言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」〜第111回〜

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「12月」

2023年最後の原稿に取り掛かるにあたって、愛用している手帳で一年を振り返ってみた。いつかの連載で書いた気がするけれど、こんなデジタルの時代であっても手帳は紙派。走り書きのメモがあったり、書き直した跡があったり、手書きならではの雑さが好き。今どきスマホで管理する方がいつでもどこでも見られて便利なのは分かるけれど、日付が書かれたマスを自分の字で汚していく方が好き。今年使った手帳も読めない文字でぎっしり。何度か飲み物をこぼしたこともあり、人様に見せることは出来ないけれど、存分に味が出ていていとおしい。

まず1月。正月早々、夫の実家に帰ることから始まり、これまでの寝正月とはおさらば。結婚というものを改めて感じたことを覚えている。そのあとの連休でスキーに行ったり、その頃ハマっていた乗馬にもちゃんと通っていた。アクティブな年始め。2月、誕生日祝いを兼ねてまたスキー旅行に行こうと予定していたら、夫が熱を出してキャンセルせざるを得なくなり、ガン萎え(死語ですね)。だが、私からの突然の連絡にもかかわらず親友がごはんに連れ出してくれたのが良い思い出。月末には弾丸で韓国旅行にも行った。忙しい月。3月、状況が一変。妊娠していることが分かり、オドオドする。分からないことだらけで不安な上に、まだ周囲に言えないことや悪阻(つわり)もあり、不安な日々を送る。4月、TOPIK(韓国語のテスト)で撃沈したのが記憶に新しい。この一年で一番ショックだったことだ。正直未だに立ち直れていないといっても過言ではない。5月、あまり記憶がない。まだ周囲に妊娠を伝えていなかったため、息を殺すように過ごしていた気がする。6月、公表し、ひと安心。先輩パパ・ママたちからの激励&アドバイスに目を白黒させる。新世界へ突入。

ざっと上半期はこんな感じ。望んでいた妊娠だったけれど、どんどん変わっていく体のスピード感に頭がついていけなくて、毎日フワフワ・ドキドキしていたことを思い出す。幸いにも悪阻が軽い方で仕事も概(おおむ)ねやれていたけれど、安定期まで周囲に言わない方が良いというあの暗黙のルールには少し疲弊した。一番体調が辛い時期に、辛いことを隠すというのがストレスでしょうがなかった。何かいい方法があると良かったのだけれど、見つからなかった。

下半期、7月はマタニティ生活で欠かせない存在になったヨガスタジオと出会った。これから毎週欠かさず通うようになる。8月、毎日暑い。けれど動けるうちに会いたい人に会うことを心掛けていた。体調も落ち着いて、精力的に活動する。9月、あっという間に産休入り。最後の収録に向けて準備したり、引継ぎしたり。せいせいした気分で意外と寂しくなかった。『あざとくて何が悪いの?』を勇退する回も撮った。田中みな実さんと山里亮太さんと一緒に番組を出来たことは、私のキャリアのハイライトになるだろう。とにかく勉強になった。10月、この頃から通院が週1になる。週3・4回ヨガに通っていたので、産休とはいえ毎日予定があって、なんだか忙しかった。合間に友達や会いたい人たちとランチ。充実していた。

あ、もう11月。予定日に無事女の子を出産。この月はとにかく助産師さんに何から何までお世話になった日々。足を向けて寝られません。本当に。皆さんが親身になって面倒を見てくれて、何から何まで手取り足取り教えてくれたからこそ、今私はこんなに元気に原稿が書けています。産後にメンタルやられてた時も気持ちを救ってくれたのは、夫より家族より、助産師さんだったなー。今日も昼夜問わず働いている全国の助産師さんたちに感謝。新米ママたちは皆さんに救われています。

そして12月。お産も想像以上に壮絶体験だったけれど、その後の育児にまつわる色々も予想を遥かに超えてきた。大変さもそうだけど、尊さも。人生観が変わった、とまでは言い過ぎだけれど、この経験を通して一皮も二皮も剥けた気がする。そしてこれからもすやすやと目の前で寝ている彼女との毎日で、私は変わっていくと思う。2024年は今までにないくらい挑戦と内面の変化が著しい年になるだろう。楽しみ半分、怖さ半分。産んだからにはやっていくしかない。気合十分である。

【弘中のひとりごと】育休を1カ月取ったくらいでドヤられても困るんですけど…正確には入院+産後ケアで、全然家いなかったんですけど…。1週間そこらで何もかも知ったように言われても、ねぇ。笑っちゃいますよねぇ。

ブラウス 41,800円(フミエ タナカ|ドール03-4361-8240)/ドレス 63,800円(バウム・ウンド・ヘルガーテン|S&T03-4530-3241)/ピアス 10,120円、ネックレス 9,350円(共にグレイhttps://graey.jp)/リング 25,300円(参考価額)(ポーンショップロンドン|ノウ ショールームmailto:hello@ontheparkstreet.com)/シャツ(スタイリスト私物)

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Profile:

ひろなかあやか

勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。