Image: NBC News / YouTube

無事でよかった。40度近くある中でエアコンなしの宅配は命がけすぎる…。

猛暑が続くテキサス州ダラス近郊で、宅配ドライバーが熱中症で運転中に意識を失い、道路脇の木に衝突する事故が発生しました。

気を失うほどの暑さ

アメリカの貨物運送大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の宅配ドライバーが、ダラス近郊のMcKinneyにあるハイウェイを走行中に意識を失ったまま、宅配トラックが道路を外れて木に衝突するのを、目撃者が動画におさめていました。

動画を撮影したHenry HuynhさんはNBC 5の取材に対し、ドライバーはハンドルを握ったまま、明らかに意識を失っていたと語っています

そして、中央分離帯の草地を乗り越えて対向車線に進入し、そのまま道路脇にそれて木に衝突したのだそう。動画では、トラックが対向車線を走行する車とすれ違っているようにも見えます。対向車と正面衝突しなかったのは不幸中の幸いでしたね。

ドライバーは病院に搬送され、翌日に退院したといいます。事故の詳細やドライバーの状態については公表されていません。

事故が起こった8月16日のMcKinneyの最高気温は、39度。UPSの宅配ドライバー、Garfield Hooperさんは、WFAAの取材に猛暑の中での配送について次のように答えています。

「ドアを開けて時速97kmで走行中に入ってくる風が私たちにとって唯一のエアコンです。トラック後部の貨物室は65度から70度以上に達します。貨物室の壁に触れるとやけどするくらい熱いんです。」

デスバレーどころじゃないじゃないですか…。

事故発生前のUPSの対応に批判

事故を起こしたドライバーは、別の配送センターから派遣されて、現地で荷物を配達していました。業務中に熱中症の症状を感じた運転手がMcKinneyの配送センターにその旨を伝えたところ、配送センターまで戻るように指示されたそうです。

規則に従えば、業務を続けずに医療措置を受けるはずなのに、熱中症を起こしたまま運転を続けさせたのは許容できないと、UPSの運転手らが加入している労働ユニオンのCEOが対応を強く非難しています。

去年は暑さで運転手が死亡

実は、昨年もこの同じ配送センターに勤務するドライバーが、業務中に熱中症を発症したそうです。

運転手のChris Begleyさんは昨年8月、配達中に熱中症で意識を失いました。当時の配送センターの対応も、労働ユニオンと当局に批判されました。UPSは、救急車を呼ぶでもすぐに病院に連れて行くでもなく、誰もいない自宅にBegleyさんを送りました。

Begleyさんは4日後に病院へ搬送されましたが、その日のうちに亡くなりました。この件では、UPSは当局から罰金処分を受けています。それなのに、1年後にまた同じような対応をしたとして、Begleyさんの遺族と労働ユニオンは同社を批判しています。

相次ぐ宅配ドライバーの熱中症

これまでにも、熱中症を起こしたと思われる宅配ドライバーがセキュリティーカメラに捉えられています。

2022年には、気温40度の中で配達していたUPSのドライバーが玄関先でしゃがみ込む様子が、2023年にはテキサスでAmazonの配達員が玄関前に荷物を置こうとしてフラつき、壁にもたれて倒れずにすんだ映像がニュースで取りあげられました。

問題はわかっているはずなのに、解決できないのか、解決しようとしないのか…。

暑さに追いつかない改善策

UPSは、安全に関する研修への年間4億ドル以上の投資、車両や施設への冷房の増設、冷却服の支給、氷や水の提供など、暑さ対策を実施していると主張しています。

また、UPSによると、ダラス都市圏で今年1月以降に導入された宅配トラックにはエアコンが標準搭載されているそうなのですが、労働ユニオンのCEOは、彼の知る限りエアコン付きトラックは1台も見たことがないといいます。

重い荷物の積み下ろしや配達を朝から夜まで続ける宅配業務は、暑くなくても大変です。それをエアコンなしの40度で毎日なんて、健康な人でも体力を奪われます。ニュースになっていないだけで、暑さに苦しんでいるドライバーはもっといるんでしょうね。

長期的に見ると、温暖化の進行で今後も夏の暑さは厳しさを増していくはずです。屋外労働や肉体労働に従事する労働者を守るための対策を温暖化に負けないペースで実施する必要があります。

ドライバーがいてこその宅配業。何よりも大事に扱ってほしいものです。

Source: NBC 5

Reference: NBC News / YouTube, WFAA, NBC 5, NBC News, KHOU, CBS News

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