Amazonが最近になって食料品店での自動セルフ決済を推進しないと決定したことについて、米モダンリテールプラス・リサーチ(Modern Retail+ Research)のデータから検証した。

Amazonは店舗内テクノロジーを廃止し、オペレーションにより注力する可能性が



最新情報:Amazonは今後、自動セルフ決済テクノロジーである「ジャストウォークアウト(Just Walk Out)」を米国の食料品店で廃止することを発表した

その代わりに同社は、「ダッシュカート(Dash Cart)」を導入することに決めた。ダッシュカートとはスキャナーと重量計が組み込まれているスマートショッピングカートで、顧客自身でカート内の商品をスキャンし、このテクノロジーを通じて決済を行うことができるためレジに並ぶ必要がなくなる。

興味深いことに、ダッシュカートは顧客の入力作業をより多く必要とするが、自動化されたジャストウォークアウト技術よりもうまく機能しているようだ。自動化技術の進歩とは裏腹に、顧客は依然としてプロセスをある程度自分でコントロールできるような手段を好むようだ。小売業者やブランドにとってより良い投資となるのは、裏方テクノロジーの採用かもしれない。

小売業者は運営強化のために「ロボット工学」に注目



質問:小売業者が裏方テクノロジーを採用できる分野にはどのようなものがあるか。そのような技術の導入による運営上の利点は何か。

調査で得られた回答:



ロボット工学は、小売業者が運営強化のために注目している分野だ。特にパンデミックが小売業界に引き起こした影響によって、顧客はより多くの商品をオンラインで注文するようになった。パンデミック期のピークよりは減少したものの、eコマースの門戸は開き、売上も急増している。エッジバイアセンシャル(Edge by Ascential)のデータによると、オンライン注文は2026年までに小売総売上高の30.5%を占めるようになるという。オンライン注文のフルフィルメントは米国における小売成長の最大要因であり、急成長するデジタルリテール市場での競合力を維持するために小売業者にとって最優先事項となるだろう。

倉庫での作業効率を向上させ、作業員の疲労も軽減



いくつかの大手小売業者はeコマースブームの到来を予見して、早期にロボット工学技術に投資してきた。たとえばAmazonは2012年に、7億7500万ドル(約1180億円)を投資してキバ・システムズ(Kiva systems)を買収した。当時、キバ・システムズは新興のロボット工学企業であり、同社が保有しているモバイルロボットは単純作業しかできなかっため、リスクの高い投資だと一部で考えられていた。しかし、商品を倉庫棚から作業員のところに移動させるというような単純作業は、倉庫での非効率性を解消し、作業員の過酷な肉体労働を軽減させた。

デジタル注文の3倍から4倍の量を梱包できるこの技術は、Amazonの2日以内での配送を保証することに大きく貢献した。おまけとして、人間の作業員が毎日、注文された商品を探すためにコンクリートの床を12マイル(約19.3キロメートル)歩く必要はなくなった。サプライチェーン・物流コンサルティング会社であるMWPVLインターナショナル(MWPVL International)の創設者兼プレジデントを務めるマーク・ウォルフラート氏は、「20歳くらいの若さでなければ、1週間の終わりには身体を壊しているだろう」と話す。ロボット工学を駆使した人間の作業員との共同作業の推進によって、生産性、そして従業員の労働体験を向上させている。

[原文:What does Amazon’s checkout tech shift indicate for competitors?]

Li Lu(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:都築成果)
Image via Six Flags