私と同じようなことを、長野県警佐久署の交通課長氏も思っており、読売新聞の記者氏も感じ、それで交通課長氏のコメントを「…と効果を口にする」という、なーんだか前向き感、確信感のない、つぶやきみたいな表現で紹介したのか、哀しいなぁ、とこれは私の妄想です~(笑)。

えっと、念のため言っておく。TKKの可搬式は完全にカカシではない。捕まることもある。また、「レーザー式の実績を上げろ!」と現場警察官の尻を叩く上司もいるようだ。ノルマを課されれば無理な取り締まりをやったりもする。身に覚えのない測定値で捕まったときのためにも、ドライブレコーダーは必須だ。

あと、今述べたのはTKKの可搬式の話だ。“TKK押し”の一派に逆らって、Sensys Gatso Group(SGG)の可搬式を購入する県もある。特に千葉県警には2022年3月末時点で10台の可搬式があり、すべてSGG製だ。2022年2月8日付けの千葉日報「移動式オービス台数増で5316人摘発 速度違反、前年比5倍 通学路が「抜け道」に 千葉県警」という記事に、こんな部分がある。https://www.chibanippo.co.jp/news/national/903393

「39署のうち摘発者数が最も多かったのは、千葉市稲毛区と花見川区を管轄する千葉北署管内。29回の取り締まりで400人以上を摘発した。」

1回当たり約13.8件! SGGの可搬式はだいぶ高性能なのだ。もちろん、“TKK押し”の方は「千葉は取り締まりのための取り締まりをやっている。見せる取り締まりで速度を抑止すべきだ」とか言うだろう。TKKのレーザー式が登場するまでは「警察官の姿が見えるから速度を落とすというのでは困ります。ネズミ捕りの警察官は隠れているんじゃなく、皆さんの普段の運転ぶりを見ているのです」とか言っていたのだが。

ま、誰が何を言おうと、取り締まりがどうであろうと、速度が高いほど、危険の発見が遅れ、対処が遅れ、事故った場合の被害が大きくなる。そこは肝に銘じよう。

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。