【佐山 二郎】日本軍「密林戦サバイバル本」が”まさかの復刊”で話題、その「生々しすぎる中身」を見よ…!

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「代用主食のタピオカなどは腹が張るため1日に3回食べるのは無理がある」「マラリアは将兵の体力気力を消磨させ、二日間で死亡する」「露営は椰子林、ゴム林など概して乾燥した土地が適する」ーー。

旧日本陸軍が太平洋戦争終盤の1944年6月、今から80年前に作成したパンフレット集がこのほど『復刻版日本軍教本シリーズ「密林戦ノ参考 迫撃 部外秘」』(佐山二郎編、潮書房光人新社)として刊行されて、一部で話題になっている。

密林での戦術・サバイバル術としてあまりにもリアルで、マニア以外に一般の人が読んでも“ためになる”として注目が集まっている形だ。

「精神主義なんぞ微塵も感じさせない」(不肖・宮嶋茂樹氏の解説)と評されるそんな「リアルすぎる教本」から、その“生々しすぎる中身”を一部抜粋、再構成してお届けしよう。

「密林」は夜でも油断ならない

戦況が静穏であることは軽視すべきではなく、むしろ敵の準備期間として考えることを要する。これが密林作戦の本質である。

とはいえ、密林は夜でも油断ならない。

就寝時は小径、動物の通路、水溪、山背などは避けよ。

これらは通常夜間における密林の大道で、虎の襲撃をける危険があるからだ。

露営をする場合は、山脚・湿地・藪のように蚊が発生する付近を避け、椰子林、ゴム林など概して土地が乾燥し、排水良好なところが適する。

特に注意が必要なのは衛生面だ。

弁当は「梅干炊き込み飯」が一番良い

ニュージョージア島(ソロモン諸島)の傷病兵の体験談によると、給水困難で煮沸飲用したが、大部分の者が大腸炎にかかったという。

食物は炎熱とスコールのため腐りやすいので、弁当の携行法には注意を要する。弁当は梅干炊き込み飯が一番良い。

代用主食のタピオカなどは腹が張るため1日に3回食べるのは無理がある。

極秘文書「南方地域における作戦に関する観察」によると、南方戦場での敵は米豪兵よりも、マラリアに起因する戦力の消耗である。

マラリアは将兵の体力気力を消磨させ、二日間で死亡する。

椰子樹(赤質)は最も堅牢であり、一見堅硬そうな鉄木(固く重い樹木)は水に対し腐蝕しやすく、南方名物の赤蟻の被害を受けやすい。椰子樹は防空壕などの掩蓋材として爆弾に対して極めて堅固である。

以下、「カメラマンの不肖・宮嶋茂樹氏の解説」より

精神主義なんぞ微塵も感じさせないどころか、科学的根拠にもとづいた陣地構築に兵站の確保の重要性を説き、さらに訓練計画にまで心をくだいている。

さらにさらに具体的数値や方程式まで示した弾道計算に着弾観測法は現在の日本でも充分通用するのではと思わせる。

終戦後29年間、フィリピンのルバング島の密林に潜みながら戦いつづけた小野田寛郎少尉の存在も精神主義に偏った皇軍の教育法があながち誤りではなかったことを証明したのではなかろうか。

小野田少尉から得られた、密林での衣食住に渡るサバイバル術を盛り込んだ上、最新の射撃術に関する参考書ができることであろう。

【編者略歴】

佐山二郎(さやま・じろう) 昭和22年、岡山市生まれ。拓殖大学卒業。旧陸軍の兵器・器材を中心とした軍事技術史を研究。著書に「陸軍火砲の写真集」など。

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