中国がフェンタニル原料に補助金、米国の中毒あおる=米下院委

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Michael Martina

[ワシントン 16日 ロイター] - 米下院の中国共産党に関する特別委員会は16日、中国が麻薬鎮痛剤「オピオイド」の一種であるフェンタニルの生成につながる化学物質の製造に直接補助金を出し、米国のオピオイド中毒危機をあおっているとする報告書を出した。

それによると、中国はフェンタニルの類似体、前駆体、その他の合成麻薬を製造する企業に対し、国外に販売する場合に限って付加価値税の還付という形で補助金を提供し続けている。

報告書は、中国の国家税務総局のウェブサイトからデータを引用し、最大13%の還付が適用されている化学物質を列挙。4月現在も補助金は実施されているとしている。

特別委員会のマイク・ギャラガー委員長(共和党)は16日の公聴会で、中国は米国へのフェンニタルの流入が増え、中毒が「混乱と荒廃」をもたらすことを望んでいるようだ、と批判した。

在米中国大使館の報道官は電子メールで、中国は米国当局との麻薬取締協力に真摯に取り組んでおり、フェンタニルおよび前駆体を取り締り、違法な密輸、製造、密売を取り締まるための特別対策を実施中だと説明。米国のフェンタニル危機の原因は中国にはないとした。

バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は昨年11月の会談でフェンタニルの生産と輸出の抑制に取り組むことで合意し、米中は1月に合同の麻薬対策作業部会を発足させている。