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今回は天体望遠鏡を取り上げます。天体望遠鏡はその名の通り、月や惑星、星団などの天体を観測するための望遠鏡です。天体望遠鏡というと、高価で取り扱いが難しいと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、最近は、低価格でもしっかりした天体望遠鏡が買えるようになっています。また、GPSを搭載した全自動導入機能付き天体望遠鏡なら、メニューから見たい天体の名前を選ぶだけで、自動的に望遠鏡が動きその天体を捉えてくれます。

都会でも、火星や木星、土星といった明るい惑星は十分見ることができます。ちょうど2022年の前半は明るい惑星が未明から明け方の空に並びます。3月は、明けの明星の金星と火星が接近して見え、下旬になると土星が加わりますので、天体望遠鏡があれば、土星の輪や火星の模様などを楽しむことができます。

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天体望遠鏡を選ぶ際のポイントは、「口径」「鏡筒」「架台」の3点です。

口径とは、天体の光を集める対物レンズや反射鏡の直径のことです。口径が大きいほど、遠くの暗い天体が見えるようになり、土星の輪や木星の模様なども細かな部分まで見えるようになります。その代わり、口径が大きくなるほど、本体が重くなって持ち出すのが大変になり、価格も高価になります。月のクレーターや土星の輪を見るくらいなら、口径50mm〜60mmクラスでも十分ですが、光が弱い星雲などを見るには、口径100mm以上がおすすめです。

鏡筒とは、望遠鏡本体の筒のことで、対物レンズや反射鏡(主鏡)と接眼レンズから構成されています。鏡筒はその方式によって大きく、「屈折式」「反射式」「カタディオオプトリック式」の3つに分けられます。屈折式は、レンズで光を集めるタイプの望遠鏡で、接眼レンズの向きと鏡筒の向きが一致していて取り扱いやすく、メンテナンスも簡単なので初心者向きです。その代わり、大口径のものは重く高価になります。反射式は、鏡で光を集めるタイプの望遠鏡で、接眼レンズが本体の横に鏡筒に対して垂直についているため取り扱いがやや難しく、光軸ズレのメンテナンスなども必要なので、中上級者向けです。反射式は大口径のものでも、比較的安価なことがメリットです。カタディオオプトリック式は、屈折式と反射式を合わせたような方式で、鏡筒が短くても焦点距離が長く、高倍率を出しやすいことが利点です。

架台は、鏡筒を三脚に固定し鏡筒を動かす部分のことで、「経緯台」と「赤道儀」に大別できます。経緯台は、鏡筒を上下左右に動かして天体を探す方式で、直感的に扱えるので初心者向きです。赤道儀は、天の北極(北極星付近)に回転軸(極軸)を合わせて使う方式で、天体の円周運動に合わせて望遠鏡を追尾して動かすことができます。また、最近は、リモコンから天体の名前を選ぶだけで、自動的にその天体を視野に入れて追尾してくれる自動導入機能を備えた天体望遠鏡もあります。

今回は、上記の3点を考慮して選んだ、天体望遠鏡のおすすめ5製品を紹介します。


スコープテック ラプトル60

小学生でも簡単に扱えるコスパ優秀な入門機

スコープテック ラプトル60は、口径60mmの屈折式天体望遠鏡です。

架台はフリーストップタイプの経緯台で、鏡筒を手で持って自由な方向に動かすことができます。対物レンズは色収差を抑えたアクロマートレンズで、焦点距離は700mmです。24.5mm径と31.7mm径の接眼レンズに対応し、24.5mm径の接眼レンズが2つ(K20mmとF8mm)付属しています。倍率はK20mmでは35倍、F8では87.5倍となります。

三脚は伸縮機能付きで、子どもも大人も見やすい高さに調節できます。三脚込みの総重量は2.5kgと軽く、小学生でも一人で出し入れできます。微動装置が付いていないので、長時間の追尾には向いていませんが、月や惑星を気軽に観測するには十分です。月のクレーターはもちろん、土星の輪や木星の縞模様も見えます。

Amazonでの販売価格は約2万2000円で、子どもが初めて使う天体望遠鏡としてもおすすめです。

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ビクセン スターセンス エクスプローラー LT80AZ

スマホを利用して楽に天体を探せる屈折式天体望遠鏡

ビクセン スターセンス エクスプローラー LT80AZは、口径80mmの屈折式天体望遠鏡です。

架台はフリーストップタイプの経緯台で、鏡筒を手で持って自由な方向に動かすことができます。対物レンズは色収差を抑えたアクロマートレンズで、焦点距離は900mmです。31.7mm径の接眼レンズに対応し、接眼レンズが2つ(25mmと10mm)と倍率を2倍にする2倍バローレンズが付属していますので、36倍、72倍、90倍、180倍の4通りの倍率で観察できます。

専用アプリ「StarSense Explorer」を入れたスマホを鏡筒に取り付け(スマホ用ホルダーが付属)、アプリから見たい天体を選べば、スマホの画面にその天体まで誘導する矢印が表示されます。その矢印の指示に従って鏡筒を動かしていくだけで、目的の天体を導入できることが魅力です。

三脚込みの総重量は4.17kgと軽いため、一人で楽に設置できます。口径50〜60mmの天体望遠鏡よりもワンランク上の解像度で月や惑星を観測できます。Amazonでの販売価格は約3万6000円です。

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スコープテック アトラス60

微動装置付きで高倍率の観察も快適

スコープテック アトラス60は、口径60mmの屈折式天体望遠鏡です。

架台はフリーストップタイプの経緯台で、鏡筒を手で持って自由な方向に動かせるだけでなく、高度軸と方位軸の微動装置が搭載されていますので、高倍率での観察も快適です。対物レンズは色収差を抑えたアクロマートレンズで、焦点距離は800mmです。24.5mm径と31.7mm径の接眼レンズに対応し、接眼レンズ3つ(K20mm、F12.5mm、Or6mm)が付属しています。倍率はK20mmでは40倍、F12.5mmでは64倍、Or6mmでは133倍となります。

三脚は伸縮式で、子どもから背の高い大人まで楽な姿勢で観察できます。総重量は4.5kgで、小学校で使われている椅子とほぼ同じ重さですので、小学生でも十分に一人で設置できます。

大人から子どもまで、幅広い層におすすめできる入門機です。Amazonでの販売価格は約3万3000円です。

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ビクセン ポルタII A80Mf

しっかりしたつくりが魅力の屈折式天体望遠鏡

ビクセン ポルタII A80Mfは、口径80mmの屈折式天体望遠鏡です。

架台はフリーストップタイプの経緯台で、鏡筒を手で持って自由な方向に動かせるだけでなく、高度軸と方位軸の微動ハンドルが用意されていますので、高倍率での追尾なども容易にできます。対物レンズは色収差を抑えたアクロマートレンズで、焦点距離は910mmです。31.7mm径の接眼レンズに対応し、接眼レンズ2つ(PL20mmとPL6.3mm)が付属しています。倍率はPL20mmでは46倍、PL6.3mmでは144倍となります。

三脚込みの総重量は9kgです。鏡筒の載せ替えも自由で、重さ約5kg、外径160mmのものまで搭載が可能です。つくりがしっかりしており、拡張性も高いので、これからしっかり天体を観測したいという人におすすめです。Amazonでの販売価格は約5万3000円です。

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スカイウォッチャー AZ-Go2 P130

自動導入機能付きの反射型天体望遠鏡

スカイウォッチャー Az-Go2 P130は、口径130mmの反射式天体望遠鏡です。

架台は経緯台で、2軸のモータードライブが搭載されており、専用スマホアプリ「SynScan」を導入したスマホから操作が可能です。自動導入機能に対応していることが魅力で、SynScanから目的の天体を選ぶだけで、自動的にその天体を導入し、自動追尾してくれます。天体の場所を見付けて、望遠鏡で導入するのが苦手な人にもおすすめです。

単三形乾電池8本で動作します。焦点距離は650mmで、31.7mm径の接眼レンズに対応しています。接眼レンズが2つ(K25mmとK10mm)付属しています。倍率はK20mmでは26倍、K10mmでは65倍となります。三脚込みの総重量は約6.9kgです。

Amazonでの販売価格は約4万8000円と、自動導入機能付き天体望遠鏡としてはリーズナブルです。いろんな天体をプラネタリウム感覚で見てみたいという人におすすめです。

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記事中の製品はEngadget日本版チームが推奨しているものです。販売情報は記事執筆時点のもので、価格や在庫状況は常に変化しています。