高校時代の河野。広陵高校でセンバツにも出場した(写真:BFP/アフロ)

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広島のドラフト5位で指名された大阪ガスの右腕・河野佳(21)が、プロ入りを悩んでいると複数のスポーツ紙で報じられ、大きな反響を呼んでいる。

2022年10月31日に開催された社会人野球の日本選手権で、大会史上初の3連覇を狙った大阪ガスが初戦・東京ガス戦に2−4で敗退。河野は5回2死満塁のピンチで救援登板し、3回途中1失点の好投で自己最速タイの151キロを計測した。

昨年は「投手3冠」も...

複数報道によると、河野はこの試合後にプロ入りで上位指名が目標だったことを明かし、会社と話し合った上で広島に入団するかの決断を下すと語ったという。

球威十分の直球にスライダー、フォーク、カットボールを織り交ぜる本格派右腕で、昨年の活躍は目を見張るものがあった。年間最多勝利、最優秀防御率、ベストナインの「投手3冠」に輝く。7月の日本選手権では初戦の日本製鉄東海REX戦で5安打完封勝利を飾るなど、4試合計19イニングの登板で無失点と圧巻の投球だった。

ドラフト解禁年の今年はプロのスカウト陣に注目されたが、コンディションを崩して苦しんだ。7月の都市対抗1回戦・JR東日本戦で5回途中5失点KO。チームもコールド負けを喫した。直球に力強さがなく、本来の調子に程遠い。昨年の輝きが強かった分、物足りなく映った部分がある。

評価を落としたが、広島がドラフト5位で指名したのは、本来の調子を取り戻せばプロの世界で十分に活躍できると評価したのだろう。

高校生・大学生よりも「入団拒否」リスクは上がる

在京球団のスカウトは社会人野球の選手の指名について、こう語る。

「入団拒否のリスクは高校生、大学生より上がります。企業としても大きな戦力ですし、3位以内の指名でなければ入団拒否の姿勢をドラフト前に各球団に伝えられるケースがある。

今回の河野みたいに社会人野球でもう1年プレーして、輝きを取り戻してプロからの評価を受けたいという選手もいる。ただ、プロに入ってしまえば指名順位は関係ない。活躍すればいくらでも稼げますから。来年ドラフトで指名される保証もないですしね」

河野は悩み抜いた末に、どのような決断を下すだろうか。

(中町顕吾)