『ギークス』“木曜22時の井戸端会議”が開幕 松岡茉優が“優秀だがクセ者”の鑑識官を好演

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「ノー残業をモットーとする警察署勤務の3人の女ギーク(=賢いオタク)」

参考:松岡茉優、30代のリアルな悩みにポジティブ回答 「食べて生きていればそれでいい」

 この一文だけで、木曜劇場『ギークス~警察署の変人たち~』(フジテレビ系)の個性的な主人公たちが浮かび上がってくる。人間関係が少々苦手でも、優れた才能や独特の視点を持つ彼女たち。一見、社会に馴染めないように見えるが、その“少し違った観点”が難問解決の鍵となることも。『ギークス~警察署の変人たち~』は、そんなちょっと変わった人々にスポットを当てる。

 「ギークス」とは「賢いオタク」や「卓越した知識や才能を持つ人」を指すアメリカンスラング。本作では、優れた能力を持ちながら人間関係に難のある3人の“ギーク”たちが中心となる。彼女たちが井戸端会議を通じて事件解決をサポートする様子を描く「井戸端謎解きエンターテイメント」として展開される本作は、松岡茉優がフジテレビのGP帯連続ドラマで初主演を務める話題作でもある。

 主演の松岡茉優が演じるのは、記憶力と証拠分析能力に定評のある個性的な鑑識官。田中みな実は人の心を見透かす心理分析のプロ、滝沢カレンは地図だけが話し相手の地理ギークを演じる。この3人のギークたちを中心に、それぞれの特殊な才能が事件解決に活かされていく。

 物語は、小鳥遊警察署に勤める西条唯(松岡茉優)、吉良ます美(田中みな実)基山伊織(滝沢カレン)が居酒屋でとりとめもない会話を交わす場面から始まる。そこへ刑事の芹沢直樹(中村蒼)が現れ、不可解な殺人事件の捜査について相談を持ちかける。

 その事件とは、元サッカー日本代表選手の柘植仁(味方良介)と令嬢・浜辺理子(石川恋)の披露宴で起きた騒動だった。余興の最中に赤いひょっとこのお面をつけた男が現れ、新婦を人質に取って5000万円を要求する。しかし新郎がこれを拒否すると、突如会場が暗転。そして電気が戻ると犯人の姿は消え、会場の外のトイレでスタッフの男性が殺害されているのが発見されたのだ。

 捜査が進むにつれ、事件の真相は複雑に絡み合っていく。伊織が捕まえた相手の正体、西条の鋭い鑑定眼が明かしたひょっとこの面をつけた男の共犯者の存在。さらに、理子の不倫疑惑や柘植の破産の影も浮かび上がる。

 最終的に、男性を刺した真犯人が柘植のマネージャーと判明。しかし、その背後には理子の存在があった。金に困った柘植を救うため、他人の心を巧みに操った彼女の計画が、ついに露見する。

 今回の事件解決の立役者となったのは、優秀だがクセ者の鑑識官・西条だ。西条を演じる松岡は、10代から磨き上げてきた演技力で幅広い役柄をこなす言わずと知れた実力派俳優である。映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)やNHK連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年)で注目を集め、『She』(2015年/フジテレビ系)で連ドラ初主演。

 映画『勝手にふるえてろ』(2017年)では日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞したほか、是枝裕和監督作『万引き家族』(2018年)では、JK見学店で働く亜紀役を熱演。過激なシーンに挑むだけでなく、常連客(池松壮亮)との絶妙な関係性を繊細に表現し、危うさと共感性を併せ持つ難しい役柄を見事に演じきった。

 松岡が演じる西条は、日常の些細な情報をも記憶できるほどの、驚異的な観察眼と記憶力を持つ鑑識官だ。しかし、人付き合いが苦手で「正義感ゼロの鑑識官」と呼ばれることも。

 また、仕事をテキパキとこなす一方で、定時になるとさっさと帰宅してしまう西条。この「仕事は仕事、プライベートはプライベート」という割り切りぶりを、松岡は時にユーモラスに、時にシニカルに演じ分ける。にもかかわらず、隣に引っ越してきた謎のイケメン・安達(白洲迅)には、無関心を装いながらも興味を持ってしまうところもかわいらしい。「今度、デートに誘ってもいいですか?」とストレートに想いを伝える彼と、西条はどう距離を縮めていくのだろうか。

 彼女たちの“ちょっと変わった”日常と、時に見せるコミカルな一面も、このドラマの大きな魅力になるに違いない。笑いあり、謎解きあり、そして少しのときめきもあり……。そんな木曜22時の井戸端会議は、視聴者にとって特別な時間となりそうだ。

(文=すなくじら)