この記事をまとめると

■ホンダが新型となるフリードを発表した

■新型はエクステリアのテイストが異なる「エアー」と「クロスター」を用意する

■それぞれにガソリンモデルとハイブリッドモデル、定員数が異なるモデルが設定される

今度のフリードはどんなクルマ?

 2024年5月9日に、ホンダフリードの概要が公開された。10日には、販売店では価格を明らかにして予約受注も開始した。

 フリードはコンパクトサイズのミニバンで、新型の全長は4300mmを上まわるものの、小さな部類に属する。とくに今は、同じホンダの用意するステップワゴンの全長が4800mmに達して、全幅も1750mmだ。ステップワゴンが3ナンバー専用車になったから、フリードの存在感が従来以上に際立ってきた。

 フリードでは価格も注目される。今のステップワゴンは全車が300万円を上まわり、売れ筋になるハイブリッドのe:HEVは340〜400万円だ。それがフリードであれば300万円以下のグレードも豊富に用意される。
そして、フリードのようなコンパクトミニバンは車種が少ない。実質的にシエンタとの一騎打ちだから、この2車種に需要が集中した。フリードとシエンタは、両車ともに小型/普通車販売ランキングの上位に入り、熾烈な販売合戦を展開している。

 フリードの全高は1700mmを上まわり、シエンタよりも背が高い。そのためにボディがコンパクトでも、外観はミニバンらしく立派に見える。車内に入ってもフリードはミニバンらしさが濃厚で、2列目をセパレートタイプにしたキャプテンシートの6人乗りも選べる。両側にアームレストが装着されて座り心地も快適だ。シエンタの2列目はベンチタイプの7人乗りだけだから、シートの配置もフリードの強みになっている。

 こういった従来型の特徴はフリードの大切なセールスポイントだから、予約受注を開始した新型にも受け継がれている。さらにいえば、プラットフォームやホイールベース(前輪と後輪の間隔)の2740mmも、先代型から踏襲されている。

バリエーションも豊富

 新型フリードのグレード構成は、標準ボディのエアーと、外観をSUV風にアレンジして、全幅を1720mmに広げた3ナンバー車のクロスターに大別される。エアーはすべて3列シートで、2列目がセパレートタイプの6人乗りとベンチタイプの7人乗りを選べる。

 クロスターには、荷室後部の床を低く抑えて積載性を向上させた2列シートの5人乗りと、3列シートの6人乗りがある。クロスターは、エアーに設定のない5人乗りを選べる代わりに、2列目がベンチシートの7人乗りは用意されない。

 パワーユニットは、それぞれのグレードに、直列4気筒1.5リッターのノーマルエンジンとe:HEVを用意した。駆動方式も前輪駆動の2WDと4WDを選べる。

 ノーマルエンジンの場合、実用的にはエアーの6人乗り(価格は250万8000円/2WD)でも十分だが、買い得グレードはエアーEXの6人乗り(269万円/2WD)だ。エアーEXの価格はエアーに比べて18万9200円高いが、後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットインフォメーションやアルミホイールなど、21万円相当の装備を加えている。

 そしてe:HEVの価格も割安だ。ノーマルエンジンと比べたときの価格アップが34万9800円に収まる。マイルドハイブリッドと、ロッキー&ライズなど一部の車種を除くと、34万9800円であればノーマルエンジンとの価格差が少ないハイブリッドに位置付けられる。

 しかもe:HEVは、反応の素早いモーターが主に駆動を行うため、ノーマルエンジンに比べて動力性能や静粛性も優れている。従って総合的に判断すると、e:HEVを搭載するエアーEXの6人乗り(285万7800円)がもっとも買い得なベストグレードだ。

 クロスターも、エアーと比べたときの価格アップが6人乗り同士の比較で約16万円だから、SUV風の内外装、ルーフレール、LEDフォグランプの追加装着を考えると割高ではない。

 またクロスターの5人乗りは、6人乗りに比べて価格が4万4000円安い。5人乗りは、3列目を単純に省いたグレードではなく荷室後部の造りも異なるため、大容量の荷室を使いこなせるユーザーには割安に感じられる。

 ただし「5人乗りはキャンプに使いやすいから、SUV風のクロスターに設定する」発想は短絡的だ。フリードの特徴は、フロントマスクを穏やかな雰囲気に仕上げたエアーにあるので、エアーやエアーEXの5人乗りも用意すべきだ。