今回の辞任劇の核心とは?

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静岡県の川勝平太知事が2024年4月10日、県議会議長に辞職願を提出した。30日後に自動失職する。

今回の辞任劇のきっかけは、本人の失言と、その後の対応のまずさだった。専門家に、同知事の対応を検証してもらった。

辞任表明しても発言撤回はそれよりも後

新年度が始まった4月1日、川勝知事は県庁の新入職員への訓示の際に、次のように発言した。

「県庁というのは別の言葉で言うとシンクタンクです。毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいは物を作ったりとかということと違ってですね、基本的に皆様方は頭脳、知性の高い人たちです。ですから、それを磨く必要がありますね」

職業差別ではないかとの批判が上がり、翌2日の囲み会見では突如、辞職を表明。その際も記者に対して、「読売新聞の報道のせい」と逆ギレし、メディアによる発言の切り取りがあったとの考えを示した。3日、正式に辞任を発表したときも、発言は撤回しなかった。

ところが5日の囲み会見で、「生業の違いを申し上げたつもりだった」としつつ、職業差別と捉えられるのは本意ではないとして発言を撤回。「迷走」とも言える動きを見せた。

川勝知事はどこで対応を間違えたか。J-CASTニュースBiz編集部は、ワークスタイル研究家の川上敬太郎氏に取材した。

「比較」が非常に良くない

川勝知事の発言では、県庁職員をシンクタンクに例える一方、他の職業の名前を出した上で県庁職員が「頭脳、知性の高い人たち」という「比較」をしている点を、川上氏は問題視。この表現によって、名を挙げた職業に就く人たちに対し、誤った決めつけをしている点が非常に良くなかったと語る。

また、川勝知事が2日の囲み会見でメディアによる発言の切り取りがあったとの考えを示したことが騒動の拡大を招いたとも指摘。本人が自らの考えを開陳した後での事態の収拾は、なかなか難しいとしつつも、

「報道を見てみたら、自らの言い方では差別発言になっていることに気づいた。なので、この場で撤回する」

といった言い方なら、まだ世に受け入れられた可能性はあったのではないかと語った。

なお辞職願提出前に川勝知事は報道陣に対し、戦国時代を生きた細川ガラシャの辞世の句を詠み上げた。

「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」

これに対して、SNSでは失笑や「場違いだ」との声があふれた。

(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)