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【第1話】から読む。

前回からの続き。私(ヨウコ)には娘が2人います。長女のミユキ(28歳)と次女のアヤ(21歳)です。10年前に夫に先立たれてからは、女手ひとつで娘たちを育ててきました。しかしある日、就職してひとり暮らしを始めたアヤが「帰省しない」と言い出し、さらに私が怒ると「娘をやめる」とまで……! 最初はショックを受けた私でしたが、次第に腹が立ってきました。しかしお隣のユリさんは「アヤが私に見切りをつけた」と受け止めたようです。ユリさんの娘さんがアヤのところへ遊びに行ったときの話を聞きながら、自分の娘のはずなのに、知らない子の話を聞かされているような気持ちになってしまうのでした。

「確かに子どもを育てるって大変だわ。心の奥底まで気が付いてあげることはできないと思う。でも、たとえやってあげられないことが多くても、その気持ちを受け止めることはできたんじゃないかしら……」



「本当は和食店に行こうと思ったみたいなんだけど、アヤちゃんお魚が……特に生魚が苦手なんだって? 洋食が好きだからって、美味しいレストランに詳しかったって娘も喜んでいたわ」「え……? 私……アヤがお寿司好きじゃないなんて……知らない。何で言ってくれなかったんだろう……」



「ヨウコさんがいまアヤちゃんにしてあげられることは、待ってあげることだけなんじゃないかしら……。アヤちゃんだって昨日今日の気持ちで『娘やめます』って言ったわけじゃないでしょ? 積み重なった日々があって出した結論だと思うの」



「もしアヤちゃんがヨウコさんのことを許せる日が来たら、そのときは受け入れてあげてよ」「もし……そんな日が来なかったら……?」「それも、受け入れてあげないと……。それがヨウコさんとアヤちゃんの結末だったってことなんだから……」私の脳裏に、今までアヤにしてきたことが走馬灯のように駆け巡りました。私はずっとアヤに甘えてきたのです。アヤなら何をしても受け入れてくれるだろうと……。アヤの気持ちよりも、自分の気持ちを一番に考えてきてしまった結果が、コレでした。



アヤはこの家にいた20年間、ずっと我慢して生きてきたんだ……。私の顔色をうかがって、必死に私の喜ぶ言葉を探して話していたんだ。そんなことにも気が付かず、ずっとアヤに自分の感情ばかりをぶつけてきた自分自身を恥ずかしく思いました。できることならもう一度アヤに謝るチャンスが欲しい。そう思いましたが、いま私にできるのは「娘をやめる」と言った彼女の決意を受け入れてあげることだけ……。今までアヤに受け入れてきてもらった分、今度は私がアヤの意思を受け入れたいと思います。そしていつかアヤが私を許してくれる日がきたら、そのときは今までのことを謝罪してアヤの気持ちに寄り添える母親でありたいと思います。

【第10話】へ続く。

原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子