高校陸上界に現れた逸材1年生 中3から連続日本一、800m久保凛は元サッカー少女で久保建英のいとこ
陸上インターハイでインパクトを残した東大阪大敬愛の1年生・久保凛
陸上の全国高校総体(インターハイ)は6日に5日間の熱戦が幕を閉じた。数々の名勝負や好記録が生まれたが、最もインパクトを残した一人が女子800メートルで優勝した東大阪大敬愛(大阪)の久保凛。5日に行われた決勝を2分6秒41で制し、1年生にして高校No.1に輝いた。元サッカー少女で、日本代表MF久保建英のいとこという逸材は、高校女子陸上界で今後が楽しみな存在になりそうだ。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
高校生になって、まだ4か月。あどけなさの残る15歳が、北海道の夏一番の輝きを放った。8人で争われた女子800メートル決勝。久保は3番手につけ、先頭をうかがいながらレースを展開。そして、ラスト100メートル。一気にピッチを上げ、力強い腕の振りで抜け出すと、追いすがる7人の選手を振り切り、ゴールに飛び込んだ。
入学当初は想像すらできない夏になった。
「1年生の夏はインターハイに出場することが目標だったので。今までやってきた練習の成果が出し切れたと思うし、それで優勝できたことがうれしい」
朗らかな関西弁で喜びを口にした。
最初に心が躍ったスポーツはサッカー。地元の和歌山・串本JFCで小1からボールを追いかけ、右サイドハーフを攻め上がった。好きな選手は「澤穂希さんや男子ならネイマール選手やメッシ選手です」。陸上もやっていたが、「たまに行くくらい」だった。
転機は小学校高学年。地元の駅伝大会で区間新記録を出し、中学入学を機に本格的に陸上を始めた。サッカーで培った脚力を伸ばし、中3で全日本中学校陸上競技大会で800メートル優勝するまでに大きくなった。ただ、本人が「もっと練習しないといけない」と思わされたのが、今年1月の全国都道府県駅伝だ。
いとこは久保建英「自分も将来陸上で世界で活躍する選手になれたら」
中学生の3区で区間2位と好走したが、それを上回ったのが同い年のドルーリー朱瑛里だ。区間1位、圧巻の17人抜きで一躍全国区になった。
高校入学以降は「ラストの部分で競り負けないように」と課題を潰した。その成果もあって、全中から2年連続の日本一を達成。「(ドルーリーには)中学の時は足元にも全然及ばない存在だったけど、高校に入って練習を積むにつれて少し近づけたのかな」と謙虚に成長を実感した。
高校No.1の称号を掴んだルーキーは、実はサッカー日本代表・久保建英のいとこ。小さい頃は会ったこともあり、「世界で活躍している姿を凄いなと思うので、自分も将来陸上で世界で活躍する選手になれたら」と夢を膨らませるが、それだけの才能は十分にある。
陸上では東京五輪女子1500メートル8位入賞の田中希実に憧れる。「夢はオリンピックに出場すること。いろんな種目に挑戦して自分に合った種目を見つけていきたい。インターハイは来年も再来年も良い成績を残せるように」と、早くも次のステップを見据えた。
囲み取材の終わり。「ありがとうございました!」と記者一人一人に目を合わせ、頭を下げる実直さに伸びしろがうかがえた。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)