想像ができます。

こうしてドラマ業界では、「俳優・大島優子は数字を持っていない」と判断されてしまったのかもしれません。

そんな大島さんへのドラマオファーで風向きが変わったのは今年から。後編『AKB卒業から10年、大島優子は低迷していたが…今期で「役者評」が急上昇中のワケ』で解説します。

AKB卒業から10年、大島優子は低迷していたが…今期で「役者評」が急上昇中のワケ