お笑いコンビ・麒麟の川島明がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「川島明 そもそもの話」(毎週土曜17:00〜17:55)。芸人、俳優、ミュージシャン、映画監督、スポーツ選手、料理人など毎週1組のゲストを迎え、誰でも知っているあの人の、意外と知らない“そもそもの話”を伺います。

10月21日(土)の放送は、ピエール瀧さん(電気グルーヴ)が出演。石野卓球さんとの出会いから電気グルーヴ結成までの経緯について語っていただきました。


(左から)ピエール瀧さん、川島明



1967年生まれ、静岡県静岡市出身のピエール瀧さん。高校1年生のときに、共通の友人を介して石野卓球さんと出会う。その後、石野さんを中心としたバンド「人生」に参加後、1989年にテクノ・ユニット「電気グルーヴ」を結成。1991年にアルバム『FLASH PAPA』でメジャーデビューします。以降、電気グルーヴとしての活動のほか、タレント、俳優、声優、ナレーターなどさまざまな分野で活躍中。2023年5月よりNetflixオリジナルシリーズ「サンクチュアリ -聖域-」で演じた「猿将(えんしょう)部屋」の親方役も話題を集めています。



瀧:卓球くんとつるんで40年ぐらい経つのですが、そもそもは高校に入学して、僕は野球部に入ったんです。高校には、いろんな中学校から集まってくるので、そこで自己紹介をしていたときに「音楽は何が好き?」っていう話になって、僕はY.M.O.とかクラフトワークといったテクノのアーティストが好きだったので、「そのあたりが好きかな」と言ったんです。

そうしたら友達が「瀧、そういうのが好きなんだ。俺の中学の同級生で詳しいやつがいるから、今度そいつの家に遊びに行ってみない?」と連れて行ってもらったのが、卓球くんとの最初の出会い。16歳の夏、石野卓球くんの家に行きました。

川島:ほう!

瀧:卓球くんの家に行ったら、レコードはいっぱい持っているし、サブカル系の漫画とかエロ本とかたくさんあって。学校にあまり馴染めないけど、暴走族にもいかないタイプですね。

川島:グレるほどの勇気もない(笑)。

瀧:はい。暴力性のないドロップアウト組です(笑)。各学校から一癖あるような連中が集まっていたのが卓球くんの家だったんですよね。

川島:へええ! アジト的な感じですね。そこでみんなでテクノを聴いているんですか?

瀧:卓球くんが当時持っていたニューウェーブのレコードを聴いたりしていました。それこそ、サブカル漫画のつげ義春さんとか、しりあがり寿さんの作品を読んでゲラゲラ笑ったり、みたいなことをしているうちに、卓球くんは静岡市内の小さいライブハウスで、自分でライブをやるようになって。

川島:高校生の頃からライブをやっていたんですね!

瀧:「ピンポン録音」っていうのですが、ラジカセにリズムマシンの音を録音して、それを流しながらもう片方のラジカセで録音をして、今度はシンセの音を入れる。そうすると、リズムとシンセの音が入ったテープができますよね。

それをかけながら歌を入れたりすると、多重録音ができるんです。その代わり、音質はどんどん悪くなっていきます。卓球くんはそういうことをしながら、高校時代から音楽を作っていたんです。

川島:電気グルーヴの原点となるような音楽ですね。

瀧:(僕はそれを観に行って)ライブで大騒ぎをしているうちに、「客席で大騒ぎするぐらいだったら、ステージで大騒ぎしたほうがいいんじゃないの?」っていうことになって、ステージに上がるようになりました。

川島:“卓球さんと愉快な仲間たち”って感じですね。

瀧:当時は楽器も何もできないし、歌も特段うまいわけではないから、ホントに暴走族みたいな感じでやっていたんだよね(笑)。騒ぎたい気持ちもあったんですけど、純粋に面白かったんですよね。

川島:楽しいことをやりたいっていう気持ちは、今も常にあるわけですよね。

◆将来なりたかった職業は?

川島:当時、瀧さん的に将来やりたいことはありました?

瀧:高校卒業をするときに進路を決めなきゃいけないじゃないですか。生物とか科学が好きなんだけど、医者は無理でしょってなって。臨床検査技師だったら、専門学校に行けばなれるかな?って思ったんです。だけど、専門学校の勉強をするのも面倒くさいなと思って。俺は(高校時代に)野球部を3年間やっていたので、それがアドバンテージになるなと思って、先生にお願いして専門学校の推薦もらって入学したんです。

あと、「東京に行きたい」っていう気持ちもあったんですよね。静岡にいてもしょうがないし、野良犬みたいなやつが、首輪が外れた状態で東京に行ったところで……っていう話じゃないですか。

川島:ちょっと命綱がほしいということで。

瀧:「手に職をつければ何とかなるのでは?」っていう思いで、臨床検査技師の専門学校に入学しました。でも、19歳の野良犬が東京に出たら、学校なんて行くわけがないですよね。

川島:毎日楽しいことをしたいですよね。

瀧:ゲームもやり倒してね。それで学校も辞めて(卓球くんのバンド「人生」に参加して、一緒に活動することになりました)。

川島:東京に出て来たものの結局、楽しいことを追求している卓球さんといることにしたんですね。

瀧:そうですね。あまりほかの選択肢は考えなかったです。

川島:芸人の道など、音楽以外の道は考えたことはない?

瀧:当時なりたかったのが映像ディレクターでした。音楽と映像が密接になってきた頃で、「音楽モノとかの映像を作るディレクターっていいな」と思って。「人生」は東京進出後、3年ぐらいで解散して、そのあと何も知らない状態で制作会社に入社しました。

川島:ちょっと歩みだすんですね。ただ、1991年に電気グルーヴとしてデビューしますよね?

瀧:制作会社に入った頃に、また卓球くんから連絡があって「今度『電気グルーヴ』っていうバンドを始めようと思うんだけど、またやらない?」って言われたんです。なんでまた俺を誘うのかなと思ったんですけど、「じゃあ、やる?」って聞かれて(笑)。

川島:瀧さん、ずっとグラグラですね(笑)。

瀧::そうだよ(笑)。目標がないのよ、常に(笑)。

川島:楽しいことがあると、そっちに行っちゃうんですね(笑)。

瀧:そうね。なりたかったものって、いまだにないかもしれない(笑)。



番組では他にも、少年時代の川島が「電気グルーヴのオールナイトニッポン」を聴いて受けた衝撃や、瀧さんが電気の楽曲の中でも特に思い出深い1曲、俳優デビューのきっかけ、好きな俳優などについて語る場面もありました。

次回10月28日(土)のゲストは、スリーピースロックバンド・サンボマスターです。メンバーの山口隆さん(Vo、Gt)、近藤洋一さん(Ba、Cho)、木内泰史さん(Dr、cho)3人そろって登場します。

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10月21日放送分より(radiko.jpのタイムフリー) https://www.tfm.co.jp/link.php?id=10831
聴取期限 2023年10月29日(日)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:川島明 そもそもの話
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国37局ネット
放送日時:毎週土曜 17:00〜17:55
パーソナリティ:川島明(麒麟)
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/somosomo/