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成長著しいEV市場

EVが主流になりつつあることは、避けようのない事実である。2021年はEVの販売台数が記録的なものとなり、過去5年間の合計よりも多くのEVが新車登録された。

【画像】注目のニューモデル【まもなく発売される新型EVを写真で見る】 全124枚

昨年は、世界的な供給問題や半導体不足に悩まされながらも、世界の大手メーカーから主要な新型車が続々と登場した。フォード・マスタング・マッハE、フォルクスワーゲンID.4、ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモなどである。


EV市場は今、従来の自動車メーカーだけでなく、新興企業の参入もアツい。

2022年、供給危機はまだ続いているが、ゼロ・エミッション車がクルマの未来を示す、エキサイティングな1年になることを期待している。

2022年に発売される注目すべきEVと、さらに先の2023年に登場するモデルを紹介しよう。

3月

ボルボC40リチャージ

ボルボ初のEV専用モデルであるC40リチャージは、クーペスタイルのSUVで、0-100km/h加速が5.0秒以下という性能を備えている。78kWhバッテリーで航続距離418kmを実現。価格は5万7000ポンド(日本仕様は599万円)から。

フォルクスワーゲンID.5

ID.4をベースとし、その構造や部品のほとんどを受け継ぐクーペSUV。エントリーモデルは4万7000ポンド(約750万円)からで、174psと204psの出力モデルを設定。77kWhバッテリーで最大520kmの航続距離を実現する。高性能のGTXモデルは、最高出力299psを発揮し、0-100km/h加速は6.3秒になるようだ。

オーラ・キャット(欧拉・好猫)


オーラ・キャット(欧拉・好猫)

レトロスタイルの小型車が、中国のEVブランドのオーラから発売される予定。キャットの価格は2万5000ポンド(約400万円)で、420kmの航続距離を実現する。1基のモーターで前輪を駆動し、最高出力171psと最大トルク25kg-mを発生。0-48km/h加速3.8秒、0-100km/h加速8.5秒と、市街地走行に適した性能を発揮するようだ。EVとしては比較的手頃な価格でありながら、携帯電話で操作できるリモート機能や無線アップデートなど、最新技術を搭載している。

クプラ・ボーン

フォルクスワーゲンID.3をベースにした、クプラのスポーティなEVがボーンだ。まず58kWhバッテリー搭載モデルが登場し、その後45kWhと77kWhのモデルも用意される予定。高性能車ブランドであるクプラらしく、シャープなスタイリングと動力性能を備えている。また、最高出力231psのパフォーマンスモデルも今年後半に登場する。

4月

ポルシェ・タイカンGTS

GTSはタイカン4Sとターボの間に位置し、後者と同じデュアルモーターを搭載するが、出力は679psではなく、598psに制限される。幸いなことに、86kg-mというトルクはターボと同じである。

ポルシェ・タイカン・スポーツツーリスモ

オフロードスタイルのクロスツーリスモとは異なる、より地面に近い位置にセットされるワゴンタイプ。GTSを選ぶと、「ポルシェ・タイカン・スポーツツーリスモ・グランツーリスモ・スポーツ」というしつこい名前になる。

BMW iX M60


BMW iX M60

BMWのパワフルな電動SUVは、最高出力619ps、0-100km/h加速4.0秒、そして……傑出したスタイリングを備えている。価格も11万1905ポンド(約1780万円)と、際立っている。航続距離は575kmで、標準的なiXより若干短くなる見込みだ。

シトロエン・アミ

アミの反響は良好で、シトロエンはフランスでのみ販売が計画されていたこのモデルを英国にも導入することを決定した。2シーターのEVで、5.5kWhのバッテリーから電力を供給し、最高速度は45km/hに過ぎない。出力はわずか8psだが、当初はフランス市場のみを想定していたシトロエンが英国への導入を発表したことで、すでに人気を博している。

5月

ジェネシスGV60

ジェネシス初のEV専用モデルであるGV60は、ヒョンデ・アイオニック5やキアEV6と同じE-GMPプラットフォームをベースに開発されている。デュアルモーターによる四輪駆動方式を採用し、ジェネシスによると「スポーツカーに匹敵する」性能を持つという。

メルセデス・ベンツEQT

やっとカッコイイと思えるミニバンが登場。ルノーと共同開発したEQTのコンセプトモデルは、新型Tクラスの電動兄弟車を予告するものだったが、コンセプトで見られた一体型の「電動スケートボード」が標準装備されるかどうかはわからない……。

レクサスRZ


レクサスRZ

市販モデルはまだ公に姿を表していないが、完全可変四輪駆動とステアバイワイヤ技術を搭載することが分かっている。トヨタbZ4Xやスバル・ソルテラと同じe-TNGAプラットフォームを採用するRZは、「信じられないほどのコーナリングと路上追従性を実現する」とされている。また、「爽快なパフォーマンス」を優先しているという。

6月

ダチア・スプリングEV

ダチア初のEVは、「シンプル」という同社の製品理念を貫いている。4人乗りのクロスオーバーで、最高出力45ps、航続距離225kmを達成する。しかし、欧州NCAP安全性評価では1つ星(下から2番目)を獲得してしまった。

ロータス・エヴァイヤ

ロータスが送り出す新世代のフラッグシップモデル。4基のモーターで合計2000psという驚異的な出力を誇るスーパーカーである。最高速度は320km/hで、航続距離は約400km。パンデミックの影響で発売が遅れているが、プロトタイプの走行を見る限りでは、期待が膨らむ一方だ。

メルセデス・ベンツEQE


メルセデス・ベンツEQE

BMW i4とテスラ・モデル3を視野に入れた、CLSサイズの新型セダン。100%リサイクルされたスチールから作られており、メルセデスは航続距離が最大660kmであると主張している。2023年には、EQE SUVが登場する予定だ。

スコダ・エンヤクiVクーペ

スコダ・エンヤクiVクーペは、標準のエンヤクiVのルーフを傾斜させたクーペスタイルのSUVだ。バッテリーサイズは標準車と同じになる見込みだが、クーペの持つ空力特性により効率が向上し、航続距離は77kWhバッテリーで最大535km以上になる可能性がある。

ジェネシス・エレクトリファイドGV70

BMW iX3のライバルで、最高出力489ps、最大トルク71kg-m、航続距離は500kmとされている。350kWの充電器を使えば、10-80%の充電が18分間で可能だ。その他の機能としては、過酷な路面状況に対応するEテレイン・モード、ロードノイズ低減システム、自動電子制御サスペンションなどがある。

ヒョンデ・アイオニック6

アイオニック6は、ヒョンデにとって2番目のEV専用モデルで、ポルシェ・タイカンに仕掛けられるようなパワーを持つと見込まれている。当初は今頃の登場が予想されていたが、設計変更により、欧州での販売開始は2022年半ばとなった。その分、バッテリーを72.6kWhから77.4kWhへと大型化しており、顧客を待たせただけの価値はあるだろう。

7月

フォルクスワーゲンID.Buzz

伝説的な「ワーゲンバス」が復活。レトロなスタイリングとは裏腹に、中身は根本的に異なる。MEBプラットフォームをベースに、乗用車、商用車、キャンピングカーの各バリエーションが、2023年にはロングホイールベースモデルが登場する予定だ。さらに、2020年台半ばまでに完全な自動運転の実現を目指している。

トヨタbZ4X

トヨタが満を持して発売するEV専用モデルで、価格は日産アリヤと同等の4万1950ポンド(約670万円)から。トヨタはクロスオーバーの開発経験が豊富だが、ライバルに差をつけることができるだろうか? bZ4Xには、20年以上にわたる電動化の経験が生かされており、シングルモーターで204psのモデル、ツインモーターで四輪駆動の最上位モデル(251ps、0-100km/h加速8.0秒以下)が用意されている。

日産アリヤ


日産アリア

フォルクスワーゲンID.4のライバルである日産の電動SUVは、4万1845ポンド(日本仕様は539万円)から。エントリーモデルは前輪駆動で63kWhのバッテリーを搭載し、最上位モデルは四輪駆動で87kWh、最高出力394psにパワーアップしている。

9月

ルノー・メガーヌEテック・エレクトリック

メガーヌも、クロスオーバーに変身する多くのモデルのうちの1台だ。とはいえ、編集部が試乗した際の第一印象はポジティブなものだったので、慌てる必要はないだろう。運転しやすく、効率的で、快適で、218psの出力により0-100km/h加速を7.4秒で達成する。ただ、人目を引くデザインを見てもらうためには、もう少しゆっくり走りたいところだ。航続距離は300kmまたは470kmとされている。

ルーシッド・エア

ルーシッド・エアは、ゲームチェンジャーとなる可能性がある。ルーシッドによると、最上位モデルでは最高出力1080ps、航続距離800kmを実現しているという。この驚異的な数字から、「次のテスラ」と呼ぶ人もいる。米国での価格は5万2100ドル(約630万円)から。エントリーモデルは400psの電気モーターとサムスン製75kWhバッテリーを搭載し、386kmの航続距離を実現している。


ルーシッド・エア

11月

アウディeトロン

今年、eトロンは大規模なフェイスリフトにより、新しい大型バッテリーを搭載する予定だ。航続距離は400kmから600kmに伸びると言われており、これが実現すれば東京から大阪までノンストップで移動できるようになる(日本発売日は不明)。

BMW iX1

BMWは、X1のEV仕様を準備しており、ラインナップ拡大の一助となることが期待されている。iX1は事実上、約10年前に発売されたi3の後継車となり、i3はこれと交代で廃止される可能性が高い。

ロータス・タイプ132


ロータス・タイプ132

ロータスが電気で走るSUVを作る?にわかには信じがたいが、これも時代というものだろう。英国のヘテル工場ではなく、中国で製造される「タイプ132」については、ほとんど知られていないが、最近特許申請画像からデザインが明らかになった。出力600ps程度のエントリーモデルと、760psのフラッグシップモデルの2種類が設定される予定。

ヒョンデ・アイオニック5 N

日本にも導入されたアイオニック5だが、ヒョンデの高性能シリーズである「N」が設定され、最高出力608psに引き上げられる予定だ(日本導入は未定)。このモデルは、後述のキアEV6 GTとツインモーターのパワートレインを共有し、0-100km/h加速4.0秒以下と、ヒョンデ最速モデルとなる可能性がある。

キアEV6 GT

キアEV6の高性能モデルが付ける「GT」のバッジは伊達じゃない。ポルシェ・タイカン4Sよりも速く、最高出力585psを発生する。非常にパワフルでスポーティなEVが1台増える(日本導入予定はない)のだから、クルマ好きとしてはワクワクする。

ポールスター3

ポールスターが米国で生産予定の「3」については、まだ詳細が明らかになっていない。プリセプト・コンセプトの影響を受けたスタイリングのSUVとなるようだが、最終的なデザインやパワートレインに関する情報は得られていない。サステイナブルな素材が全体的に使用されることが予想される。

12月

BMW i7

BMWに新しく導入されたデザイン理念(そう、あのグリル)があまり好きではないのであれば、高級EVセダンを購入する際にi7が理想的な選択肢となるかもしれない。i7は、メルセデス・ベンツEQSと競合するフラッグシップモデルだが、内燃エンジンの7シリーズと並行して販売される予定である。どんなクルマになるのか、まだ正確にはわからないが、公開されている画像から、クローズドグリル(形状不明、残念)、専用のホイールデザイン、専用のトリムなどが確認されている。105kWhバッテリーで最大航続距離640km以上、最高出力608psを発揮する見込みだ。

サンヨン・ コランドEモーション

財政難に陥っていたサンヨンは最近買収されたため、今年はコランドEモーションを見ることになりそうだ。既存のコランド(ジープのようなタフなSUV)をベースにした、サンヨン初の完全EVとなる予定だ。

スコダ・エンヤクvRS


スコダ・エンヤクiV

スコダの高性能シリーズ「vRS」の名がEVに付けられるのは今回が初めて。ライバルでもあるID.4 GTXと同じパワートレインを搭載し、0-100km/h加速は6.0秒強、航続距離は480kmと期待される。

2023年発売予定のEVは?

今年のEVに飽き足らず、2023年もワクワクするような発表が目白押しだ。

フィスカー・オーシャン

確かにフィスカーの歴史には汚点があるが、オーシャンを見捨てることはできない。オーシャンは、アウディQ4 eトロンやテスラ・モデルYに対抗できる製品になりそうだ。広々としたインテリアと400km以上の航続距離を備えており、欧州仕様はオーストリアのマグナ・シュタイヤーで生産される予定。価格は、グレードによって3万ポンド(約480万円)から5万ポンド(約800万円)と幅広い。

ロールス・ロイス・スペクター


ロールス・ロイス・スペクター

ロールス・ロイス初のEVは、スペクターと呼ばれる大型のモデルだ。同社の「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」プラットフォームを使用し、レイスと同様の立ち位置に据えられることになる。デュアルモーター・パワートレインで600ps以上のパワーを発揮する見込みだ。

ミニの3ドアとカントリーマン

来年からミニのオックスフォード工場は電動モデルのみを製造するようになる。人気の3ドア・ハッチバックは間違いなく継承され、EVとなることが期待される。また、カントリーマンも改良され、完全なEVが登場する予定だ。

プジョーe-308

プジョー308と308 SWのバッテリーEV仕様。既存のe-208よりもパワフルで、航続距離も長くなる。50kWhバッテリーが前輪に取り付けられたモーターを駆動し、156psと27kg-mを発生する。2023年7月に生産が開始される予定。

フォードの電動SUV

フォードは、次期電動SUVの名称、価格、サイズ、外観について沈黙を守っているが、技術仕様についてはいくらか明らかにしている。フォルクスワーゲンとの提携でMEBプラットフォームをベースに開発され、航続距離は320km以上になることがわかっている。果たしてフォードは、ドイツ勢とは一線を画す存在感を示すことができるだろうか。

シボレー・シルバラードEV

フォードが電動化の栄光に浴することを、シボレーが黙ってみているはずがない。シボレーは最近、ピックアップトラックのシルバラードEVを公開し、航続距離を640km以上とした。これはフォードF-150ライトニングの航続距離を160km上回るものだ。最大200kWhのバッテリーが搭載され、デュアルモーター四輪駆動のパワートレインで最高出力670ps以上、最大トルク108kg-m以上のトルクを発生する。

MGのハッチバック

MGの小型電動ハッチバックは、今後数か月のうちに公開される予定だ。このモデルは、ZS EVと5 EVと共にMGのEVラインナップに加わるが、まだ秘密に包まれている。4月の北京モーターショーでコンセプトカーが公開されると思われる。

ポルシェ・マカンEVとアウディQ6 eトロン

マカンEVはポルシェにとって2台目の完全EVだが、タイカンと同等かそれ以上に成功させるだろう。ポルシェとアウディが共同開発した全く新しいプラットフォームを採用し、の最高出力700ps以上と最大トルク100kg-m以上になると期待される。

アウディはこのプラットフォームを、800V充電、480km以上の航続距離、そして最終的にはスポーツタイプの「RS」を備えたQ6 eトロンに使用する予定だ。

スマートのSUV

2023年に登場するスマートの電動SUVは、中国の上流階級を視野に入れたもので、中国で生産される予定である。スマートはメルセデスとジーリーの合弁会社であり、この電動SUVはメルセデスのSEAプラットフォームを採用する予定だ。

オペル/ヴォグゾール・アストラ

アストラもコルサのように、ベストセラー車になれるだろうか?今年、ガソリン、ディーゼル、PHEV仕様が発売される予定で、確かにそのポテンシャルは秘めている。EV仕様のハンドルを握りたいのであれば、2023年まで我慢して欲しい。

フォルクスワーゲン・エアロB

フォルクスワーゲンは、計画中の高級EVセダンをテスラ・モデル3やポールスター2に対抗できる競争力の高いモデルにしようとしている。2019年に「ID.Vizzion」という名前で初披露されたが、現在、社内ではその空力性能を重視した設計から「エアロB(Aero-B)」と呼ばれている。MEBプラットフォームをベースに、前輪駆動または後輪駆動、77kWhバッテリー、最大695kmの航続距離を携えてデビューする見込みだ。