眞栄田郷敦、杉咲花、新田真剣佑、石橋静河

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 NHK朝ドラ『ブギウギ』に主演した趣里(33)、大河ドラマ『光る君へ』で藤原道長を演じる柄本佑(37)、2026年の大河『豊臣兄弟!』の主演が控える仲野太賀(31)──。

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 今、ドラマや映画で活躍が目立つのが、芸能人の親を持ついわゆる2世タレント。そのDNAは着実に受け継がれ、見事な花を咲かせている。そこで気になるのが、彼らに続く次世代の2世たち。というわけで、20〜50代の男女1000人にアンケート。最も“親を超えそうな”U-30俳優は誰!?

「親を超えそうな」2世俳優(U-30)

 5位は石橋静河(29)。

 歌手で俳優の石橋凌を父に、女優の原田美枝子を母に持ち初主演映画『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』でブルーリボン賞新人賞を受賞。母の原田も過去に同賞を受賞しており、史上初の親子受賞となった。 

 アンケートには、「主役でも脇役でも存在感がある」(千葉県・55歳・女性)、「テレビで両親の話が出るまで2世だと知らなかった」(秋田県・47歳・女性)などの声が集まった。「ご両親共に活躍されているけれど、あまり親の顔が見えてこない。2世という印象がないですよね」と言うのは、ドラマウォッチャーのカトリーヌあやこさん。女優としての実力を高く評価する。

「例えばNHKのドラマ『燕は戻ってこない』では貧しさゆえ代理出産を引き受ける主人公を演じていましたが、生々しくて、ちょっとしたふてぶてしさを出すのがすごくうまい。存在感のある女優さん。優れた芸能DNAを受け継ぐ彼女が、他人のDNAを残すために代理母になるというのも何か皮肉を感じました(笑)」(カトリーヌさん)

 4位は眞栄田郷敦(24)。

 故・千葉真一さんの次男で、2019年に映画『小さな恋のうた』でデビュー。大河ドラマ『どうする家康』では武田勝頼を、今年の春ドラマ『366日』(フジテレビ系)ではヒロイン・広瀬アリスの恋人を演じた。

「どんな役も見事にこなしている」(神奈川県・51歳・女性)、「千葉真一とはまた違う演技だけど、人を引きつける魅力がある」(兵庫県・41歳・女性)という意見が出た。

「彼の評価が高まったのがドラマ『エルピス─希望、あるいは災い─』(フジテレビ系)。冤罪事件を報道するテレビマンという役でしたけど、ここで一皮むけて、大人の俳優になった」とカトリーヌさん。兄はやはり俳優の新田真剣佑

「高嶋政宏・政伸兄弟、柄本佑・時生兄弟と、2世俳優は兄弟で活躍するケースがなぜか多い。郷敦さんはお兄さんとはタイプが違い、男っぽくて時代劇も似合う。それだけに『366日』は身も蓋もない内容で残念だった。今後は骨太な大人のドラマで活躍してほしい」(カトリーヌさん)

親のネタもうまく使いこなす

 3位は岡田結実(24)。

 父親はお笑いタレントの岡田圭右、母親は元お笑いタレントの上嶋祐佳。

「コミカルな役を中心に確かな演技力がある」(東京都・54歳・男性)、「バラエティーもドラマもこなせる」(愛知県・46歳・女性)と、バラエティーもできることに称賛が集まった。

「お父様のネタ“閉店ガラガラ”も進んでやるなど、2世であることをすごくうまく活用されていますよね。朝ドラ『カムカムエヴリバディ』での女中役も印象的。普段の明るく元気なイメージとは違う闇のある女がすごくハマっていた」とカトリーヌさん。

 デビューは1歳のときで、ジュニアモデルとして活動するなどキャリアは長い。「彼女がまだ24歳ということに驚き。末恐ろしいものを感じます。トークにしてもそうですが、やはり2世は度胸がある。そこが2世のDNAなのかも」(カトリーヌさん)

 2位は新田真剣佑(27)。

 弟の眞栄田郷敦と共に兄弟そろってランクインを果たした。

「父の影が見えない。今後期待が持てる」(千葉県・43歳・女性)、「イケメンで何でもできる」(兵庫県・34歳・女性)、「アクションもすごいし演技力もあるので国際派として活躍できそう」(埼玉県・55歳・女性)と、世界的な俳優になれそうという期待の声が上がった。「お父様は昭和のイケメンだけど、真剣佑さんは令和のイケメン。今の若い人たちはむしろお父様のことをよく知らないのでは」とカトリーヌさん。

 父の千葉さんはアクションスターとして活躍し、ハリウッドに進出。新田もロサンゼルスで育ち、幼いころから空手の手ほどきを受けている。

「ネイティブの英語が話せるのは彼の強み。Netflixの海外制作ドラマ『ONE PIECE』にも出ていましたが、それはお父様の夢でもあったと思う。ゆくゆくはマーベル作品や『ミッション:インポッシブル』に出てほしい。トム・クルーズとの共演を期待したい(笑)」(カトリーヌさん)

 第1位発表の前に、6位以下のランキングを見てみよう。

 6位は俳優の村上淳・歌手のUAが両親の村上虹郎で43票、7位は元「THE BOOM」宮沢和史の息子、宮沢氷魚で41票。8位はナレーター・林田尚親の娘の大原櫻子で33票、9位は京本政樹の息子、京本大我で29票、第10位には哀川翔の娘、福地桃子が20票でランクインした。「彼らの共通点は、親は親、自分は自分というのがはっきりしていること」とカトリーヌさん。昔とは2世のあり方が変わってきていると話す。

「昭和の時代は2世という事実が強調された。そこで2世自身に葛藤が生まれていました。例えば佐藤浩市さんも、お父様の三國連太郎さんの七光と言われないよう反骨精神を持ってきたところがある。でも今はもっと自然体。昔の2世のような葛藤もなく、肩の力が抜けているように感じます」

栄えある1位は確かな演技力で支持を集めた

 並み居る2世たちを抑え、1位に輝いたのは、杉咲花(26)。

 父はギタリストの木暮武彦、母は歌手のチエ・カジウラで、子役で芸能界入りしている。

 アンケートには、「どの役にもなりきり、非常に自然に演じられる」(兵庫県・51歳・男性)、「2世だと知らなかった。演技がうまく、彼女が出演している作品は見たくなる」(千葉県・38歳・女性)、「親をすでに超えている」(熊本県・47歳・男性)と、演技のうまさをたたえる声が多くあった。

「杉咲さんの演技は、自然でリアル。木村拓哉さんが何を演じてもキムタクのスターオーラを出すのに対し、杉咲さんはドラマの人物としてそこにいる。『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ系)で若葉竜也さんと会話をするシーンも本当に自然で、まるで日常生活で話しているよう。でもきちんと演技をしていて、その空気感を出してる。恐るべしという感じ」

 と、カトリーヌさんも大絶賛。アンケートにもあるように、彼女が芸能2世だと知らないという視聴者も多いよう。

「彼女に関してはもう親がどうとか関係なく、女優として確立している。これから長くいい女優さんとして活躍しそう」(カトリーヌさん)

 ランキングを振り返ると、七光など、もはや死語。今や2世が芸能界を席巻している感がある。しかしいくら2世といえど、成功するとは限らない。当初はもてはやされても、消えていく人も多い。

「成功する人は、親とは違う独自のスタイルがある。演技力や個性があり、個人として評価されている。ただ2世の場合、最初のチャンスをもらえるのは事実。親がそうしなくても、親の周りの人たちから、お子さんどうですか、という話は絶対に出てくるはず。

 デビューのチャンスはあるけれど、その後いかに爪痕を残すかは本人次第ということでしょう」とカトリーヌさん。

 2世にしても芸能界は安泰ではないということか。今後の彼らの活躍に注目したい。

「親を超えそうな」U-302世俳優ランキング総票数(男/女)

1位 杉咲花(26) 268票 (146/122)
2位 新田真剣佑(27) 86票 (50/36)
3位 岡田結実(24) 60票 (40/20)
4位 眞栄田郷敦(24) 52票 (23/29)
5位 石橋静河(29) 50票 (20/30)

カトリーヌあやこ●漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など

取材・文/小野寺悦子