2023年9月21日から24日まで開催された「東京ゲームショウ2023(TGS2023)」。新作ゲームタイトルの発表や試遊というイメージが強いかもしれませんが、ゲームを支えるハードウェアや周辺製品も大きな見どころです。ということで、幕張メッセの会場で気になったアイテムをいくつかピックアップしてみました。

東京ゲームショウ2023(TGS2023)が開催されました

○ゲーム部屋のコーディネートをイメージできる「ニトリ」や「バウヒュッテ」

今回、家具メーカーとして出展していたのは、前回から出展している「ニトリ」と、以前から出展を続けている「Bauhutte(バウヒュッテ)」です。前回のニトリは、環境展示2つと椅子を多く見せていましたが、今回はニトリ製品で固めた環境展示3つと、スポンサードしているプロゲーミングチーム「DetonatioN FocusMe」のストリーマー「ネフライト」さんとコラボレーションしたゲーミングチェアを展示していました。

今年のニトリは環境展示に力を入れていました。こちらは白コーデ

書斎風の落ち着いた環境の展示です

電動ベッドというと、介護用のイメージがありますが、こちらはフレームレスタイプです。また、ローデスク向けのチェアも展示してありました。店舗ではあまり目立っていないそう

ゲーミングチェアのネフライトモデルが登場しました

バウヒュッテの新作は、ゲーミングベッド。以前も出していたのでは?と伺ったところ、当時のベッドは自社製品ではなかったとのことでした。今回の製品は電動リクライニング機能が搭載されており、マックスまで起こせば椅子としても使えそうです。自分だけのゲーミング環境として、なかなかいい感じだと思いました。

前回ゲーミングベッドと一緒に飾ってあった「ゲーミング着る毛布『ダメ着 4G』」は、ホワイトモデルを発表。また、ソファーシートとオットマンを組み合わせた寝そべりゲーミング環境が割と目立っていましたが、普通の展示もありました。電動昇降テーブルのホワイトモデルも新作だそうです。

今回は「寝ながらゲーミング」の提案が多く、電動ベッドを使っての環境を紹介

ゲーミングの白ブームに合わせて、「ダメ着」もホワイトモデルを先行販売しています

こちらも新作のソファーシートにオットマンを組み合わせた寝ころびゲーミング環境

このホワイトのチェアと左の電動昇降デスクのホワイトモデルも新作。通販主体でなかなか現物を見る機会がないバウヒュッテのアイテムを実際に触れられる貴重な機会です

○組み合わせ多彩なゲーミングシートで自分だけのモデルを

ゲーミングチェア単独で大きく展示をしていたのは「エンパイヤ自動車」のブース。イタリアのモータースポーツ関連用品を開発販売する「SPARCO(スパルコ)」の世界に1つだけのオリジナルモデルのゲーミングチェアを展示していました。

座面にアフターマーケットの自動車用製品に使用されるものと同じ素材を使用していることと、イタリア本国で製作されることをアピール。SPARCOは、レーシングスーツでも有名で、人に合わせた作りとチームロゴの刺繍による「ワンオフに近い製品」を短納期で作るノウハウを持っていることが魅力です。

著作権や商標権の問題をクリアしていれば、オリジナルの刺繍も入れられます。カーレース系のゲームのプレイヤーがチームでそろえるとかなりカッコよさそうです。

イタリア「SPARCO」の日本正規輸入元であるエンパイヤ自動車ブース。カラーリングだけで6万通り以上選べるうえ、オリジナルのプリントや刺繍で自分だけのゲーミングチェアを注文できます

レーシングスーツはドライバーに合わせた作りに加えて、チーム名やスポンサーのロゴが多く入ります。これを短納期で作るノウハウが土台になっているとのことでした

Thrustmasterのシミュレーションレーシングステアリングコントローラーにも採用されています

なお、近くにはGTCHAIRのブースもありました。こちらもTGS初出展です

○サードウェーブは来春公開予定の「eスポーツ映画」トークショーも

サードウェーブは前回同様「GALLERIA LOUNGE」としての出展。デスクトップPC、ノートPC、コラボモデルPCの展示のほか、ステージではトークショーなどを行っていました。

ビジネスディの初日の21日には、『サクラ大戦』などを手がけたクリエイターの広井王子氏と、映画監督の古厩智之氏を招き、来年春公開予定の劇映画『PLAY! 〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜』のトークショーが行われました。

広井王子氏は、映画『PLAY!』にて企画とプロットを担当。元々サードウェーブの尾崎健介社長から「eスポーツを題材にした映画を作りたい」と依頼され「この手のものは失敗する!」と一度は断ったものの、尾崎氏が高校時代に「いずれ映画を作りたい」という夢を持っていたことから引き受けたエピソードから始まり、高校eスポーツ選手権に出場した「引きこもりの高校生が大会に出たいために(仲間を募るために)学校に行った」ところにドラマ性を感じ、実際のエピソードを元に脚色を加えたことなどを話していました。

トークショーが終わって、ブラブラしているとハピネットブースでも『PLAY!』のTGS向け特報映像が流れていて「?」と思ったのですが、実は配給・宣伝はハピネットファントム・スタジオが担当していました。

トークショーの参加者。左からOooDa氏(当日のMCで『PLAY!』の出演者とも発表)、広井王子氏(企画/プロデュース担当)、古賀俊輔氏(チーフプロデューサー)

俳優の奥平大兼さんと鈴鹿央士さんがW主演まで発表されていましたが、当日は追加のキャストも一部公開。胡桃のあさんは胡桃のあ役として出演

キャスター役に平岩康佑氏を起用する「脇を固めた配役」です。広井氏は当初「おもしろくないからゲーム画面を出したくない」と思っていたそうですが、プロゲーマーのプレイと監督の古厩智之氏のカット割りの仕上がりに「見ているだけで興奮する。名監督ってすごい」と思ったそう

一般日にもトークショーが行われました。オフラインイベントで毎回大人気のストリーマーSHAKAさんによる「Meet&Greet」は、2回(各会45名限定)のふれあいタイムを用意。整理券配布は瞬殺でした。

1回目最後にふれあいした人は、8時30分に駅に到着して、会場内をHall1から8まで早歩きして、最後の1人として滑り込みセーフで参加できたそう。そのため、同行の友人は参加できなかったとのことでした。

SHAKAさんにサインを書いてもらっている間に、ほかのゲスト(トナカイトさん、MOTHER3さん)とツーショット撮影したのち、SHAKAさんともツーショット、さらに4人のショットと「1回で5つ楽しい!」を実現していました。人数は少ないものの、1人当たりの時間が長めなのでファンにとっては最高の体験になったと思います。

ブースには、さりげなく新製品も並んでいました

オマケ。GALLERIAブースは毎回寄せ書きコーナーがあるのですが、そこに「鳥山明サイン」が……。本物かどうかは真偽不明です

○没入感抜群! 会場で見かける機会が増えた「防音室」の展示

今回、比較的多かったのが防音室。ヤマハは本格的な防音室とオーディオ環境を入れたデモルームを用意していましたが、中の音は外に漏れずなかなかいい感じでした。

ヤマハはセフィーネNSをベースとしたゲーム部屋を展示。音場調整版やヤマハ製アンプ、ヘッドフォンなどを組み合わせていました

実際に体験したところ、ファンの音が気になるぐらい外の音がシャットアウトされており、いい感じでした

また、プラ段ボールとワンタッチロックを使用した製品が数社から展示。こちらは、がんばれば自分でも組立できる、不必要ならば畳んでスペースを少なめにできるのが魅力です。

川上産業は独自開発したロック機構をウリにしており、自分でも簡単に組立・分解できるとアピール。以前ドスパラ長野稲里店に取材に行った際に防音室の展示を3つ見つけましたが、そこにもありました。

また、インフルエンサー/クリエイター向けの体験、配信用スペース「クリエイターラウンジ supported by YouTube Gaming」では、試遊環境に防音室を使っていました。

川上産業の製品。独自のワンタッチロックプラパーツでプラ段ボール同士を結合し、自分で組立できるのがメリットですが、遮音性に関しては吸音材等を張り付ける必要がありそうです

ワールド化成のゲーム基地。ドライバー1本で組立できるほか、このモデルは熱源となるパソコンを外部に出して、ケーブルだけ引き込む仕組みでした

「クリエイターラウンジ supported by YouTube Gaming」の試遊台スペースには川上産業の製品が使われており、やたらとサインだらけでした

○GigaCrysta10周年で記念モデル予告と新キャラクター発表

今年のアイ・オー・データ機器は、cafeをイメージした出展です。ところせましとゲーミングモニターが並んでいました。

2日目のブース内イベントでは、広報宣伝部部長の西田谷直弘氏がGigaCrysta10周年の記念企画を2つ発表。1つは「10周年記念モデルを複数出す」という話で、その1つとしてOLEDモデルを予告していました。「トータル何モデル程度発表するのか?」という質問には「5製品ぐらい出したい」と回答。来年には、記念モデルがかなり発表されそうな感じを受けました。

もう1つは、イメージキャラクターの発表です。従来から使われているイメージキャラクター「ギガクリマン」はロボット調で少々お堅いのですが、これに対してやや柔らかいキャラクター「ギガクリシア(Gigacrycia)」を追加投入します。

3次元化も前提の「Gigacrycia」については、当日キャラクター作者のLagさんと3次元化を担当するタレントの黒沢美玲さんも登場。Lagさんに依頼をした経緯に関してはアイ・オー・データ機器本社で行われたゲームイベントに参加していたところに「キャラクター作成をお願いした」というかなりの無茶振り。さらに当日はギガクリマンとテイストが異なるので、ギガクリマンのリモデルもお願いされていました。

TGSのアイ・オー・データ機器ブースは毎回テーマを定めていますが、今年はカフェ。キャンペーンガールはメイド服です

ブース中ゲーミングディスプレイだらけ。画像はハイリフレッシュモニターの比較で、わかるのかしらと思ったら「普段240Hzを使っているが360Hzの効果を感じた」とコメントの人もいたそうです

GigaCrystaは来年10周年&累計100万台出荷を予定。ということでOLED製品を含む複数の記念モデルを発表していました

当日の登壇者。左から司会のトンピ?氏、Gigacryciaのコスプレ担当のタレントの黒沢美怜さん、新イメージキャラクターのGigacrycis、石川県在住でアイ・オー・データ機器のゲームイベントWACHA-WACHAに参加したのをきっかけに制作を依頼されたイラストレーターのLagさん、アイ・オー・データ機器 広報宣伝部部長の西田谷直弘氏

○新ツールや新補正技術をチラ見せの「BenQ」

ベンキュージャパン(BenQ)のブースは、ゲーマー向けの液晶モニタとして「ZOWIE」と「MOBIUZ」を展示。さらに、環境展示として液晶プロジェクターも紹介していました。

「ZOWIE」は、eスポーツタイトル向けのハイエンドブランドで、当日はDyAcの新バージョンサンプルを現行製品と並べて展示していました。現行のDyAc+よりも高FPS時のモーションブラーがさらに軽減されているとのことです。

このサンプルは現在世界に1台だけですが、すでにプロゲーマーによるフィードバックを受けてチューニングは済んでおり、現在は新製品の筐体デザインを検討中の段階。発売時期は未定ですが、発売されれば「ライバルに差をつけるアイテム」として人気を呼びそうです。

対して「MOBIUZ」は、新ツールColor Shuttleを紹介。ゲームごとに細かなプリセットができるほか、その設定データをほかの人にも公開できるのが大きな特徴です。

人気ストリーマーやプレイヤーの設定をダウンロードして、自分のプリセットとして使えるので、MOBIUZユーザーはぜひ試してみてください。

BenQブース。4Kプロジェクターで「スタッフと対戦して勝ったらTシャツゲット」のイベント中でした

DyAc2のデモ(左)と、現行のXL2546のDyAc+(右)。ちなみに下のマウスパッドは25日販売開始の新製品です

実際のゲーム画面でも効果を確認できました

MOBIUZ用の新ツール「Color Shuttle」の紹介ビデオとパネル。ゲームタイトルごとにプロやインフルエンサーの設定が使えますし、自分の自慢の設定を公開することも可能です



MOBIUZゲーミングモニター専用ソフトウェア Color Shuttle | BenQ

○自作パーツに環境展示に携帯ゲームにと、意欲的な展示のROG

今回PCパーツメーカーの出展は少なかったのですが、かなり意欲的なブースを出していたのがASUSの「Republic of Gamers(ROG)」です。以前はバウヒュッテとコラボしての環境展示を行っており、ここ数年はIKEAとコラボしていました。今年はどちらともコラボ。個人的にはローチェアのレース環境が気になりました。

バウヒュッテの機器を使ったレースゲーム環境展示。カーレースゲームとローテーブルの相性はなかなかよさそうです

また、PCパーツとしてエヴァンゲリオンコラボの第2弾製品も展示。さらに、マザーボードなどの中にさりげなく展示されていたのがおそらく現在最高のリフレッシュレートとなる520Hzのモニター。今年DELLが500Hz製品を発表して驚いていたのですが、早くも新記録達成です。そのほか、携帯ゲーム環境の「ROG Ally」と幅広い展示内容も印象的でした。

エヴァンゲリオン初号機も以前コラボしていましたが、今回は弐号機。初号機は液晶まで専用モデルを出していましたが、弐号機はマザーボード、ケース、電源、CPUクーラー、グラフィックスカード、カードホルダー、マウス、キーボード、キーキャップ、グリップシールまであります

国内未発売の「ROG SWIFT PRO PG248QP」。早くも520Hzリフレッシュレートの製品が登場し、どこまで上がるのか気になるところです

携帯ゲームパソコンである「ROG ALLY」も展示してありました

○ラグジュアリーとハイエンドノートがおもしろいMSI。背面コネクタパソコンも

MSIにも各種の製品が展示されていました。ラグジュアリー系ノートPC「STEALTH 16 Mercedes-AMG Motorsport」はメルセデツベンツ、しかもAMGとコラボしたモデルで、パーツのあちこちにスリーポインテッドスターマークが入っており、ディスプレイも4K OLEDとゴージャス。隣には、ハイエンド製品として「RAIDER GE78 HX 13」が置いてあり、こちらは「Core i9-13950HX」プロセッサと「GeForce 4090」に2.5K 240Hzモニターと、望みうる最高スペックを詰め込んだ製品です。お値段はAMGモデルより高いです。

これらのハイエンド製品を効率よく動かすために、本体内には多くのヒートパイプが入っており、効率的な排熱を促しています。これ以上の冷却能力を求めるなら水冷となるのですが、水冷ノートパソコンは大きさも制約が大きく今のところ採用はなさそうとのことでした。

デスクトップPCでは、電源コネクタが裏側に付いた製品と対応ケースの展示がありました。これを使うと電源ケーブルが出ないのでスッキリとしたレイアウトにできるのがメリットですが、まだ市場投入の予定はないようです。

「STEALTH 16 Mercedes-AMG Motorsport」と「RAIDER GE78 HX 13」。前者は裏に置かれた電源までAMGロゴが書かれています。お値段は30〜43万円前後。対して最上位モデル「RAIDER GE78 HX 13」は80万円前後です

「Raider GE78 HX 13V」シリーズの冷却機構は「Cooler Boost 5」でCPU/GPUそれぞれ専用のヒートパイプ3本、独立型ヒートパイプ3本を使用しています

高発熱となるPCIe 5.0版M.2 SSD対応のクーラー。最大20度冷やすことでサーマルスロットリングを抑えます

あとでデスクトップの方を見ると配線がスッキリというより見えないパソコン「STORM Powered By 幻界」がありました。背面コネクタモデルで興味があるのですが、「このモデルはSTORM版で日本で出ていない」とのことでした