アプリで出会った男とのデート。指定された店を見て、女が「彼はナイ」判断した理由
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「終始紳士的な態度に徹していたデート。なのに女から連絡が来なくなった理由は?」という質問。さて、その答えとは?
マッチングアプリで出会った清彦から、LINEが入っている。
― kiyohiko:光希ちゃん、来週あたりでご飯どうかな?
悪い人ではないことは、わかっている。無難で“いい人”だということも。
でも二度ほどデートをしてみたものの、やっぱりダメだった。言葉にするのは難しいけれど、女性なら“あるある”と共感してくれるかもしれない…。
◆
アプリを開くと、年収も身長も高い清彦からいいねが来ていた。「いいな」と思ったのでいいねを返し、何度かやり取りをした後、実際に会うことになった。
初デートに、清彦が予約をしてくれていたのは、超高級な有名フレンチだった。
A1:年齢は気にしないけれど、初回の気合に少し引いた。
清彦から送られてきたお店のリンクを見て、私は思わず二度見をしてしまった。
― …え?こんな素敵なお店なの?
実際に会うのは初めてなのに、大丈夫なのだろうか。提示されたのは超高級なフレンチのフルコースで、最低での2時間半は一緒に食事をすることになる。
― メッセージのやり取りの段階からしていい人そうだったから、大丈夫かな…。
少し不安を抱えながらも、私は清彦が予約してくれたお店へと向かった。
「清彦さん、ですよね?」
「そうです。光希さん、初めまして」
お店へ着くと、すぐに清彦だとわかった。写真のとおりで、爽やかな印象の清彦。
「すごく素敵なお店ですね…こんなお店、予約してくださりありがとうございます」
「素敵な女性との初デートなので、気合が入っちゃいました。何がいいですか?まずはシャンパンからで大丈夫ですか?」
「はい、嬉しいです♡」
― うん、いい人だ。良かった。
合わない人だったら、2時間半をどう耐えようかと思ったけれど、彼なら大丈夫な気がする。
そしてその直感は正しくて、楽しい食事の時間となった。
「光希さんは、客室乗務員なんですよね?お忙しそうですね」
「でも意外にフレキシブルなんですよ。清彦さんは、ご自身で会社を経営されているんですよね?何系の会社なんですか?」
「貿易系です」
美味しいフレンチを食べながら繰り広げられる会話。高級感溢れる雰囲気にも、段々と酔いしれてきた。
「清彦さんって、今おいくつでしたっけ…?」
「僕は43歳になります。光希さんは…30歳くらいですよね?」
「そうです。今年で30歳になります」
「そっかー僕より一回り以上年下なのか…」
年齢を聞いた途端に、少し肩を落とした清彦。明らかに、落ち込んでいる。なので私も慌ててフォローに回る。
「でも、年齢はあまり関係ないですから!清彦さんは、むしろ何歳くらいまでが恋愛対象ですか?」
「僕はもう、何歳でも!でも若すぎても話が合わないので、30歳代くらいだと嬉しいです」
「私、そこに入ってますね(笑)良かったです」
― 大人の余裕がある人なんだな。
でもそうかと思えば、急に大きな声になる。
「もちろんですよ。最初にアプリで光希さんを見つけた時から、すごく可愛いなと思っていましたから!」
「清彦さん、声のボリューム抑えて(笑)」
ちょっと掴みどころがないけれど、悪い人ではない。それにこのデートも素敵な時間を過ごせた。
「今日はご馳走さまでした」
「喜んでもらえたなら良かったです。また良ければまたお食事へ行ってもらえませんか?」
「もちろんです!」
だから次のデートも行くことにした。しかし二度目のデートで、私は清彦に対してどういう感情を抱いて良いのか、わからなくなってしまった。
A2:店選びのテンションがよくわからない
初回はすごく素敵な高級フレンチへ連れて行ってくれた清彦。しかし二度目のデートのお店の詳細が送られて来たとき。私は違う意味で、二度見をしてしまった。
「え?ここなの…?」
清彦が選んだのは、庶民的で雑多な感じの焼肉店だった。しかも実際お店へ伺うと、想像の3倍くらいモクモク系だった。
「店構えは古いですが、ここ。本当に美味しいんですよ」
そうドヤ顔で嬉しそうに話す清彦を見て私も何も言えなくなり、黙って清彦が焼いてくれたお肉を食べてみる。
「本当だ…美味しいです!」
モクモク系のお店が決して悪いわけではない。むしろこういうお店は嫌いじゃない。でも仲良くなってからのデートや、女友達との食事“ならば”大歓迎だ。
でも、今日はまだ二度目のデート。私の中で違う意味のモヤモヤが広がっていく。
「でしょ?良かった〜。光希さん、高級店しか行かなさそうだから、こういう感じは逆に新鮮かなと思ったんです」
― あ…こっちタイプ?
「こんなこと、俺しかしないでしょ」と思っている男性が世の中には一定数いる。でも別に、自分が渇望していない世界を見せてくれたところで「好き」とはならない。
ただ本当に、料理は美味しい。だから煙にもまれながらも、とにかく焼肉を楽しむことにした。
すると、急にモクモクしている空間で清彦が真面目な質問を投げかけてきた。
「光希さんは、どういう人がタイプなんですか?」
― 別にいいんだけど、この空間でそれを聞く?
お肉がジュージューと音を立て、煙が舞い上がり、隣の席もかなり近くてガヤガヤしている空間で自分のタイプを話すのは若干気まずい。
「優しくて、誠実な人ですかね。あと背が高い人のほうが好きです」
そう素直に答えると、清彦は何かに気がついたのか、満足げに自己PRを始めた。
「僕、こう見えて真面目なんです」
「わかりますよ。誠実感がありますもん。年下の私に対しても敬語ですし…」
「心を開くまで、敬語が抜けないんですよね」
なんだか、しっくりきていないな。この時点で、薄々はそう感じていた。
しかしこの言葉に言い表せない微妙な違和感の正体が、2軒目でわかることになる。
「光希さん、良ければこの後もう1軒行きませんか?お連れしたいバーがあって」
「いいですね!行きましょう。…結構洋服に匂いついていますが、大丈夫な感じのお店ですか?」
「全然大丈夫です。知り合いの店なので」
そう言って連れて行ってくれたのは、打って変わってムーディーな、非常に薄暗いバーだった。
― これって…私、口説かれるのかな。
ついそう身構えてしまうほど、とにかく店内が暗い。恋人同士のためにあるかのようないいムードのお店…。
しかも清彦は、奥のソファ席へと誘導してきた。
「光希さん、良ければ奥のソファ席へ行きませんか?くつろげるので」
― うわ〜。これが鉄板コースなんだろうな…。2軒目でこういう暗いバーへ連れてきて、ソファ席で距離を近めて口説くんだ。
デート相手の女性にそう悟られてしまうのも、絶妙にダサい。
「ソファ席もいいですが、せっかくなのでカウンター席にしませんか?バーテンダーさんの動きも見たいですし。こういうお店、私カウンター席に座りたい派で」
初回なのに断れないような超高級フレンチへ連れて行ったかと思えば、次はもう少し関係性が深まってから行きたいような、B級グルメ系の焼肉。
そしてその焼肉の匂いがついたまま連れてこられたのは、ムーディーな口説くようのバー…。
清彦は、お店選びのセンスがない。
一店舗一店舗、チョイスはいいのに全体的にみると脈略がなく、テンションがわからない。
それを一言で表すと、“ダサい”のだ。
「またご飯行きましょう!次はイタリアンとかどうですか?僕の好きな店があって」
「いいですね、次はそこに行きましょう」
そう言いながらも、「次はないかな」と思っている自分がいた。
男女のデートにおいてお店選びは非常に重要。勝敗の50%はそこで決まる気もする。
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