本来は海岸に住む生き物が海上を漂うゴミに付着し新たな生態系を構成していることが判明
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本来であれば外洋に出ることができない沿岸の生物たちが、プラスチック廃棄物の漂う太平洋ゴミベルトに集まり、新たなコミュニティを築き上げていることが調査により明らかになりました。
Extent and reproduction of coastal species on plastic debris in the North Pacific Subtropical Gyre | Nature Ecology & Evolution
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The Great Pacific Garbage Patch Is So Big, Invasive Species Are Now Thriving On It : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/the-great-pacific-garbage-patch-is-so-big-invasive-species-are-now-thriving-on-it
The Great Pacific Garbage Patch is now so huge and permanent that a coastal ecosystem is thriving on it | CNN
https://edition.cnn.com/2023/04/17/world/plastic-pollution-ocean-ecosystems-intl-climate/index.html
海に投棄された廃棄物は有機物であれば数ヶ月、長くても数年で分解されて海の底に沈むのに対し、プラスチック廃棄物ははるかに長い時間海に浮かぶことができるため、生物はプラスチック廃棄物に付着して外洋で生き残り、繁殖することができます。
スミソニアン環境研究センターに所属するリンジー・ハラム氏らは、こうしたプラスチック廃棄物にどのような生物が付着しているのかを調べるため、2018年11月から2019年1月の間に太平洋ゴミベルトから回収された105個のプラスチック廃棄物を調査しました。
その結果、プラスチック廃棄物には46種・合計484体の海洋無脊椎動物が付着していたことが分かりました。しかし、そのうち80%の生物は、通常であれば沿岸で発見される種類でした。
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The Ocean Cleanup.
プラスチックに生物が付着して漂流するという例はこれまでにも確認されています。例えば、2011年に東日本大震災が発生した際は、津波により押し流されたプラスチックに生物が付着し、北太平洋を横断したことが知られています。また、2017年に北米とハワイで採取されたゴミには、6年間にわたり数百種の無脊椎動物がくっついていたことも明らかになっています。
しかし、沿岸に生息する生物が外洋を航海するという例は確認されてはいたものの、一体どのような種類の生物がこうした経験をするのかといった具体的なことはほとんど知られていないままでした。
ハラム氏らによると、今回採取したプラスチック廃棄物からは甲殻類やイソギンチャク、ブリオゾア(コケムシ類)などが見つかっているそうです。こうした生物たちは、ただ生き延びていただけでなく、子を作り、繁栄を成し遂げていたと報告されています。しかしながら、プラスチックが回収された地点は「フードデザート((食の砂漠)」と呼ばれるほど餌の少ない辺境の海域だったため、生物たちがどのように餌を獲得し、どのように生き延びていたのかは明らかになっていません。
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Linsey Haram/Smithsonian Institution
海流によってゴミが集まる太平洋ゴミベルトには推定8万トンのプラスチック廃棄物があると考えられています。国連環境計画(UNEP)によると、世界では年間約4億6千万トンのプラスチックが生産されていますが、リサイクルされているプラスチック廃棄物はわずか9%程度で、22%は管理が行き届かずゴミとして廃棄され、海洋に流れ込んでいるとのこと。緊急の政策措置がなければ、プラスチック廃棄物が海洋に流入する割合は2023年から2040年にかけて約2.6倍に増加する可能性があるそうです。
ハラム氏は「プラスチック廃棄物は、沿岸の生物が新しい生息地に侵入するためのルートになってしまっています。沿岸の無脊椎動物が漂流物に乗って海に出れば、海洋のコミュニティを根本的に変えることになるかもしれません」と話し、ゴミの流入が既存の生態系に影響を与えかねないと警告しました。