8000円未満でオープンソースの格安NASを自作した大学生が現れる、ケースは3Dプリンター製でOSも自作のものを搭載
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ネットワークアタッチトストレージ(NAS)はネットワークに接続できるファイルサーバーであり、ネットワークを通じてデータの保存や読み込みができます。香港の大学生であるToby Chui氏が、コンパクトで十分な性能を持つNASをわずか60ドル(約7600円)未満で自作した手順について報告しています。
DIY Raspberry / Orange Pi NAS That Really Looks Like a NAS - 2023 Edition : 15 Steps (with Pictures) - Instructables
大学生であるChui氏は、Googleが大学生向けに提供する無制限のクラウドストレージサービスを利用していましたが、2021年にクラウドストレージ容量に上限が設けられたため、ファイルをNUCや外付けハードディスクなどに移したとのこと。その後もNUCの容量不足が発生したため、ストレージ容量の多いコンパクトなNASを自作することに決めたと述べています。
Chui氏がNASを自作するに当たって設定した条件は、「小型でデバイス内のスペースを無駄なく活用する」「低コストの部品を使用しつつ最大限のパフォーマンスを引き出す」「世界中で購入可能な互換性の高いものにする」「単一のメーカーに依存しないようにする」「少なくとも1080pの動画を1〜2人が同時に再生でき、アップ/ダウンロード速度が100Mbps以上である」というものでした。これらの条件を達成することを念頭にChui氏は部品を選定し、ケースは3Dプリンターで自作することにしました。
今回、Chui氏はオープンソースのシングルボードコンピューターであるOrange Pi Zeroを採用し、それに合わせてNASケースの3Dモデルを設計しました。なお、Orange Pi ZeroのAli Expressでの購入価格は記事作成時点で2810円となっています。
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部品の3DプリントにはEnder 3を使用し、レイヤーの厚みは0.2mm、1秒あたりの印刷速度が35mmの最高品質に設定したとのこと。すべての部品をプリントするのに約2日かかったそうですが、Chui氏は「NASは長期間使用するのに、なぜ急ぐ必要があるのですか?」と述べています。
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プリント基板(PCB)は「最高のPCBメーカーの1つ」とChui氏が述べているPCBWayのものを注文。昇降圧コンバーターや電源LEDなどの部品をはんだ付けし、SATA-USB変換アダプタの取り付けやHDDの電源線などを配線しました。
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ハードディスクのトレイを組み立ててNASケースに挿入し、シングルボードコンピューターと電力変換ボードを取り付けます。
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シングルボードコンピューターを電源制御ボードに接続。Raspberry Piでないシングルボードコンピューターを使用している場合は、ケースを閉じる前にシングルボードコンピューター用OSのArmbianを、Raspberry Piを使用している場合はRaspberry Pi OSを32GB以上のSDカードにインストールしておく必要があるとのこと。なお、Chui氏はシングルボードコンピューター用のストレージとして64GB以上のSDカードを使用することを推奨しています。
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ケースを閉じるとこんな感じ。
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NASに搭載するOSは、かつてChui氏が自作したOSをNAS用に大幅改良した「ArozOS」を使用しています。ArozOSはブラウザ内で本格的なデスクトップエクスペリエンスを提供するOSで、音楽・動画・写真・ドキュメントに1つのブラウザウィンドウからアクセス可能であり、PCだけでなくモバイルからも動作するとのこと。なお、ハードウェアはOpen Media VaultやFreeNASなどのNAS用OSとも互換性があるため、そちらを使用することもできます。
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ArozOSのセットアップが完了したら、HDDをマウントします。
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これで、4TBのハードディスクを最大2枚搭載できる、完全にオープンソースの格安自作NASが使えるようになりました。ArozOSはクラスタリングとクロスマウント機能もサポートしているため、より多くのストレージが必要になった場合の拡張性も備えています。
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Chui氏は誰でも同じNASを自作できるように、今回作成したNASのより詳細な作成手順や3Dモデルの設計図、部品の詳細、ArozOSのセットアップ方法などを公開しています。