小久保(左)と彩艶(右)。パリ五輪の正守護神は誰になるのか。(C)SOCCER DIGEST

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 大岩剛監督が率いるU-23日本代表は今夏、パリ五輪に挑む。その代表入りをかけて、熾烈なメンバー争いは続くが、1人しか立つことが許されない正守護神の座に最終的につくのは誰になるのだろうか。

 大岩ジャパンにおいて、今年の活動でGKのメンバーに選ばれたのは、小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル)、野澤大志ブランドン(FC東京)、藤田和輝(千葉)、山田大樹(鹿島)の4人。この中で最も有力なのは小久保だ。

 4月にカタールで行なわれた、パリ五輪のアジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップで正GKを務め、5試合に出場。大会を通しての失点は、わずか「2」だった。

 相手に最終ラインの裏に抜け出された際、タイミングの良い飛び出しでピンチを防ぎ、セットプレーの対応やシュートストップの安定感もあり、ビルドアップでの繋ぎも冷静。決勝戦では見事なPKストップを披露し、優勝の立役者のひとりとなった。

 プレー面だけでなく、ムードメーカーとしての存在感も絶大。自身が呼びかけた遠征中の「人狼ゲーム」は、今では恒例行事に。ピッチ外でもチームを盛り上げていた。

 こうした働きを含めて、チームに欠かせない1人となっている23歳が正守護神を務めれば、チームの士気は上がりそうだ。
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 気になるのは、1月のアジアカップや3月のワールドカップ・アジア2次予選・北朝鮮戦と、A代表で正守護神としてゴールマウスを守った21歳のGK鈴木彩艶(シント=トロイデン/ベルギー)の五輪代表での序列だろう。

 将来性がある選手なのは間違いない。ただA代表での経験があるからという理由だけで、五輪代表の第1GKに選ぶわけにはいかない。実際、アジア杯では軽率なミスが続いて失点を招いたシーンもあり、大舞台での信頼性という点でも、小久保と比べると見劣りしてしまう。

 U-23代表は6月に、アメリカでU-23アメリカ代表と国際親善試合2連戦を行なう。大岩監督は、彩艶のアメリカ戦に出場したい意思を確認。「本人のぜひ行きたいという意思は聞いていて、クラブ側が了承してくれるのであれば、彼も我々のグループの中の1人なので」と招集へ前向きな姿勢を示していた。

 いずれにしてもアメリカ遠征での正守護神が、そのままパリ五輪でもゴールを守ることになりそう。本番まであまり時間がないなかで、このタイミングで新しい選手を試すことはしないはずだ。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)