作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00〜19:55)。2月26日(日)の放送は「村上RADIO〜ペット・サウンズ オールカバー〜」と題して、ビーチ・ボーイズの伝説的アルバム『ペット・サウンズ』の完全カバーをオンエア。村上さんが愛聴するブライアン・ウィルソンの音楽世界を、さまざまなミュージシャンのカバーで新しい角度から紹介しました。この記事では、中盤4曲について語った内容と、“収録中のつぶやき”を紹介します。


村上RADIO



◆Anne Sofie Von Otter Meets Elvis Costello「Don't Talk (Put Your Head On My Shoulder)」
A面4曲目の「Don't Talk」。これ、僕の大好きな曲です。何も言わないで、僕の肩に顔を寄せて。オペラ歌手のアンネ・ゾフィー・フォン・オッターとエルヴィス・コステロ。なかなかユニークにして、魅力的な組み合わせです。

◆Peanut「I'm Waiting For The Day」
A面5曲目の「I'm Waiting For The Day」。ピーナッツという女性歌手が歌いますが、この人のことはよくわかりません。でも、なかなか素敵なカバーだと思います。

自分が想いを寄せる人が、恋人に捨てられて泣いていて、彼女を慰めながら、いつか僕のことを好きになってくれる日が来るのをじっと待っているよ、と語りかける歌です。ここで歌っているのは女性ですけど。ある評論家は『ペット・サウンズ』というアルバムを「幸福についての悲しい歌の集まり」だと言っていますが、なかなか的を射た表現だと思います。

◆Sean Macreavy「Let's Go Away For A While」
“しばらくどこかに消えたいね”「Let's Go Away For A While」。どこか別の場所に消えてしまいたいというのは、当時のブライアンの正直な気持ちだったかもしれません。センシティブで傷つきやすい人だったんです。『ペット・サウンズ』の多くの曲には、彼の心の静かな叫びみたいなものが託されています。
本来はインストゥルメンタル曲ですが、ここではショーン・マックリーヴィーが歌詞を付けて歌っています。

<収録中のつぶやき>
カバーを一番見つけづらかったのが、「Let's Go Away For A While」。正直言って、これしか見つからなかった。

◆Little Joe Shaver And Devil Dog「Sloop John B」
A面最後のトラック「Sloop John B」。この曲だけはブライアンのオリジナルではなく、バハマの古いフォークソングです。1958年にキングストン・トリオが歌ってヒットさせています。
当時フォークソングに凝っていたメンバーのアル・ジャーディンがブライアンに頼み込んで、アルバムに入れてもらいました。アルバム全体のコンセプトにはいまいち馴染んでいませんが、でもブライアンの素敵なアレンジの助けもあって、シングル・ヒットしました。
今日はLittle Joe Shaver And Devil Dog(リトル・ジョー・シェーバー・アンド・デビル・ドッグ) というカントリーのバンドの演奏で聴いてください。古いアナログLPでかけます。

<収録中のつぶやき>
『ペット・サウンズ』は6バージョンくらい持っているかな。ペット・サウンズボックス、オリジナル版のモノラルとステレオ、それから日本発売のCD、あとはなんのかんので、5〜6種類は持っているんじゃないかな。

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聴取期限:2023年3月6日(月)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:村上RADIO〜ペット・サウンズ オールカバー〜
放送日時:2月26日(日)19:00〜19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/