「八田與一容疑者はホストクラブに潜伏?」全国から5600件を超える目撃情報が…!遺族・被害者を苦しめ続ける「犯人の行方」

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2022年6月29日、大分県別府市で起きた死亡ひき逃げ事件。大学生2人を死傷させた八田與一容疑者はいまもなお逃走を続けている。事件から2年、警察はもちろん、遺族や関係者もその行方を必死に追っている。

前編記事「八田與一容疑者の「卑劣な逃走劇」!別府・大学生ひき逃げ事件から2年…遺族は「未だに思いきり声をあげて泣くことができない」」に引き続き、事件について詳報する。

5600件を超える目撃情報

事件から2年が経った6月29日、遺族や友人らで作る「大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会」(別府・願う会)のメンバーらは、大分県のほか東京都内でも情報提供を呼び掛けるチラシを配布した。チラシを受け取った人たちは八田容疑者の顔写真を見て、「この事件覚えてる」とか「東京にもいるのかな」などと口にしていた。

「八田容疑者は昨年9月に警察庁指定の重要指名手配被疑者になりました。この事件は捜査特別報奨金対象事件にされています」(大分県警交通指導課の山下基成次席、以下「」内も)

遺族は最高500万円の懸賞金をかけ、八田容疑者の行方を追っている。

「2024年6月26日までに5600件を超える情報が寄せられています。特に犯人に似ているなどの目撃情報は大分県外から4000件以上、ネットなどでも450件以上ありました」

あまりにも悪質な事件は全国から注目された。八田容疑者とみられる目撃情報があれば、SNSでつぶさに投稿され、一気に拡散。多くのユーザーが居場所の手がかりをつかむために奔走している様子も見られた。

時効成立まで逃げ回るのか

「目撃情報は大坂や関東など広範囲に及んでいます。中にはホストクラブに体験入店をしていた、などの話もありました」(全国紙社会部記者、以下「」内も)

罪を償うこともせず、各地を転々と逃げ回っている八田容疑者。いったいどのように逃亡生活をしているのだろうか。

そこには狡猾さが垣間見える。

「八田容疑者は過去に住み込みのアルバイトをしていたこともあるようです。ホストクラブもそうですが、身元が不確かでも働ける仕事があることも知っているのでしょう」

事件や八田容疑者を知らなければ、特に気にすることなく採用してしまうだろう。複雑な事情を抱える人が集まる繁華街であれば、余計な詮索をされることもなく、その地や店に溶け込める。

さらには、マッチングアプリなどで出会った女性の元に転がりこんでいる可能性も考えられる。

「そうなれば住まいにも困りません。怪しまれたら、そこを出て別の女性の元を転々とすればいい。特に男性に依存的になってしまう女性は目をつけられてしまうかもしれない。ほだされてしまえば最後、かくまうことが罪に当たることをわかっていても、離れられないことも考えられます」

そうやって巧みに人々の間をわたり歩き、時効を迎えるまで逃げ続ける算段なのだろうか。

「八田容疑者にかけられている道路交通法違反(ひき逃げ)の罪は公訴時効が7年。切れても捕まえられないわけではありませんが、まずは残りの5年をどうにかして逃げ続けるつもりでしょう」

いつまで私たちは八田與一を追い続けるのか

道路交通法違反から殺人罪に罪名変更ができれば、時効はなくなる。そのため遺族も次のように思いを述べる。

《いつ捕まるのか、捕まるかどうかも分からない不安に加え、迫りくるあと5年という時効の壁。一体いつまで私たちは八田與一を追い続けるのだろう。

終わりの見えないこの苦しい活動をいつまで続けなければいけないのだろう。重要指名手配ポスターに並ぶ八田以外のあまりにも古い写真を見ては、そう思うのです。

どうかお願いです。「救護義務違反」ではなく時効のない「殺人罪と殺人未遂罪」に早く切り替えて、全国での全力捜査、事件の早期解決を望みます》

遺族らの悲痛な思いを受け、警察は全国から寄せられた目撃情報を地道に調べ、捜査を続けている。前出の山下次席が語る。

「捜査員は今、被害者や遺族の無念を晴らすため、一刻も早く八田與一を検挙する信念で捜査に当たっています。これまでもそうでしたが、警察は総力を挙げて被疑者の身柄確保と事件の真相解明に向けて全力で取り組む思いです」

逃走を続ける八田容疑者を逮捕するためには、一件でも多くの情報がカギを握る。

「大学生2名を死傷させた事故を起こした八田は今も逃げ続けています。ご遺族の気持ちや亡くなった被害者の気持ちを考えると一刻も早い検挙が重要。そのためには協力が必要です。

今どこかに潜伏して普通の人のように生活していると思われます。国民の皆様がこの状況、八田與一に関心を持ってもらい、目撃情報の提供をお願いしたいと思っています。人相や事件のことを覚えてもらい、自分の周りに似た人物がいないか確認してもらいたい。似たものがいれば、遠慮なく110番通報をしてもらいたい」(前出の山下次席)

そしてAさん、Bさんの知人らも事件の早期解決を願い、ともに戦い続けている。

逮捕されないことへの憤りも

東京都内で八田容疑者の情報を呼び掛けるチラシ配布に参加した「別府・願う会」のメンバーの一人はこう思いを述べた。

「この2年は私たちからしてみれば長かったです。事件の当日に、携帯も財布もバッグも置いて裸足で逃走した八田容疑者がこんなにも長く捕まらないとは思っていませんでした。明日には捕まる、1週間後には捕まる、と思っていたので、なぜ捕まらないのか、という憤りを抱えてこの2年を過ごしてきました」

別府・願う会ではSNSなどで情報を発信したり、知人や関係者から情報を集めたり、さらには八田容疑者へ出頭も促している。

「遺族からすれば許せない犯人の顔を毎日、見ながら情報収集しているんです。見たくないですが、遺族や私たちが探さないといけない。犯人は捕まっておらず、事件も解決していませんが、現在の罪名ではあと5年で時効を迎えてしまう」(別府・願う会のメンバー)

そして別府・願う会のメンバーは八田容疑者の親族に向けてもこう呼びかけた。

「八田容疑者の家族や親族は今、何を思って過ごしているのでしょうか。特に母親は愛情を持って育ててきたはずですから、身内から出頭をうながし、出てきてほしいと声をかけてもらいたいんです。逃げ回っているのであれば正せるのは母親や親族、身内の声だと思っています。ぜひ、声掛けをしてもらいたいんです」

被害者や遺族を何重にも苦しめ続ける八田容疑者。悲痛な叫びを聞き、何を思うのだろうか。

《目が覚めるとき、夢であって欲しいとそう願いながら毎朝目を開けていた2022年の7月》(遺族コメントより抜粋)

大分県警は情報提供を呼び掛けている。大分県警別府警察署(0977-21-2131)

《遺族コメント全文》

6月29日が近づくにつれ、気持ちが乱れていることに自分自身気がつきます。

あの信じられない悪夢のような日から2年。息子が突然目の前からいなくなり、いつまでも 犯人が捕まらないという信じがたい現実。未だに思いきり声をあげて泣くことができていません。

目が覚めるとき、夢であって欲しいとそう願いながら毎朝目を開けていた2022年の7月。

どうしても起き上がれず、家から出られなかった8月は体調を崩し入院してしまいました。 その頃はまだ、コロナで面会も制限されていて、一人、病室で静かに涙を流していました。

そんな私の様子を見て側で支え続けてくれたのが、家族と願う会の仲間でした。

家族はいつまでも外に出ない私に、何も言わずに、これまで以上に頑張る姿を見せてくれま した。

近くに住む友人は、私を気遣い玄関に総菜や食材をいつも届けてくれました。

その友人が、願う会を中心となり引っ張り、私を側で支えてくれている、いわゆる近所のママ友です。10年以上もの間、仕事と子育ての悩みを打ち明け合い、助け合い、励まし合い ながら一緒に歩んできた仲間です。どうしても仕事で忙しいときはお互いの家に子どもを預 けるなど、それぞれの子どもの成長を喜んでいました。

仕事に育児に20年近く奮闘していた私が、人との接触を避け入院してしまい……恐らく 人生で一番、みんなに心配をかけてしまいました。

そんな私を立ち上がらせてくれたのが願う会の活動でした。

《遺族コメント全文》(つづき)

入院して孤独な日を過ごしていた8月下旬、近所のママ友を集め、独自で製作したチラシを 別府駅に配りに行ってくれました。これが願う会の最初の活動となります。 なかなか前に進めないとき、立ち止まろうとした時、いつもアドバイスをくれたり、一緒に 泣いてくれたり、愚痴を聞いてくれたり、、、その度に、しっかりしないとみんなに申し訳 ない、息子に恥ずかしい、と自分に言い聞かせながら身体を動かしてきました。

他にもたくさんの人たちが、それぞれの方法で私たち遺族を励ましてくれました。そんな仲 間に支えられながら、今の私たち遺族の生活があります。

いつ捕まるのか、捕まるかどうかも分からない不安に加え、迫りくるあと5年という時効の 壁。一体いつまで私たちは八田與一を追い続けるのだろう。終わりの見えないこの苦しい活 動をいつまで続けなければいけないのだろう。重要指名手配ポスターに並ぶ八田以外のあまりにも古い写真を見ては、そう思うのです。

どうかお願いです。「救護義務違反」ではなく時効のない「殺人罪と殺人未遂罪」に早く切 り替えて、全国での全力捜査、事件の早期解決を望みます。

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