米投資銀行事業に明るい兆し、経営幹部の慎重姿勢は変わらず

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Tatiana Bautzer

[ニューヨーク 16日 ロイター] - 米大手行の投資銀行部門は第1・四半期に軒並み増収と明るい兆しを見せたが、経営幹部の発言からは、先行きに対する慎重姿勢は維持する様子がうかがえる。

モルガン・スタンレーが16日に発表した投資銀行部門の収入は16%増の70億ドル。テッド・ピック最高経営責任者(CEO)は「案件はしっかりと存在している。ただ経済と地政学の面で不確実性が残っている」と語った。

バンク・オブ・アメリカの投資銀行部門は35%の増収だったほか、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース、シティグループも堅調な業績を記録している。

それでも各社幹部は金利動向が読みにくい点や、地政学的緊張の高まり、米大統領選などのリスク要因を指摘する。

シティのジェーン・フレーザーCEOは「第2・四半期には新規株式公開(IPO)市場も徐々に取引が持ち直すと見込めるとの慎重な楽観姿勢を持っている」と述べた。

同社の投資銀行手数料は35%増加し、債券資本市場と株式資本市場の分野がけん引役を果たした。ただフレーザー氏は、M&Aの動きはなお鈍いと説明した上で、特に米国では企業心理はかなり明るいものの、市場はまだ地政学的問題などのリスク要因を織り込んでいる状態ではないとの見方を示した。

JPモルガンのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は「第1・四半期に発表されたM&Aにある程度勢いが見られたのは心強いとはいえ、それが続くかどうかは分からない。助言業務は規制環境の点で構造的逆風に直面している状況も変わっていない」と話した。