男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「初デートでうっかり酔ってしまった女。男はどう思っていた?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「やってしまった…」初デートでうっかり酔っ払ってしまった女。その時男が思ったことは…?




仕事が終わりオフィスを出た僕は、大手町のビル群を見上げながら、今夜飲みに行くか頑張ってジムへ行くかを考える。

スマホを確認すると、数人からLINEが入っている。けれども返信するのが面倒で、スマホをポケットに突っ込み駅へと向かう。

― 結局、なんだったんだろう。

初デートのあと、真央と数回LINEのやり取りをしたっきり、彼女からは連絡が来ない。だから僕からもしていない。

別に何かあったわけではない。

でもだからこそ、連絡がしづらい。気がつくと、真央と最後のやり取りから2週間が経っていた。


A1:自分のことが好きだと信じていた


真央とは、女友達の由香里の紹介で出会った。

由香里とは、食事会で出会っているがお互い特に何もなかった。だからこそ、由香里は僕に真央を紹介してくれたのだろう。

僕が彼女と別れて3ヶ月ほど経ち、ちょうど出会いを探していたタイミングで、由香里から「紹介したい人がいる」と言われた。

指定された青山にある『W AOYAMA The Cellar & Grill』へ行くと、すでに由香里と真央は席に着いていた。




適当にお互い自己紹介をして、由香里と出会った時の食事会の話などしていたが、僕は真央からの熱い視線を感じていた。

実は事前に、由香里から「洸平くんのことが超絶タイプそうな、私の友達がいて。絶対に洸平くんのこと気に入ると思うから、紹介してもいい?」と言われていた。

そんな事前情報があったので、僕は少々浮かれ気味で参加していたのだ。

だから、真央の視線を感じたとき、心のどこかで「いけるかも」と思ったのは否めない。

お互いの恋愛観の話になった時も、僕は真央のことを考えながら話していた。

「洸平くん、そんなに若いのに結婚願望があるの?」
「いや、そんな若くないですから(笑)真央さんとほぼ変わりませんよ」
「いや、でも私もう36だし…年上とか、どうですか…?」

これは明らかに、真央が「自分はどうですか?」と聞いていると捉えて間違いないだろう。だから僕は、ちゃんと食い気味に答える。

「僕ですか?年上、好きです!」

「真央さんは?どういうタイプが好きなんですか?」

自分たちでセラーから選んだワインを飲みながら、勢いをつけて聞いてみる。




すると、真央は意外な返答をしてきた。

「頼り甲斐があって、優しい人かな」

― 頼り甲斐…。僕は年下だけど、それって、違うってことかな。

真央は36歳で、僕は33歳。3つしか違わないけれど、一応年下だ。年上の人に比べたら、頼り甲斐はないのかもしれない。

僕は、少しずつ自信がなくなってきた。

「頼り甲斐ってどういうところで感じるんですか?」
「ふとした瞬間かな。洸平くんは?どういうタイプが好きなの?」
「僕は明るくて笑顔が可愛い人、かな。あとリアルに、年上の方も好きです」

仮に真央のタイプが違ったとしても、僕は直球で挑んだ。「年上の人が好き」ともハッキリ伝えたし、食事中もたくさん真央に絡んだ。

「真央さんって、めっちゃ肌綺麗ですよね。そもそも美人だし」
「そんなそんな」

謙遜する真央に対し、次の食事も自分から誘ってみた。

「今度、食事に誘ってもいいですか?もちろん二人で」
「も、もちろん!」

こうして食事の約束をし、一見スムーズに進んでいるかのように思えた。

でも初デートまでの間、僕が連絡をすると返信は来るものの、真央から連絡が来ることは一度もなかった。

― 仲良くなるまでは、あまりLINEをしないタイプなのかな。

そう思っていた。


A2:女が何を考えているのか、気持ちが掴めなかったから


そして迎えた初デート。僕なりに、結構気合を入れて挑んだ。

「お待たせしてすみません!」
「全然。早く来ちゃっただけなので」
「洸平くん、スーツなんだね」
「今日は仕事で人と会っていたので」

正直、「カッコイイね」とか何かしらの言葉を彼女が返してくれることを期待していた。でも真央は、何も言ってこない。

「真央さんは、今日も可愛いですね」

そう言ったものの、もちろんこれもスルーされた。

食事の時間は楽しかったけれど、特に恋愛の話もしなかった。真央のほうから「好き」とか「タイプだ」とか僕に言ってくれることもなく、ただ時間が過ぎていく。




― あれ?僕のこと、実は何とも思っていないのかな…?

事前情報を鵜呑みにして、「真央は僕のことが好き」と勝手に思って浮かれていた自分が恥ずかしくなってきた。

何も発展しないまま食事は終わってしまったので、僕は慌てて2軒目へと誘う。

「真央さん、よければもう1軒行きませんか?」
「もちろんです!」

そしてここでも、僕は結構頑張った。でも、真央の反応はよくわからないものだった。




「真央さんって、今彼氏いないんですよね?」
「うん、いないよ」

こう来たら、普通は「洸平くんは?どうなの?」とか聞いてくると思う。でも真央は、僕のことを何も聞いてこない。

もともとLINEもほとんど来ないし、こうやってデートをしていてもどこかそっけない。

― あれ?これって、むしろ嫌われてる?

最初に僕のことがタイプだと聞いていたのに、どうも話が違う。僕だって、恋愛で傷つきたくない。振られるのも怖い。

だから、確実なところへ行きたい。

そんなことを思っているうちに、お互いだんだんと探り合いのようになってきてしまった。

気がつけばワインがボトル1本も空いており、真央の顔が赤くなっている。

「真央さん、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。ちょっと酔ってきちゃったかも…」

そう言いながら、しなだれかかってきた真央。可愛いなと思ったので、僕は彼女の手を握りながら素直に自分の気持ちを言葉にしてみた。

「酔っ払った真央さん、可愛い」

でもこれも、真央に軽くあしらわれてしまった。

「そんなことまた言って…。洸平くん、毎回女性にそんなこと言ってるの?」
「真央さんだけですよ!こんなこと、誰にも言いませんから」
「そうかなぁ〜なんか信じられない」

― これって…全然脈ナシじゃないか?

男は臆病な生き物だ。どんなに虚勢を張っていても、結局は安全パイがいい。

多少でもいいから、「告白したらイケるかも?」くらいの可能性を見出せないと、怖くて一歩踏み出すことはできない。

「じゃあ真央さん、またね。気をつけて帰ってね」

結局、真央を家の下までタクシーで送り届け、あっさり解散となってしまった。

なんとなく虚しいデートだったし、なにかアクションを起こして傷つくのも嫌なので、初デート以降フェードアウト状態になってしまっている。

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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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