2020年、21年が統合された昨季の国内女子ゴルフツアーで、賞金ランキング、メルセデス・ランキングのいずれかで50位以内に入った52人がシード選手として、22年のフル出場権(一部大会を除く)を手にした。そのうち米ツアーに主戦場を移した笹生優花を除く12人の初シード選手をここで紹介する。今回は田辺ひかり(賞金42位、メルセデス43位)。
19年シーズンは獲得賞金0円。16年のプロテスト合格後からの4シーズンは、常に賞金ランク3ケタだった田辺が、昨季覚醒した。4264万4632円を稼ぎ出しランキング42位。昨シーズン開幕前までの生涯獲得賞金が236万9000円だったことを考えても、まさに飛躍の1年半になったといえる。さらにメルセデス・ランキングも43位。文句なしで初シード入りを果たした。
20年のメジャー大会「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」で、一気に視界が開けた。3日目を2位タイで終えた田辺は、最終日の最後の最後まで優勝の可能性を残しプレー。結果的に2位タイのまま終わったものの、ここで1453万3333円を稼ぎ、この時点で2回のリランキング突破が確実になった。QTランク46位でスタートしたシーズンのほとんどを、レギュラーツアーで過ごせるのが決まったことになる。
勢いは年を越しても持続し、21年初戦の「ダイキンオーキッドレディス」は3位でフィニッシュ。夏から秋にかけ棄権1試合を含み6試合連続で決勝ラウンド進出を逃すなど、調子を落とした時期もあったが、ことシード入りに関しては余裕をもってゴールテープを切ることができたといえる。
身長は165センチと決して小柄ではないが、グリップを極端に短く握るシャープなスイングが特徴。同じ広島出身でツアー7勝を誇る佐伯三貴から指導を受けるが、師匠は「技術は何も問題ない。あとはメンタル」と田辺を評してきた。序盤の善戦で余裕をもって戦えたことが、その“メンタル面”を整えるのに大きな役割を果たしたはずだ。
「優勝とリコー(最終戦出場)を目標にしていたけど、達成できなかった。1勝したいなと思います」。レギュラーツアーにフル参戦したことで、感じられたことも多いはず。浮かび上がった課題を克服し、今季はシードではなく勝利を意識したシーズンを送りたい。
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