画像生成AIへの注目が集まる中、PhotoshopやIllustratorなどを展開するAdobeも著作権的にクリアなことを特徴とする生成AI「Firefly」の開発を進めています。2023年9月13日(水)には、Fireflyの各種機能が一般公開されるとともにクレジット制の導入や商用利用の解禁が発表されました。

アドビ、Adobe Fireflyの一般提供開始と「Adobe Firefly web版」を発表

https://www.adobe.com/jp/news-room/news/202309/20230913_commercial-release-of-gen-ai.html

Adobe ExpressでAdobe Fireflyの生成AI機能が商用利用可能に

https://www.adobe.com/jp/news-room/news/202309/20230913_adobe-express-firefly-commercially-available.html

◆Fireflyの各種機能が一般公開

Adobeの生成AI「Firefly」では、説明文を入力するだけで画像を生成できる「生成塗りつぶし」や、説明文に沿ってアートワークを再配色できる「生成再配色」などの機能を利用できます。Fireflyの各種機能はこれまでベータ版として公開されてきましたが、2023年9月13日(水)に一般公開されました。Fireflyの一般公開で使えるようになった機能の一部は以下の通り。

・生成塗りつぶし

「生成塗りつぶし」は選択範囲にAI生成画像を挿入できる機能で、「ボールで遊ぶ猫」「霧に包まれた森」といったように日本語で説明文を入力するだけで好みの画像を生成できます。さらに、画像内の背景部分だけを切り取れる「背景を削除」と組み合わせれば、「背景を削除してAIで生成した別画像を背景として使う」といった操作をサクッとこなせます。生成塗りつぶしはPhotoshopやウェブ版Fireflyで利用可能。生成塗りつぶしでどんな操作ができるのかは、以下の記事を読むとよく分かります。

Photoshopに画像生成AIが搭載されて「画像に好みの被写体を追加」「背景を別物に変更」といった操作を日本語で指示するだけでサクッと実行可能になったので使ってみた - GIGAZINE



・拡張生成

「拡張生成」は画像の外側に画像の続きを追加できる機能です。拡張生成を使えば「上半身しか写っていない人物写真に下半身を追加」「狭めに撮影した風景写真を広角カメラで撮影したような広大な景色に修正」といった操作が一瞬で完了します。拡張生成もPhotoshopやウェブ版Fireflyで利用可能。以下の記事では、拡張生成で画像を拡張する手順や編集結果をまとめています。

Photoshopに「被写体の途切れた部分を補完」「狭い景色を拡大」など画像の拡張が可能な「拡張生成」が追加されたので使ってみた動画 - GIGAZINE



・生成再配色

「生成再配色」は編集中のアートワークの配色をAIに置き換えさせる機能です。例えば「暑い夏」「星の輝く夜」といったように画像の雰囲気を示すテキストを入力することで、アートワークの配色を雰囲気に沿ったものに変更してくれます。「生成再配色」はIllustratorやウェブ版Fireflyで利用可能です。

テキストで雰囲気を指定するだけでAIが画像の配色を調整してくれるAdobe Illustratorの新機能「Generative recolor」を使ってみた - GIGAZINE



◆画像生成機能にクレジット制が導入される

生成塗りつぶしや拡張生成のベータ版では回数無制限で画像を生成可能でしたが、一般公開に合わせて「生成クレジット」による回数制限の導入が発表されました。生成クレジットは契約プランに応じて毎月配布され、生成塗りつぶし、拡張生成、生成再配色などの画像生成機能を使うたびに1クレジットを消費する仕組みです。また、クレジットの消費レートは今後も変動する可能性があるほか、より多くのクレジットを消費することで高解像度の画像生成に対応する仕組みも構築される予定です。



毎月付与されるクレジットの数は契約プランや契約開始時期によって異なります。個人向けのCreative Cloud契約者が得られるクレジットの数は以下の通り。PhotoshopやIllustratorなどを単一アプリごとに契約している場合は毎月500クレジットが得られ、PhotoshopやLightroomなどがセットになったCreative Cloud フォトプランを契約している場合は契約開始日に応じて毎月250クレジットか100クレジットを獲得できます。



また、無料プランの加入者にも毎月25クレジットが配布されます。



教育機関向けプランやエンタープライズ向けプランなどのクレジット付与数は以下のページにまとまっています。

生成クレジットに関するよくある質問

https://helpx.adobe.com/jp/firefly/using/generative-credits-faq.html



◆Fireflyで作成したコンテンツの商用利用が可能に

Fireflyの各種機能のベータテスト中は作成したコンテンツの商用利用が不可能でしたが、2023年9月13日(水)の一般公開を機に商用利用が可能となりました。Fireflyは著作権が失効したパブリックドメインのコンテンツやAdobeのストックフォトサービス「Adobe Stock」に登録されたコンテンツのみでトレーニングされているため、著作権的にもクリアであるとされています。