テコ入れにはやっぱりあのコンビ(フジテレビ公式サイトより)

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伝説の事件

 その“事件”は、1985年1月19日、フジテレビ系の伝説の深夜番組「オールナイトフジ」の放送中に起こった。

【写真】「オールナイトフジ」時代の勢いを呼び戻すのは、やっぱりこの二人しかいない?

 レギュラーだったとんねるずの石橋貴明(62)と木梨憲武(62)は完全なイケイケ状態。その日も前年12月に発売したシングル「一気!」を学ラン姿でパフォーマンスしていた。大暴れの石橋はMC台に頭を強打するなどしたが、ひるまずに箱型のテレビカメラが載せられた台を何度も揺すっているうち、バランスが崩れてカメラがフロアに横倒しに。

 大慌てでスタッフたちがカメラを起こしに行ったが、とんねるずの2人は顔面蒼白。木梨は「俺、知らねーよ……」と何度もつぶやいていたが、結局、1500万円のカメラは廃棄処分に。それでも、なんとか保険金が下りたというが、本来なら、とんでもない放送事故だった。同局のNG名場面番組などでは繰り返し放送され、今も“伝説のシーン”となっている。

テコ入れにはやっぱりあのコンビ(フジテレビ公式サイトより)

 14年11月3日、同局のトークバラエティー番組「ごきげんよう」にとんねるずが出演した際、この事件に言及した。石橋は「あれは壊したんじゃなくて、倒れちゃったんですよ。みんなオレが倒した、倒したって言っていますけど」と席を立ち、実際にテレビカメラを使って説明。カメラを上に伸ばした時「不安定になって、ガタッと行っちゃったんです」と釈明した。木梨は「大人になって聞いたら、保険入ってるんで、大丈夫なんです」と笑いを誘った。

 フジの港浩一社長(72)は39年前、問題となった「オールナイトフジ」のスタジオに、当時はディレクターとして参加していた。後に明かしたところによると、この件で「始末書を書いた」という。

 その後のとんねるずは、同局などで数々の冠番組をヒットさせ大スターとなったが、カメラ騒動から39年経った現在、地上波でのレギュラー番組は、毎年正月恒例のテレビ朝日系スポーツバラエティー「夢対決!とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」のみ。一方、港氏はとんねるずと二人三脚で出世を重ね、タレントの明石家さんま(68)の枠も多く担当し、第二制作部部長、バラエティー制作センター担当局長などを歴任。フジの関連会社・共同テレビの社長を経て2022年6月に社長に就任した。

スタッフとの温度差が鮮明に

 最近は個々の活動が中心だったとんねるずだが、11月8日と9日に東京・日本武道館で「とんねるず THE LIVE」を開催することが3月末に発表された。2人だけでのステージは実に29年ぶりとなる。

「2018年3月22日にフジの冠番組『とんねるずのみなさんのおかげでした(以下、みなおか)』が終了後、2人での活動は『スポーツ王』ぐらい。20年にはコンビ結成40周年を迎えたものの、コロナ禍とあって、何も動きがありませんでした」(ベテラン芸能記者)

 40周年には何もできなかったとはいえ、なぜ今、2人でのライブなのか。

「健在ぶりをアピールすることもあるでしょうが、とんねるずとしては33年ぶりとなる企画ユニット・野猿として、2000年以来の紅白歌合戦を狙い、出場を目指すまでのドキュメンタリー企画をフジで作るのでは――という業界内の声があるんです。その理由は、2人の育ての親ともいえる港社長が、何かとバックアップするのではないかと見られているからです」(放送担当記者)

「みなおか」の終了後、石橋は同局で18年4月から冠トークバラエティー「石橋貴明のたいむとんねる」でMCを務めていたが、20年4月に深夜枠の冠番組「石橋、薪を焚べる」に異動。同番組は21年3月に終了し、番組を替えながら38年続いた同局でのレギュラーが終了した。フジでの現在の仕事は、年1回の特番となった「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」のコメンテーターだ。

「1本300万円とも言われる2人のギャラは割に合わなくなり、『みなおか』終了は苦渋の決断でした。とはいえ、2人はずっと個人事務所でやってきたので搾取されることもなく、しっかり稼いでいた。石橋さんは、2本の単独冠番組にかなりやる気を出して臨んでいましたが、周囲のスタッフとの“温度差”はかなりありました」(フジテレビ局員)

 2人の全盛期を見ている世代なら、石橋が、「ここぞ!」と思って繰り出したトークに反応し、スタッフから笑いが溢れたはず。しかし、実際のところ、現場では寒い空気が漂ってしまったという。

「そんなスタジオの雰囲気が視聴者にも伝わったのか、番組はあっけなく終了してしまいました。若いスタッフは石橋さんの黄金期を知らない。どうやって接すればいいのか、戸惑うことも多いようです。さらに、吉本興業に所属する芸人を中心とした関西芸人との絡みは基本NGと言われているので、ゲストの人選に制限があったのも辛かったかもしれません」(同)

 一方、木梨は今年1月期の同局系ドラマ「春になったら」で奈緒(29)とW主演。99年の「小市民ケーン」以来、25年ぶりの同局系のドラマへの主演となった。港社長は木梨の主演ドラマへ並々ならぬ思い入れがあったという。

「『春になったら』の企画があがった際、港社長は直電でオファーし、木梨さんは『やります!』と即答したそうです。撮影初日には現場に大量のパンを差し入れたことを社長会見で明かしていました。全11話の平均世帯視聴率は5.7%で、月曜午後10時枠の放送ではまずまずでしたが、残念ながら、局にとっての“起爆剤”にはなりませんでした」(同)

令和の時代に生放送はキツい?

 まだ目立った動きはないが、とんねるずの武道館ライブに向けたPR活動が行われるにあたり、港社長がバックアップしないはずがないというのが業界の一致した見方だ。

「現在、港社長肝いりの番組は、昼の情報番組『ぽかぽか』。そして、“『オールナイトフジ』が復活”という触れ込みでスタートした『オールナイトフジコ』です。『ぽかぽか』はここに来て視聴率がやや上がっていますが、『フジコ』は話題性に乏しいこともあり、この4月から放送時間を2時間から1時間に短縮しました。ここに来て、『テコ入れのためにとんねるず投入か』とのうわさが流れています。実現したら、石橋さんも木梨さんも張り切ってくださるとは思うのですが、もし変なスイッチが入ったら……。現場の意見としては港社長が毎回、スタジオに来て監視してくれないと、生放送で2人を使うのはリスクがあるのではと。意外ですが、昔は大暴れしていた石橋さんより、木梨さんの方がヤバイらしいんです」(別のフジ局員)

 木梨は主演ドラマ最終回の番宣のため、3月19日に放送された同局系のバラエティー番組「火曜は全力!華大さんと千鳥くん」にゲスト出演している。その際、千鳥・ノブ(44)がコーナーのタイトルコールをしようとすると、木梨がいきなり近寄ってベタベタ顔を触り、ノブが「早い、早い」とたしなめ、大悟(44)は「この感じ、とんねるずやな〜」としみじみ語っていた。

 さらに、かまいたち・山内健司(43)には、横から蹴りをお見舞いしたりするなど大暴れ。往年のとんねるずの番組ではよく見られた場面でもあり、本人は番組を盛り上げようとしたようだが、令和のテレビでどこまでOKなのか“加減”が分からなかった模様だ。

 そのため、ネット上では《セット壊して何がおもしろいの? パワハラの権化やん》《予告の数秒で木梨とか古い芸人の悪いとこ全部出てたな》などの声があふれることに。すっかり視聴者に不快感を覚えさせてしまったのだ。

「石橋さんはプライベートでは鈴木保奈美さんとの離婚を経験したこともあって、かなり丸くなったようです。それに比べ、木梨さんは良妻賢母の安田成美さんが、家のことを全部やってくれるので、仕事に専念できます。良くいえば、子供のように無垢(むく)に仕事をこなしていますが、周囲の空気を読まずに進行することもある。でも、せっかく『オールナイトフジコ』に出るのなら、往年のノリで限界ギリギリまで暴れて欲しいという気持ちもあります」(他局の関係者)

デイリー新潮編集部