2024年1月から大手電力5社が電気代を値上げします。この傾向はまだまだ続きそう。光熱費対策として、太陽光パネルに加えて蓄電池の採用も検討しましょう。3年前に大容量のパネルを搭載し、オール電化の家を建てた日刊住まいライターは、現在、収支が赤字に転落しそうな事態に。そこで蓄電池の導入を検討中。初期費用、そして、その後の光熱費はどうなる? 試算してわかったことをレポート。

電気代の高騰で売電額より、深夜の電気代が上回る状況に

筆者は、3年前にハウスメーカーでオール電化の家を建てました。現在は、妻と2匹のネコたちと暮らしています。

延床面積27坪の総2階の家に、10.08kW(10kW未満申請)の太陽光パネルを搭載。大容量の太陽光パネルを載せることで、昨年までの2年間、光熱費(電気代)は年間10万円以上の黒字でした。

わが家は、深夜の電気代がお得な電気料金プランで契約。深夜の電気を使って、食洗機や洗濯機・エコキュートを稼働し、日中に発電する電気は売電しています。この売電額が深夜電力の金額を上回っていたからです。しかし、電気代の高騰で状況は一変。

 

上は2022年1年間の売電額と買電額の収支を表にしたものです。11月と12月は売電額より買電額(発電していない時間に使用している電気代)が上回っています。

この時期から電気の使い方を変更。深夜に稼働していた食洗機や洗濯機、エコキュートを、太陽光パネルが発電する時間帯に動かして、少しでも買電を減らす暮らしに。このことで、電気代が高騰している現在も、なんとか黒字を維持できています。

発電した電気を夜間も使える暮らしがしたい!

買電を減らすため、発電した電気を積極的に使う暮らしにシフトして、わかったことがあります。それは、それでも売電できる発電がかなりあるということ。そして「発電のない夜間に使えたらな〜」と素朴に思いました。

夜になれば、お風呂を沸かしたり、晩ごはんをつくったりします。それだけでなく、暑くて寝苦しい夏はエアコンを、底冷えする冬は暖房が欠かせません。夜間だからと消してしまえば、熱中症や風邪など、健康を害する恐れが…。

ですから日中に発電した電力で、夜も気にせず電気を使える暮らしができたらと、蓄電池のあとづけを考え始めました。

 

6.2kWhの蓄電池だと1か月で最大186kWhためられる計算

調べてみると蓄電池は、メーカーによりさまざまな種類があり、容量(kWh)も違います。とりあえずわが家では、建てたハウスメーカーで出している、オリジナルの蓄電池で検討してみることにしました。

この蓄電池は、定格容量7.04kWhで実効容量は6.2kWh。費用は工事費も含め75万5700円(税込み)です。

あくまで仮定の話ですが、1か月あたり、フル充電できた場合の蓄電量を計算しました。もし、毎日マックスでためることができるとすると、ひと月あたり186kWh(6.2kWh×30日=186kW)になります。

電力料金が高騰するなか、今まで買っていた日が出ていない夕方から翌朝までに使う電気を、買わずにすむのは大きい! 俄然、興味がわいてきました。

メーカーのシミュレーション結果でより現実的に!

さっそく建てたハウスメーカーで、検討していた蓄電池をあとづけした場合、光熱費の収支がどうなるか、シミュレーションしてもらいました。

そして届いたのが上の表です。わが家が蓄電池をあとづけしたときの、年間の蓄電池メリットは1694kWhとのこと。

わが家のこの1年間の電力使用量から、蓄電池をあとづけすると、買電額がいくら安くなるか計算してみました。

 

上は、わが家がこの1年間で買電した電力量と料金を表にしたものです。年間の購入した電力量は3252kWh。

昨年2022年の売電は9635kWhで20万2335円。蓄電池を設置するとなると、売電分は減ります。

メーカーからのシミュレーションにあった蓄電池メリット(蓄電される電力量)は1694kWh。その分を差し引くと7941kWhとなります。売電額(わが家の売電価格は21円)に置き換えると16万6761円。

売電額は下がりますが、それでもまだ大きな金額。そして2022年のデータで計算すると、電気代(買電)が3252kWhから1558kWhと、半分以下に減らすことができます。金額にすると5万円強。蓄電池で自家消費する方が、お得になると思いました。

なお、2024年1月から電力料金が上がりますので、蓄電池をあとづけする効果はさらに大きくなります。

災害時や電力ひっ迫時の停電対策としても安心

調べてみると、地方自治体の補助金が5〜10万円出ることもわかりました。それにこれからも電気代の値上げは、続くことでしょう。ちなみに、わが家で検討している蓄電池は15年保証。これなら壊れても修理してもらえる無料保証期間内に、十分元がとれそうです。

蓄電池のある生活を送っていれば、災害時や電力ひっ迫時の停電対策としても有効です。今回試算をした結果から、わが家は蓄電池の導入を前向きに考えていこうと思っています。