アフリカの豊富な再生可能エネルギーを活用することで、現地の農村への電力供給と、持続可能な仮想通貨のマイニングの両立を目指すベンチャー「Gridless」を、アメリカのニュースメディア・CNBCが取材しました。

Gridless | At the Frontier of Bitcoin Mining in Africa

https://gridlesscompute.com/

Bitcoin miner Gridless, backed by Block, builds site at Kenya volcano

https://www.cnbc.com/2024/04/20/bitcoin-miner-gridless-backed-by-block-builds-site-at-kenya-volcano.html

分散型再生可能エネルギーベンチャー「Gridless」は、Twitter(現X)の創業者のジャック・ドーシー氏が率いる決済サービス企業「Block」の支援により、アフリカでビットコインをマイニングする事業を展開しています。

豊かな自然が残るケニア・ナイバシャ湖のほとりに設置された出力500キロワットの移動式コンテナは、Gridlessがアフリカに設置した6つの「ビットコイン鉱山」のひとつ。このコンテナは、ヘルズ・ゲートにある死火山の地熱発電を利用して、再生可能エネルギーによるビットコインネットワークの維持を担っています。



仮想通貨の代表格であるビットコインは、プルーフ・オブ・ワークという方式により生成されており、その過程で膨大な電力が消費されるため、持続可能で効率的なマイニングには安価な再生可能エネルギーの確保が不可欠です。

また、仮想通貨のマイニングの40%はアメリカで、20%はロシアで、15%は中国で行われているとされており、ビットコインを支える重要な機能のひとつである「分散化」には課題があります。

しかも、ビットコインは2024年4月20日に4回目の半減期を迎えており、これによりトランザクション検証の報酬が半分になって小規模なマイニング業者が採算を確保することが困難になれば、マイニングの集約がさらに加速することが予想されます。

GridlessのCEOであるエリック・ハースマン氏はCNBCに、「ほとんどの人はビットコインの価格や、ビットコインをどうやって蓄えたり使ったりするかばかり考えます。しかし、ビットコインマイナーが世界的に分散していなければ、安全なビットコインはあり得ません」と話しました。



Gridlessには、ビットコインネットワークの分散だけでなく、電力にアクセスできない人がまだ約6億人いるアフリカの人々にエネルギーを届けるという使命もあります。

公式サイトによると、Gridlessはザンビアで1200軒、マラウイで1800軒、ケニアで5000軒の家庭に電力を供給してきたとのこと。また、Gridlessのマイニング拠点では、地元農家向けのコンテナ冷蔵倉庫や電動バイクのバッテリー充電ステーション、公共Wi-Fiポイントにも電力が回されています。

Gridlessによるビットコインのマイニングと近隣への電力供給を担っているのは、使わなければ無駄になってしまう余剰エネルギーです。

ハースマン氏は「日中や夜間に電力が過剰になり、そのエネルギーを受け止められる人が誰も居ないということがよくあります。しかし、マイニングであれば昼夜を問わず余った電力を活用できます。輸送コンテナから作ったこのマイニングコンテナには、同じ計算式をひたすら繰り返すマシンが詰まっていてあまりスマートには見えませんが、実際にはこれがネットワークを支えているのです」と話しました。