中国市場にトヨタ bZ3が間もなく投入予定

出典:miit.gov.cn

2025年までにグローバル市場でBEV10車種以上を導入する計画を発表しているトヨタから、bZ4Xに次ぐBEV「bZ3」が中国で間もなく登場予定です。

トヨタ bZ3は、2021年末のメガウェブでのBEV戦略発表時にコンセプトカー「bZ SDN」として公開されたモデルであり、カローラ以上カムリ未満のミドルサイズBEVセダンとして登場します。

これまで中国国内で何度もテストカーが目撃され、すでに中華人民共和国工業情報化部の資料にも情報が追加されているため、トヨタ bZ3の中国での発売はすでに秒読み段階に入っているものと見られます。

BYDと共同開発されたトヨタ bZ3の特徴

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トヨタ bZ3 135kwモデル

トヨタ bZ3は、中国でトップを走るBEVメーカー「BYD」と共同開発車両です。BYDは1955年に創業した中国の携帯電話用バッテリーメーカーであり、2003年に自動車製造業へと転身して、現在は中国BEVでトップシェアを獲得するまでに至りました。

トヨタがBEV用に開発したe-TNGAプラットフォームに、BYDが開発した「ブレードバッテリー」と呼ばれるリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載した点がトヨタ bZ3の特徴といえるでしょう。

BYDのブレードバッテリーは、エネルギー密度を高く保ったまま薄く製造できるため室内空間を広く確保できる点がメリットです。さらに、発火・爆発に対する安全性が非常に高いといわれています。

これらを引っさげてトヨタが挑むは、中国のみならず世界中で販売台数の伸ばし続けているテスラ 。トヨタ bZ3は、テスラ モデル3の対抗馬となるかに注目が集まります。

テスラ モデル3トヨタ bZ3はここが違う

トヨタ bZ3の全貌はまだ明らかになっていませんが、限られた情報からでもテスラ モデル3とのキャラクターの違いが伺い知れます。

テスラ モデル3のボディサイズは全長4,694×全幅1,849×全高1,443mm。廉価モデルの二輪駆動が存在するものの、デュアルモーターAWDによる高い動力性能が特徴であり、「パフォーマンス」モデルの0-100km/h加速タイムはわずか3.3秒で、最高速度は251km/hにも達します。

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トヨタ bZ3 180kwモデル

トヨタ bZ3はボディサイズが全長4,725×全幅1,835×全高1,475mmとモデル3とほぼ同じではあるものの、後発のトヨタe-TNGAプラットフォームの方がスペース効率に優れるだろうことは想像に難くありません。BYDの薄型ブレードバッテリーはそれをさらに助長するように作用するでしょう。

ただし、モーター出力はやや控えめな135kwと180kwの2モデルのライナップとなり、どちらも2輪駆動で最高速度はともに160km/hに抑えられています。

以上のスペック比較からトヨタ bZ3はより実用的な車となることがわかります。過剰ともいえる性能を削ぎ落としたぶん、テスラ モデル3より価格も抑えられることでしょう。

トヨタはテスラの快進撃を止められるか!?

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トヨタ bZ3 180kwモデル

bZ3は、BEVおよびセダン人気が高い中国市場にまず投入され、2024年にはヨーロッパでも販売される見込みです。

老舗EVメーカーとしてこれまで躍進してきたテスラではあるものの、信頼性やサービスなどの面で新興自動車メーカーとしての弱さが露呈しています。

世界のトヨタと中国トップのBEVメーカーBYDで共同開発で登場するbZ3は、小型・高密度ブレードバッテリーを活かした室内空間と価格と信頼性でテスラ モデル3を追い落とす腹積もりでしょう。これまで長らく続いてきたテスラの快進撃を、トヨタがbZ3で食い止められるかが最大の注目点です。