Lightroomで写真の色温度や色かぶりを補正して、ホワイトバランスを調整する方法を紹介します。写真現像(補正)の基本操作の一つなので、「ホワイトバランス」や「色温度」の考え方や、「これだけは抑えておきたいポイント」も合わせて解説します。
*Lightroom Classic画面で解説しますがLightroom CCも基本的には同様の操作で補正可能です。■使用する機能「ホワイトバランス(WB)」「色温度」「色かぶり補正」「ホワイトバランス選択(スポイトツール による自動補正)」目次【色かぶり補正の前に】
そもそも「ホワイトバランス」「色温度」とは?「ホワイトバランス」とは、写真の色味を決定するために設定する機能です。本来は撮影段階において、その場の光源に合わせカメラの設定で調整することが好ましいのですが、太陽光をはじめ、蛍光灯、白熱電球、LEDなど普段の生活にはさまざまな光源があり、色温度も異なるため、しっかりとバランスを取ることは難しいです(図1)。図1。LEDの電球色の下で撮影したため、写真全体の色味が黄色っぽく色かぶりして色味のバランスが崩れている写真「色温度」とは、それぞれの光源が発している光の色を表す尺度です。色温度を表す単位は絶対温度のケルビン(K)で表示されます。太陽光の白色を中心に、数値が下がると暖色系、上がると寒色系の色味になります。下記はその種類です。色温度の種類白熱電球:約3000K(暖色系[オレンジ色])蛍光灯:約4000K太陽光:約5000K(白色)曇り:約6000K日陰:約7000K(寒色系[青色])太陽光は雲の多さや厚みなどでも数値が変わり、蛍光灯は電球色、白色、昼光色など約3000K〜6500Kの種類があり、LED照明の中にも色温度を変更できるものがあります。さまざまな色温度が組み合わさった光の中で撮影するので、写真のホワイトバランスを決めるために、色温度や色かぶりを補正していきます。1.色かぶり補正:
ホワイトバランスの「色温度」「色かぶり補正」を調整実際に色かぶりを補正していきます。Lightroom Classicを開いて写真を読み込んだら、画面上側の[現像]を押して、現像モジュールを開きます(Lightroom CCは[編集])。ホワイトバランスや色かぶりは、現像モジュールの[基本補正]パネル内、[WB]領域の[色温度][色かぶり補正]の2つのスライダーで調整します(図2)。図2。Lightroomの写真補正は基本的に現像モジュールの右側のパネルでそれぞれ調整する。ホワイトバランス・色かぶりは、[WB](ホワイトバランス)のコントロールで調整する[WB]領域の右上、[撮影時の設定]をクリックすると色温度のプリセットが表示されます(図3)。図3[撮影時の設定]内のプリセットLightroomにはあらかじめ色温度が設定されているので、撮影時の光源が予測できる場合は、その環境に近いプリセットをクリックしてみましょう。このセミの孵化の写真は、LEDの電球色が光源だったので[タングステン-白熱灯]を選択しました(図4)。図4。右写真が[タングステン-白熱灯]をクリックした状態このままだと電球色の黄色の色味が残っている気がするので、[色温度]スライダーを少し左にドラッグします。さらに、少しグリーンが強いので[色かぶり補正]スライダーを右にドラッグします。これでおおよそ本来の色味になりました(図5)。図5。左図は黄と緑の色かぶり。色温度のスライダーを左に、色かぶり補正スライダーを右にドラッグして、それぞれ色かぶりを補正した(図5の全体図)ホワイトバランスの調整で本来の色味に補正できたことがわかるポイント製品写真など色再現性を求められるものは別として、ホワイトバランスの設定は正しい色味が必ずしも正解ではありません。数値にとらわれず、自分の感覚を信じて設定しましょう。2.色かぶり補正:
ホワイトバランス選択ツール(スポイトツール)を使った自動補正色温度を調整する他の方法、ホワイトバランス選択ツール(スポイトツール)を使ったホワイトバランスの自動補正機能を紹介します。まずは、[WB]領域の左上、スポイトのアイコンをクリックして、カーソルをスポイトに切り替えます(図6)。図6。WB内の左上のスポイトのアイコンをクリックするこの状態でカーソルを写真上に合わせると[ターゲットのニュートラルカラーを選択]ダイアログが表示されます。ホワイトバランス選択ツールの機能は、このダイアログに表示されるスポイトの選択箇所を軸に、ホワイトバランスを自動調整する機能です。スポイトを動かすと、左上の[ナビゲーター]にリアルタイムで補正後の結果が表示されます(図7)。図7。スポイトで選択したホワイトバランス調整後の写真は、左上の画面で都度確認できる補正方法はスポイトで、写真の白っぽい部分を探してクリックするだけです。この写真の場合は右下、または左上が白っぽい部分なので、それぞれをクリックしてみます。右下の白い部分はグラデーション掛かっていて、クリックすると少し補正しすぎで青っぽくなりました(図8)。左上の白い部分をクリックをするとすっきりと色味が補正されました(図9)。図8。スポイトで右下をクリックした写真図9。スポイトで右上をクリックした写真(図9の全体図)ホワイトバランスが自動で補正されて色味が調整されたことがわかるどこをクリックしたらいいかわからなければ、左上にある[ナビゲータ]を見ながら適正な色味になる部分でクリックしてみてください。微調整は[色温度][色かぶり補正]のスライダーを合わせて使うと良いでしょう。ポイント初めに色温度の説明や種類を説明しましたが、特に覚える必要はありません。写真が青色っぽいなら、色温度を右の黄色方面にスライドする写真が黄色っぽいなら、左の青色方面にスライドする色かぶりした写真も同じように、見えている色の対照方向にスライドするこのように補正できることを理解できれば問題ありません。ホワイトバランスや色かぶりの調整後に、明るさの調整をすると、また色の見え方も変わってくるので、気になれば再度ホワイトバランスの調整を繰り返します。明るさの調整に関してはまた別の機会に(→「写真全体を明るくする」はこちら)。3.補足:完成まで(ホワイトバランス以外の補正)最後にホワイトバランス以外の調整をします(*本題はここまでなので、以下は参考までに)。全体に画像が暗いので明るくします。[露光量:+0.85][コントラスト:+14][ハイライト:+10][シャドウ:+25][白レベル:+7]として、脱皮したての青白い羽にポイントを置き、明るさを調整しました。また、翅脈(しみゃく。昆虫の羽の脈)を際立たせるために[明瞭度:+20]にして、完成としました(図10)。図10。ホワイトバランスの補正後、明るさなどを調整。本写真における完成ビジュアル以上、Lightroomで写真の色温度や色かぶりを補正して、ホワイトバランスを決める方法でした。
●構成:編集部、谷本夏 ●制作:谷本夏 ●編集:編集部