テレビでの活躍にとどまらずYouTubeでも人気を集める、お笑いコンビ・さらば青春の光の森田哲矢さん。

2013年には個人事務所「ザ・森東」を立ち上げ、自身が代表を務める。

芸人であり、経営者。そんな森田さんが語る、人生の転機とは?ホームタウン・五反田での甘い思い出も!


出役であり裏方。新しい道を切り拓いた“社長芸人”の覚悟


2023年に輝いた人。特集テーマを伝えると「芸人で載るの、僕だけですか?売れたなぁ」と冗談めかした人懐っこい顔で笑う。

ひと言で表現するなら“立ち向かう男”、さらば青春の光の森田哲矢。相方のスキャンダルもあったが、2013年にコンビそろって大手の芸能事務所を退所した。

「最初から個人事務所を立ち上げるつもりはなくて、僕も相方もそれぞれ違う事務所に入りたかった。でもコンビを解消するわけじゃないからどうするかーなんて考えて。

でも、蓋を開けてみたらどこもとってくれなかったという(笑)。そういう流れでしたね」

いまでこそ個人で事務所を立ち上げる芸能人は少なくないが、当時はまだ「大手に所属していた方が有利」とされた時代。不安はなかったのだろうか?

「まったくなかったといえば、それは嘘ですけれど、キングオブコントに出たあとの給料が8千円だったんですよ(笑)。

それじゃ、食っていかれへん。そもそもお金持ちになって女の子にモテたい!という気持ちで入った業界ですから(笑)。

でもギャラって仕事したからといって、すぐに払われるわけではないことも分からないくらい、自分たちも若かったんですよね」と当時を振り返る。

相方の東ブクロさん、自分たちが信頼するマネージャーとともに新会社「ザ・森東」を立ち上げ、2023年には、森田さんのレギュラー番組は、17本にもなった。

YouTubeは6チャンネルを運営し、テレビで公開した年商は億超えとも。

まさに人生のビッグウェーブ状態ともいえるが、転機になったと思うできごとは?とたずねると、「賞レースを一切やめたことが大きかったかな」という答えが。

キングオブコントとM-1グランプリでは計7度決勝入りを果たしたが、優勝を勝ち取ることはできなかった。

「1年かけてネタを作って、芸人として全力でそこに向かって走っていたし、次こそいけるやろって自分らを鼓舞してきました。

でも、あるときに限りある同じ時間を、別のことに使ったらどうなるんやろ、って思ったんですね」

ふたりで相談して、賞レースに出ることを一切やめてからは不思議なことにどんどん仕事が増えていった。


「何よりも自分が楽しんでやる。楽しそうだなと思わせてみせる」


「僕らコンビは、どこまでいっても野良なので(笑)、賞を目指して躍起になるより、自分たちが本当に楽しいと思えることをやる方がたぶん合っていたんです」

熱烈なファンを持つYouTubeは面白さとリアルさが売り。森田さんはかねてから「人生のすべてがネタになる」と話している。



美女とともに美食を堪能する森田さん。「こんな美味しい料理は初めて食べた」と一品ずつに嬉しそうな笑顔を見せる。大きなリアクションは見ているだけで楽しい。相手への感謝の言葉や感想を丁寧に伝える“気遣いの人”でもある


「最初にYouTubeでどかんと来たのは、ブクロのバイクを金ピカにするという企画だったんです。これがとてもウケた。

僕もマネージャーもそれ、絶対面白いという個人的な感覚があって、YouTubeは、これは面白いよな、いやそうでもないんちゃうみたいなこともそうだけれど、何より自分たちがシンプルに楽しいと思えることをやらせてもらっています。

見ている人になんか、楽しそうだなという空気感を伝えられたらすごく嬉しいですよね」

芸人だけではなく、経営者としての辣腕ぶりも発揮した今年。つい最近は最先端ビジネス本の表紙を東さんと飾ったことも話題を呼んだが、その経営ポリシーは?

「会社を立ち上げるときに、ブクロとマネージャーの3人でこの先、何があってもギャラはキレイに3分割にしようと話したんです。

『森田さんの稼働が多くても?』と聞かれることもありますが、それが3人の約束事。みんなのモチベーションが同じラインにあるというのはとても大切だと思うんです。

僕は自分のこと、経営者でも芸能人でもないと思っているし、こうして楽しいことができるのは、応援してくれるファンの方はもちろん、まわりにいる人のおかげでもある。そこはきちんと平等じゃないと。

僕が働きっぱなしで相方はずっとゴルフやっているとか、おもろいじゃないですか。経営戦略を立てるより、信頼関係を互いに持ってきたことでいまがあって、この先も変わらない」

どんな逆境に立たされたときでも心底信頼した相手とであれば、それに立ち向かい状況を変えることができるという信念は、森田さんの生き様を見ていれば分かる。


「自分たちが考えたことを一緒に面白がってくれる人を信頼している」


後輩から慕われ、先輩から可愛がられる森田さんが人間関係を深めるためにしていることは?



美女とともに束の間のレストランデートを楽しみ、店をあとにする森田さん。「こんな世界があるんやとドキドキしました。夢なら、まだ醒めてほしくないなぁ(笑)」とポロリ


「僕は下戸ですが、飲みニケーションは好きですよ。烏龍茶飲んでいるのに、朝方、先輩に『なんで顔赤いねん!』って言われることも(笑)。

その場がすべてではないけれど、自分たちが考えたことを一緒に面白がってくれる人を信頼している部分はある」

多忙の合間の息抜きはやっぱり気の置けない友人に会うこと?

「僕が住んでいる五反田にはたくさん飲食店があるので、好きなお店にはしょっちゅう通っていますね。美味しいもの食べると元気になりますよね。

ホルモンがめちゃくちゃ旨い『夏冬』や西口のはずれにある『とり口』はデートでも行きました(笑)。

まさに東カレっぽい洒落た内装で、いいムードになって付き合ったけれど2ヶ月で別れちゃった。中学生かって話なんですけれど(笑)」

いまではすっかりホームになった五反田で、森田さんは「次はどんなおもろいことをしよう」と、いたずらっ子のような企て顔でずっと考えている。

最後に2024年の抱負は?と尋ねると「ゆるーく右肩上がりで死んでいくのが理想です」と朗らかに笑い「でも」と言葉を続ける。

「僕らの面白さを共有してくれるタレントさんを増やしたり、いつかは養成所もやりたいという夢もあるんです」と語る森田さんの眼には熱い炎が宿っていた。


■プロフィール
森田哲矢 1981年、大阪府生まれ。相方・東ブクロと2008年にコンビを結成。2011年の「第32回ABCお笑い新人グランプリ」の優秀新人賞、2012年の「キングオブコント」で準優勝に輝き、知名度を上げる。個人事務所「ザ・森東」にて独立したことも話題となり、いまやテレビだけにとどまらず、YouTubeの登録者数は100万人を超える人気ぶり。

■衣装
[森田さん]ジャケット 72,600円、ニット 20,900円、パンツ 29,700円〈すべてデザインワークス/デザインワークス 銀座店 TEL:03-3573-6210〉、サングラス 33,000円〈ポリス/デリーゴジャパン TEL:03-6265-4878〉
[女性]ジャケット 121,100円〈ピーティー トリノウーマン/トレメッツォ TEL:03-5464-1158〉、ワンピース 165,000円〈オスロウ/フィルム TEL:03-5413-4141〉、バッグ 300,300円〈ヴァレクストラ/ヴァレクストラ ジャパン TEL:03-3401-8017〉

▶このほか:芸人・見取り図が美女と三角関係デート。ふたりが語る、東京で叶えたい野望とは?




東京カレンダー最新号では、森田哲矢さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、賞レースに出ることをやめた「さらば青春の光」に訪れた変化とは?

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