オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカの5カ国による機密情報共有の枠組みであるUKUSA協定、通称ファイブ・アイズが2023年10月17日に、「知的財産の窃取と各国に対するハッキングやスパイ活動にAIを利用している」として中国を非難する共同声明を発表しました。

Five Eyes intelligence chiefs warn on China's 'theft' of intellectual property | Reuters

https://www.reuters.com/world/five-eyes-intelligence-chiefs-warn-chinas-theft-intellectual-property-2023-10-18/



Five Eyes spy chiefs warn Silicon Valley over Chinese threat

https://www.ft.com/content/0a37da0a-ad06-43d0-b069-bfafa0ff35a4

FBIのクリストファー・レイ長官は17日、ファイブ・アイズ各国の情報機関の首脳をシリコンバレーに招き、量子コンピューティングやAI、合成生物学などさまざまなハイテク分野で中国がもたらすリスクについての危機意識を共有しました。

会合後の声明で、レイ長官は「5つの情報機関のトップがあらゆるテーマについて会談するために一堂に会したのは今回が初めてであり、これは前代未聞の脅威に立ち向かうための前例のない出来事です。そして、イノベーションの保護に関するほぼ全ての会話にはひとつの共通項があります。それは中国政府です」と述べました。



レイ長官はさらに、「中国は長年にわたり、テクノロジーの網を駆使して企業を標的としたサイバー侵入、人的諜報活動、一見無害に見える企業の投資や取引を行ってきました。そして、この網を構成する糸の1本1本が、よりずうずうしく危険になってきています」と述べて、中国に対する懸念を示しました。

FBIは特に、AIが中国による種々の不正行為を強化することを警戒しており、レイ長官は中国が他に類を見ないほど多くの個人情報や企業データを盗んでいると非難しています。



また、会合に出席したオーストラリア保安情報機構(ASIO)のマイク・バージェス長官は、「中国は人類史上最も大規模で持続的、かつ巧妙な知的財産と専門知識の窃盗に関与しています」と指摘した上で、知財の窃取は軍事活動や他国への政治干渉に向けた動きの最初のステップに過ぎないと述べました。

バージェス長官によると、ASIOは2023年9月に、オーストラリアの権威ある研究機関に学者を忍び込ませて機密情報を盗むという中国の陰謀を阻止したとのこと。しかし、この手のことはオーストラリアや諸外国では日常茶飯事であるとバージェス長官は語りました。また、イギリス情報局保安部(MI5)のケン・マッカラム長官も、中国の秘密活動に対するMI5の捜査は2018年から2023年までに7倍に増加していると話しています。

一方の中国当局はファイブ・アイズの共同声明に対し、「根拠がなく中傷に満ちています」と述べて、中国は知的財産の保護に努めていると反論しました。中国の関係者はイギリスの経済紙・Financial Timesに「ファイブ・アイズ同盟は世界最大の情報組織であり、中国に関する誤情報を作って広めることに慣れています。またアメリカも、同盟国さえ容赦なく世界中で情報を盗聴しスパイ行為を行っています」と非難しました。