写真をPCに取り込んだ際に必ず使う機能の一つが「明るさの補正」です。明るさは写真表現において重要なポイントで、写真の雰囲気や意図、空気感に影響をおよぼします。ここではLightroomで明るさを決める6項目と、明るさ補正の考え方をご紹介。写真全体を明るくする手順も解説します。
*Lightroom Classic画面で解説しますがLightroom CCも基本的には同様の操作で補正可能です。■使用する機能「階調」「露光量」「コントラスト」「ハイライト」「シャドウ」「白レベル」「黒レベル」目次明るさ調整は[階調]でコントロールするLightroomを開いて写真を読み込んだら、画面右上の[現像]を押して、現像モジュールを開きます(Lightroom CCは「編集」)。画面右側[基本補正]パネルをクリックして開いたら、[階調]という領域があります(図1)。明るさ調整は、この項目をコントロールして設定します(図2)。図1図2。写真の明るさは[階調]領域で調整する階調の各項目露光量:写真全体の明るさを調整するコントラスト:明るいカラーと暗いカラー間の強弱を調整するハイライト:写真の明るい部分の明るさを調整するシャドウ:写真の暗い部分の明るさを調整する白レベル:画像の最も明るい部分に焦点を当て全体を調整する黒レベル:画像の最も暗い部分に焦点を当て全体を調整するそれぞれどう作用するかを書きましたが、覚える必要はありません。言葉だけではわかりづらいので、実際にスライダーを動かして写真の明るさを見てみましょう。明るさを決める6項目
1.「露光量」写真全体の明るさを調整するここでは雲の写真をベースにします(図3)。[露光量]のスライダーを右へドラッグすると写真全体が明るくなります(図4)。スライダーを左にドラッグすると写真全体が暗くなります(図5)。図3。元となる雲の写真図4。露光量のスライダーを右にドラッグして[露光量:+1.00]にした写真図5。露光量のスライダーを左にドラッグして[露光量:-1.00]にした写真明るさを決める6項目
2.「コントラスト」明るいカラーと暗いカラーの間の強弱を調整[コントラスト]のスライダーを右へドラッグすると写真がくっきりします。スライダーを左へドラッグすると写真がのっぺりします(図6)。図6。左が元画像、中央が[コントラスト:+50]、右が[コントラスト:-50]に設定した写真(図6の拡大図)コントラストのスライダーを右にドラッグすると写真がくっきり、左にドラッグするとのっぺりすることがわかる明るさを決める6項目
3.「ハイライト」写真の明るい部分の明るさを調整[ハイライト]のスライダーを右へドラッグすると明るい部分が明るくなります(図7)(図8)。図7。左は元画像。右は[ハイライト:+70]にした状態。明るい部分だけ(雲の白色の部分)が明るくなり、他の部分の明るさはほぼ変わっていない図8。図7のハイライトの状態[ハイライト]のスライダーを左へドラッグすると明るい部分が暗くなります(図9)(図10)。図9。左は元画像。右は[ハイライト:-70]にした状態。明るい部分だけ(雲の白色の部分)が暗くなっている図10。図9のハイライトの状態明るさを決める6項目
4.「シャドウ」写真の暗い部分の明るさを調整する[シャドウ]のスライダーを右へ動かすと暗い部分が明るくなります(図11)。スライダーを左へ動かすと暗い部分が暗くなります(図12)。図11。上は元画像。下は[シャドウ:+100]にした状態。暗い部分だけ(空の部分)が明るくなっている図11。上は元画像。下は[シャドウ:-100]にした状態。暗い部分だけ(空の部分)が暗くなっている明るさを決める6項目
5.「白レベル」画像の最も明るい部分に焦点を当て全体を調整[白レベル]のスライダーを右へドラッグすると、明るい部分を強調しながら全体が明るくなります(図13)。スライダーを左へドラッグすると、明るい部分を抑えながら全体が暗くなります(図14)。図13。上は元画像。下は[白レベル:+70]にした状態。明るい部分(雲の部分)を強調しつつ全体も明るくなっている図14。上は元画像。下は[白レベル:-70]にした状態。明るい部分(雲の部分)を抑えつつ全体も暗くなっている明るさを決める6項目
6.「黒レベル」画像の最も暗い部分に焦点を当て全体を調整[黒レベル]のスライダーを右へドラッグすると、暗い部分に焦点を当て全体が明るくなります(図15)。スライダーを左へドラッグすると暗い部分に焦点を当て全体を暗くします(図16)。図15。上は画像。下は[黒レベル:+100]にした状態。暗い部分(空の部分)に焦点を当て全体が明るくなった図15。上は画像。下は[黒レベル:-100]にした状態。暗い部分(空の部分)に焦点を当て全体が暗くなった明るさの6項目を調整する順番は?どこの項目が画像のどこの部分に作用しているかわかりましたか? わからなくても大丈夫です。この6つの項目のスライダーを動かせば明るさが変わるとだけ覚えましょう。では実際に明るさを決める際、この6項目を調整する順番ですが、極端に言えばどれから調整しても問題ありません。扱う写真によっては全部の項目を調整する必要もないかもしれません。自分が一番見せたい、気を使いたい部分から調整しても構いません。ただ、自分の作品や、制作物に関して複数枚の写真を扱う場合などは何かしらの基準のようなものを作っておいた方が全体としての統一感が出てくるので、その辺りを意識してマイルールを作っていきましょう。参考までに私の場合はこうしてますという手順です。6項目を調整する順番(著者の場合)1:露光量をスライドして大体の明るさを決める2:明るくなりすぎたところをハイライト、白レベルで調整する3:シャドウ、黒レベルで整える4:コントラストは使ったり使わなかったり5:最後に個々のスライダーを微調整私の場合は、このような流れになります。調整は一発では終わらないので何度も繰り返してスライダーを調整します。自分のイメージに合った一枚に仕上げてください(図16)(図17)。図16。明るさの6項目を調整した写真(図16の拡大図)ここでは雲の階調を際立たせたかったので、拡大しながら白飛びに注意して調整した図17。図16の各項目明るさを調整したことによって、青空の青がやや不自然な色味になってますが、本来はこの後、色味の調整をして完成させる手順となります。そちらはまた別の機会に。ポイント基本的には明るくすると明るいところが飛び、暗くすると暗いところが潰れてしまいます。よほどの意図がない限り階調や質感がなくならないように注意しましょう。(参考)完成まで:明るさ以外の調整参考までに明るさ調整後、他の項目を調整して写真を仕上げた手順を紹介します。雲のディテールをもう少し出したいので[明瞭度:+20]にします。画面上部左あたり、薄い雲が横長にかかっている部分の青が少し不自然なので[トーンカーブ]パネルで補正します。[ブルーチャンネル]をクリック(座標の背景がカーブを境に、左側が青、右側が黄。補正する方向が視覚的に示されます)。次に[トーンカーブ]パネルの左上、[写真内をドラッグしてトーンカーブを調整]ボタンをクリックします。直接画像内の不自然な青い部分をドラッグし、上下にスライドさせるとトーンカーブに反映されて調整ができます。このとき、過剰に下げると画面全体が黄色くなりすぎるので、不自然な青い部分が、他の青空部分と違和感なく馴染むように調整しました(図18)。図17。図16の状態の後、そのほかを調整した写真。[明瞭度:+20]、[トーンカーブ]パネルの「ブルーチャンネル」を下げた図18。最終的な各項目の状態以上、Lightroomで明るさを決める6項目と、設定の順番、明るさ補正の考え方でした。
●構成:編集部、谷本夏 ●制作:谷本夏 ●編集:編集部