パンダは肉食動物であるクマの仲間なのに、なぜタケを食べるのだろう? おいしくなさそうだし、栄養もあまりなさそう。そういえば、白黒模様も謎! ここでは、知らないと損するパンダの秘密や魅力をまとめたい。



○パンダは食べたタケの20%しか消化できない!

パンダは中国の山地などに住んでいる。丸顔&ずんぐり体型でまるでぬいぐるみだが、鋭い犬歯やカギ状になった爪を持つ肉食動物である。野生では、果実や鳥の卵などを食べることもあるが、主食はタケ。葉っぱはもちろん、竹製品にも使われる稈(かん、茎のこと)もバリバリ食べる。



とはいえ、パンダの歯や消化器官は他の肉食動物とほとんど変わらず、タケを効率的に消化することができない。パンダの腸内には、草食動物の腸内で見つかるものに似た細菌が存在することが確認されており、それらが消化を助けるが、食べた量の20%ほどしか消化できないと言われている。

だから、1日中タケを食べ続けているというわけ。

○ウンチの色は食べたものそのものの色!

食べたものを消化できないということは、食べたものがほぼそのまま出てくるということ。タケの葉を食べたときは緑色、稈を食べたときは黄色である。機会があったらぜひ観察してほしい。

食べても消化されにくいので、パンダはほとんどの時間、絶え間なくタケを食べ続ける。のっそりスローな動きも、エネルギー消費を抑えるためという話。

上野動物園のパンダ舎内にウンチの模型が設置してある!

○進化の結果、タケを主食にした!?

他の動物が見向きもしないタケを食べるようになったのは、進化の結果である。パンダの住む寒い山地では、他のクマが食べているような木の実や小動物が得られにくい。そこで、冬でも枯れず、成長も早いタケを利用するようになったと考えられている。

アゴから頭のてっぺんにかけて発達した筋肉は、タケを力強く噛むことを可能とした。また、タケの皮をむくのに便利なキバのような前臼歯、タケをすり潰すのに役立つ凹凸のある大きな臼歯など、歯の構造もタケ食に適応している。

○パンダ専用「パンダミルク」があるんだって!

パンダはタケ以外のものを食べないのかといえば、NO。野生では、タケノコや虫、小動物を食べたという記録もある。

上野動物園も会員となっている日本動物園水族館協会では、動物の飼育方法を解説する技術図書『新飼育ハンドブック』を作っている。高価な本だが、筆者はこれを愛読している。

パンダのエサについても、かなり実用的に記述されている。

「上野動物園での飼料で、量の一番多いのが竹である。通常は定期的に入手できる猛宗竹を与えるが、真竹や矢竹も好み、竹の採食量が落ち込んだときなどに使用することがある。竹は葉、細い茎、太い茎の内側の髄の部分などを食べる」とのことだ。

竹以外では、トウモロコシだんごやリンゴ、秋はカキ、初夏はタケノコを与えているとのこと。おもしろいのは、ミルク粥。パンダミルクに馬肉スープや麦飯、ミネラル、ビタミン剤を加え、水で粥状に炊いたものとのことだ。パンダミルクとは、ジャイアントパンダの乳成分に近づけて作られた特注品である。

○タケを持つための指がある!?

パンダは、手(前あし)の形がかなり独特で、おもしろい動きをみせる。前あしには5本の指の他、「第六の指」と呼ばれる肉質の出っ張りがある。



タケをつかむとき、本来の指に加え、この出っ張りが「6番目の指」のように働くのだ。

○パンダ最大の謎、白黒模様の秘密

パンダの大きな特徴の一つが、白黒模様だ。「雪景色に溶け込み、身を隠すのに役立つ」「黒色が熱を効率的に吸収するため、あしや耳を冷えから守れる」など、さまざまな説があるが、いまだに解明されていない。

確かに、雪の多い土地なら、白い部分は雪に、黒い部分は影にまぎれて身を隠すのに役立つかもしれない。また、黒色の入り方によって仲間同士を識別する目印になるのかもしれない。パンダとは実に謎多き生き物だ。

では、最後にクイズ。パンダのしっぽは何色?



正解は、白。

ぬいぐるみやイラストで、しっぽが黒く描かれているのは間違い! ぜひ、動物園に出かけて確かめてみてほしい。

※写真は筆者撮りおろしとフリー素材です。ありがとうございました。

▼あわせて読みたいパンダのこと

“ピンクピン太郎”じゃなくて…上野動物園生まれの「シャンシャン」が特別なパンダだったわけ