●3DMark

こちらのCESの記事でも紹介したように、NVIDIAは米国時間の1月4日、同社のGeForce RTX 3000シリーズにローエンドモデルとしてGeForce RTX 3050を追加し、同じく米国時間の1月27日より販売を開始する事をアナウンスした。という事で評価機も借用できたので、その性能を確認してみたいと思う。

GeForce RTX 3050の性能をベンチマークテスト


○20SM/2560 CUDA Coreで1.78GHz駆動

ちょっと先の記事の繰り返しになるが、GeForce RTX 3050はローエンド向けの性能の底上げを図る(Photo01)と共に、こうしたローエンドでもRay Tracingを利用できる(Photo02)というものだ。ローエンドモデルということでFounder Editionは発売されないが、メーカー各社から$249という低価格で投入されることになっている(Photo03)。

Photo01: 主要なゲームの、1080p/Highest Settingにおけるフレームレート。RTなしで60fpsを達成できるとしている。


Photo02: RT有効でもDLSSを併用すれば、やはりHighest Settingのままでも60fpsが達成できるとする。


Photo03: 問題は実売価格である。ちなみに日本での価格も現時点では不明。


このお値段、2019年のGeForce RTX 2060の$349や昨年発表のGeForce RTX 3060の$329と比べてもかなりお安く、2019年のGeForce GTX 1660(無印)の$219とGeForce GTX 1660 Tiの$279の丁度間位。流石にGeForce GTX 1650(無印)の$149とかGeForce GTX 1650 Superの$159よりは高いが、こうしたローエンドのカードもかなり高騰している事を考えると、$249は一見かなり安いと思える(問題は実売価格だ)。

ちなみにGeForce RTX 3050と3060、それとGeForce GTX 1660 Tiのスペックをまとめたのが表1である。Boost Clockが大体どれも1.78GHzで揃っているのがちょっと面白いが、SM数は20に減っており、またメモリバスも128bitに減っているので、GeForce RTX 3060とは結構性能差があると思われる。もっともGeForce GTX 1660 Tiと比較するとGPU性能そのものは上がっているがメモリバスの帯域で多少ビハインドがあり、これがボトルネックになりそうである。

さて評価機であるが、今回借用したのはGIGABYTEのGeForce RTX 3050 Eagle 8G(Photo04〜13)である。GPU-Zでの結果はこんな感じ(Photo14,15)であった。

Photo04: パッケージは同社のEagleシリーズの流れを汲んだもの。まぁスタンダートというか。


Photo05: GeForce RTXシリーズとしては小さく、軽い(212mm×105mm×40mm 567.6g:いずれも実測値)。ファンノイズはかなり小さめで殆ど気にならない。


Photo06: 裏面はヒートシンク部を除き綺麗にバックプレートで覆われている。


Photo07: 出力はDisplayPort×2+HDMI×2の4出力


Photo08: 補助電源コネクタはカバーに隠れる格好。


Photo09: 補助電源コネクタそのものは8pin×1。基板はこのコネクタ部までしかない。


Photo10: ヒートシンクは基板を覆うメインのものと、そこからヒートパイプ経由でカード後端に伸びた先のもののダブル構成。


Photo11: カード後端。ここのスリットがどの程度放熱に貢献するかは不明。


Photo12: PCIeのカードエッジには、ちゃんとx16分の配線が来ている。


Photo13: カードエッジ裏面も同様。


Photo14: Radeon RX 6500 XTのレビューの際にはまだGPU-Zが2.43.0で最新GPUに未対応だったが、2.44.0ではちゃんとGeForce RTX 3050に対応した。


Photo15: TGPは130W標準だが最大で10%アップの143Wまで対応。逆に下げる方は-23%の100Wとなっている。


テスト環境は表2に示す通りである。今回は先日のGeForce RTX 6500 XTのレビューと同じ環境の上で、基本的には同じテスト項目で追試の形でテストを行った(2つほど追加があるが、それは都度説明する)。というわけで、個々のテストの設定などはGeForce RTX 6500 XTのレビューに準ずるということで説明は割愛させていただく。

グラフ中の表記は一つ増えて

GTX 1650 Super:ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan

GTX 1660 :MSI GeForce GTX 1660 Aero ITX 6G OC

RTX 3050 :GIGABYTE GeForce RTX 3050 Eagle 8G

RX 6500 XT :PowerColor Radeon RX 6500 XT Fighter

RX 6600 XT :BIOSTAR Radeon RX 6600 XT

としている。また本文中の解像度表記は前回同様

1.5K:1600×900pixel

2K :1920×1080pixel

2.5K:2560×1440pixel

とした。

○◆3DMark v2.22.7334(グラフ1〜4)

3DMark v2.22.7334

UL Benchmarks

https://benchmarks.ul.com/3dmark

グラフ1


グラフ2


グラフ3


グラフ4


Overall(グラフ1)を見ると、基本的なGeForce RTX 3050の性能はGeForce GTX 1660よりは高速だけど、当然ながらRadeon RX 6600 XTには遠く及ばないというあたり。Radeon RX 6500 XTよりはやや上で、その意味ではRadeon RX 6600が仮想的というあたりだろうか。それはともかく、PortRoyalのスコアを見ると、Radeon RX 6500 XTは殆どオマケのレベルなのに対し、GeForce RTX 3050は(絶対的なスコアは低いものの)まだ使い物になるというか、少なくともRadeon RX 6500 XTに比べればだいぶマシ、といったあたりになっている。

この傾向はGraphics Test(グラフ2)でも当然同じ。なぜかPhysics/CPU Test(グラフ3)ではやや高めになってはいるが、ただ誤差の内として良いかと思う。Combined Scoreも大体傾向としては同じで、Radeon RX 6600 XTを除く4枚の中ではもっとも高い性能ではあるが、ただ差はそれほど大きくない、という辺りと考えてよいかと思う。

余談だが、前回のグラフ4でTimeSpy/TimeSpy Extremeとあるのは、FireStrike/FireStrike Extremeの間違いである。お詫びして訂正したい。

●ゲームその1:Borderlands 3 / F1 2021 / Far Cry 6

○◆Borderlands 3(グラフ5〜10)

Borderlands 3

2K Games

https://borderlands.com/ja-JP/

グラフ5


グラフ6


グラフ7


グラフ8


グラフ9


グラフ10


平均/最大/最小フレームレート(グラフ5〜7)を見ると、意外にGeForce RTX 3050が奮わなかったのがこのBorderlands 3。間違いかと思って再テストしてもきっちり再現したので、なぜかGeForce GTX 1660より遅い事になる。とはいっても、Radeon RX 6500 XTよりは高速なのだが。

フレームレート変動を見てもこれは明白である。といっても、1.5K/2K(グラフ8・9)では性能差が明らかにあるが、2.5K(グラフ10)だとGeForce GTX 1660とほぼ差がなくなる、という傾向も面白い。とはいえ平均50fps弱というにはプレイには厳しいところで、DLSSなりNVIDIA Image Scalingなりを使いたいところではある(Borderlands 3は現時点ではDLSS未対応)。

○◆F1 2021(グラフ11〜16)

F1 2021

EA Sports

https://www.ea.com/ja-jp/games/f1/f1-2021

グラフ11


グラフ12


グラフ13


グラフ14


グラフ15


グラフ16


平均/最大/最小フレームレート(グラフ11〜13)を見ると、3DMarkと似た傾向に戻っており、GeForce RTX 3050はRadeon RX 6600 XTを除く4枚の中では最速という結果になっている。フレームレート変動(グラフ14〜16)を見ると明確に他とグラフが分離しているし、2.5Kでも100fps近くを維持できており、もう少し描画性能を引き上げても十分プレイできそうな結果である。

○◆Far Cry 6(グラフ17〜22)

Far Cry 6

Ubisofy Entertainment

https://www.ubisoft.com/ja-jp/game/far-cry/far-cry-6

グラフ17


グラフ18


グラフ19


グラフ20


グラフ21


グラフ22


1.5Kは5枚のカードの中でGeForce RTX 3050が最速、という面白い結果が出たのがこのFar Cry 6(グラフ17〜19)。このゲームの場合はそもそもカードによる性能差が少ない(例外は2.5KのGeForce GTX 1650 Super)という傾向があるが、その中は比較的高めの性能として良いかと思う。フレームレート変動(グラフ20〜22)を見ても、確かに1.5K/2Kでは明確に最速。2.5KではRadeon RX 6600 XTに多少負けるが差は少ないし、絶対的なフレームレートでは60fpsを超えているから十分Playableとして良いかと思う。FSRを使えば2.5Kでも90fps以上を確保できると想像できるだけに、これは悪くないと思う。

●ゲームその2:Metro Exodus / FF XIV 暁月のフィナーレ / Shadow of the Tomb Raider

○◆Metro Exodus Enhanced Edition(グラフ23〜28)

Metro Exodus Enhanced Edition

4A Games

https://www.metrothegame.com/

前回のレビューでは掲載を省いたのは、これがRay Tracing必須となる関係でGeForce GTX系のデータが取れなかったためで、なので今回はGeForce RTX 3050とRadeon RX 6500 XT/6600 XTのみをご紹介する。テスト手順はこちらのMetro Exodus Enhanced Editionの項目に準ずるが、設定は

・Preset:High Qualityをそのまま利用

・解像度:1.5K/2K/2.5K

・DLSS:無効

としている。またこのベンチマークはVSyncのOn/Offがなくなっているので、GeForce RTX 3050/Radeon RX 6500 XT/6600 XTのいずれもGlobal SettingでVsyncを強制Offにして実施している。

グラフ23


グラフ24


グラフ25


グラフ26


グラフ27


グラフ28


さてまず平均/最大/最小フレームレート(グラフ23〜25)だが、Radeon RX 6500 XTは本当にオマケ、という感じで1.5Kでもプレイ可能とは言い難いレベル。これに対してGeForce RTX 3050は2Kは厳しいがDLSSを併用すれば2Kでもプレイ可能といったあたりだ。丁度3DMarkのPort Royalの結果そのまま、といった感じである。

これはフレームレート変動(グラフ26〜28)でも明白で、1.5K(グラフ26)だと意外にGeForce RTX 3050はちゃんとフレームレートが維持されており、80秒〜90秒あたりの一番負荷が厳しいところはともかく、それ以外ではまぁプレイできるといったところ。2K(グラフ27)だともう少し厳しくなるので、やはりDLSSの併用が不可避だろうか。2.5K(グラフ28)はかなり厳しいのでお勧めはしにくいところ。勿論Radeon RX 6500 XTに比べれば遥かにマシではあるのだが(というか、Radeon RX 6500 XTのRay Tracing有効時の性能低下が著しすぎるのが大問題という気はしなくもない)。とりあえずRadeon RX 6500 XTよりは、遥かにマシにRay Tracing系を利用できる(ただし余力は少ない)として良いかと思う。

○◆FF XIV 暁月のフィナーレ(グラフ29〜34)

FF XIV 暁月のフィナーレ

SQUARE ENIX

https://jp.finalfantasyxiv.com/benchmark/

グラフ29


グラフ30


グラフ31


グラフ32


グラフ33


グラフ34


平均フレームレート(グラフ29)を見ると、GeForce RTX 3050の性能はRadeon RX 6600 XTには敵わないものの、他の3枚のカードは明白に引き離している感じ。最大フレーム(グラフ30)は前回説明の通りあまりあてにならないので無視するとして、最小フレームレート(グラフ31)は2Kでも70fps超えというのはなかなか期待できる感じだ。フレームレート変動(グラフ32〜34)も、ピーク部を無視して見てみると、GeForce RTX 3050は他の3枚とグラフが分離している感じで、平均的に性能は高そうだ。

Benchmarkのスコアは表3に示す通りで、Radeon RX 6600 XTには及ばないものの、その他の3枚のカードとは明確にスコア差があるあたり、エントリーモデルとしてはかなり高めとして良いかと思う。

○◆Shadow of the Tomb Raider(グラフ35〜40)

Shadow of the Tomb Raider

SQUARE ENIX

https://tombraider.square-enix-games.com/en-us

グラフ35


グラフ36


グラフ37


グラフ38


グラフ39


グラフ40


傾向としてはF1 2021に近い感じである。平均フレームレート(グラフ35)では、GeForce RTX 3050は2Kで100fps弱、2.5Kで67.8fpsとかなり良い感じ。最大/最小(グラフ36・37)も妥当な結果になっている。2.5Kにおける最小フレームレートが55.3fpsなのは、2.5Kで十分プレイ可能、という感じだ。フレームレート変動(グラフ38〜40)もこれを裏付ける格好であり、2KのままならRay TracingをOnにしても良い位の性能になっている(もっともプレイ体験という意味では、Ray TracingをOnにするのと、Ray TracingはOffのままQualityをHighにするののどちらが良いのかは微妙な感じではあるが)。

●ゲームその3:Tom Clancy's The Division 2 / Watch Dogs:Legion

○◆Tom Clancy's The Division 2(グラフ41〜46)

Tom Clancy's The Division 2

Ubisoft

https://www.ubisoft.co.jp/division2/

グラフ41


グラフ42


グラフ43


グラフ44


グラフ45


グラフ46


こちらもほぼ同じ傾向である。平均フレームレート(グラフ41)では、GeForce RTX 3050は2.5Kでも65.6fpsとプレイ可能な数字。最小フレームレート(グラフ43)も2.5Kで52.1fpsだから結構期待できる感じだ。フレームレート変動(グラフ44〜46)を見ても、Radeon RX 6600 XTは遠いものの、その他の3つの製品とグラフが重なることもなく、明確に性能差が示されていると思う。

○◆Watch Dogs:Legion(グラフ47〜52)

Watch Dogs:Legion

Ubisoft

https://www.ubisoft.co.jp/wdlegion/

グラフ47


グラフ48


グラフ49


グラフ50


グラフ51


グラフ52


ゲームベンチの最後はこちら。平均フレームレート(グラフ47)を見るとGeForce RTX 3050は意外にも1.5Kでは最速だが、その先はRadeon RX 6600 XTには及ばず、その意味ではShadow of the Tomb RaiderとかDivision 2、F1 2021などと同じ傾向と言える。最大フレームレート(グラフ48)はともかく最小フレームレート(グラフ49)はかなり優秀な部類。といっても2Kで51fps、2.5Kでは32.8fpsだから、ギリギリプレイ可能なのは2Kまでであろうが。実際フレームレート変動(グラフ50〜52)を見ると、70秒付近のスパイクが最小フレームレートを下げる要因になっており、2.5Kも普段はプレイできるが、たまに猛烈に遅くなる、というのは実際にプレイするとなるとちょっと厳しそうではある。まぁ2Kではそれほど支障なくプレイ可能だと思うが。

●PCMark 10 / Sandra 20/21 / TMPGEnc

○◆PCMark 10 v2.1.2525(グラフ53〜58)

PCMark 10 v2.1.2525

UL Benchmarks

https://benchmarks.ul.com/pcmark10

グラフ53


グラフ54


グラフ55


グラフ56


グラフ57


グラフ58


では2Dの描画性能は? ということでPCMark 10を。Overall(グラフ53)を見ると、なぜかPCMark 10 Applicationsでは最速だったりするが、ただ差は大きくない。これは後で詳細を見てみたいと思う。さて、Test Group(グラフ54)を見ると、GeForce RTX 3050の性能はやや高めであるが、そう大きな差とは言えない。誤差の範囲ではあるが、やや大きめの方向に振れている程度である。

強いて性能差があるのと言えば、Essentials(グラフ55)におけるApp Starupがなぜか高速という事だ。ただ生データを表4に示す(単位はsecで、要するにChromium/Write/Gimp/Firefoxの4つのアプリケーションを、Warm Startup/Cold Statupするのに必要な所要時間の平均値なので、短いほど高速)が、GeForce RTX 3050が飛びぬけて高速というものはあまりなく、他に比べてちょっとづつ高速といった結果の積み重ねの様だ。Productivity(グラフ56)やDigital Contents Creation(グラフ57)は大差なし。気になるApplication(グラフ58)だが、Excel/PowerPointでなぜかGeForce RTX 3050の性能がちょっとだけ高めとなっている。ただこちらも(項目が多いので生データは示さないが)複数のテスト項目で「ちょっとだけ高速」が積み重なった格好で、特にたと比べて抜きんでて高速といった項目は無かった。要するにこれも誤差の範囲と思われる。

○◆Sandra 20/21 2021.11.31.53 Tech Support(グラフ59)

Sandra 20/21 2021.11.31.53 Tech Support

SiSoftware

https://www.sisoftware.co.uk

グラフ59


PCIeの帯域確認であるが、PCIe Gen4×16という帯域の通りの結果となった、ということでまぁこれは事実の再確認でしかない。まぁGeForce系そのままの性能だった。

○◆TMPGEnc Video Mastering Works 7.0.24.27(グラフ60)

TMPGEnc Video Mastering Works 7.0.24.27

ペガシス

http://tmpgenc.pegasys-inc.com/ja/product/tvmw7.html

Radeon RX 6500 XTではエンコード機能が外されてしまった(実際試したものの、AMD Media SDKが有効にならなかった)ということで結果を示さなかったが、GeForce RTX 3050は勿論利用できるわけで、確認の意味で実施してみた。そんな訳でRadeon RX 6500 XTの結果はない。

グラフ60


さてその結果だがグラフ60に示す通りで、エンコード性能はGeForce GTX系と大して変わらないというか、基本同じエンジンで差は動作周波数だけなので、微妙にGeForce GTX系2枚の方が高速だし、同時2 Streamまでで4 Streamには対応しないのも同じ。絶対性能としてはRadeon RX 6600 XTに搭載されているMedia Encoderの方が高速だが、4KのH.265を70fpsでエンコード(正確に言えばVP9からのトランスコード)が可能なのは、まぁコンシューマ向けには十分な速度だろう。

●消費電力 / 考察まとめ

○◆消費電力(グラフ61〜66)

最後は消費電力である。3DMark FireStrike Demo(グラフ61)、Borderlands 3 2K(グラフ62)、F1 2021 2K(グラフ63)、及び暁月のフィナーレ 2K(グラフ64)の4つについて、一連のベンチマーク完了までの消費電力変動を示した。それぞれのベンチマーク中の平均消費電力をまとめたのがグラフ65、そこから無負荷時との差を算出したのがグラフ66となる。

グラフ61


グラフ62


グラフ63


グラフ64


グラフ65


グラフ66


消費電力変動で見ると、GeForce RTX 3050は概ねGeForce GTX 1660よりちょっと多い程度、というのが判る。グラフ65で見ると、平均15Wほどの上乗せ。実際には待機時消費電力がやや低い事もあり、実効消費電力差(グラフ66)では20W前後の上乗せ、ということになるが、システム全体の消費電力でみるとRadeon RX 6600 XTは300W PSUだとギリギリになり、350W〜400Wクラスが必要だが、GeForce RTX 3050はギリ300W PSUでも動作しそうな感じだ。

今回はCPUが消費電力のやや多いRyzen 7 5800Xを使ってこれだから、もう少し省電力なRyzen 5 5600Xとかなら300W PSUで十分賄えるだろう。このあたりは安心できる材料と言える。GeForce GTX 1660との性能差を考えれば、この消費電力増は許容範囲というか、バーターとしては悪くないと筆者は考える。

○考察

値段をべつにすれば、全体としては非常に良い製品だと思う。確かにエントリモデルの性能底上げに大きく貢献する事は間違いない。まだTSMCの12FFNを使っての製造なのは残念だが、この程度の消費電力に抑えられているのなら文句はない。

やはり問題になるとしたら価格だ。$249という推奨小売価格からすれば、3万円台を想定したくなる。Radeon RX 6500 XTが$199という価格であり、筆者は前回のレビューの考察で「もしRadeon RX 6500 XTが4万円程度で入手できるなら、悪くない選択肢だと思う」と書いたが、実際にはお値段は3万円台。中には3万円をきっている玄人志向のRD-RX6500XT-E4GB/SFなどもあり、価格性能比としてはかなり良好として良い。

ではGeForce RTX 3050は? というと、$249であるから4万円を切るか切らないかくらいの所を期待したくなるところであるが、いち早く製品を公開したGAINWARDのGeForce RTX 3050 Ghostの予想市場売価は税込みで\52,800。流石にこれはちょっと高すぎると言わざるを得ない。もう1万円位下げて市場投入してくれるのであれば筆者は無条件にお勧めしたいところだが、流石に5万円超えはちょっとお勧めしにくい。

ところがNVIDIAのサイトによれば、「\39,800より」となっており、実際には4万円切りを設定するベンダーもあるようだ(Photo16)。この辺りは発売後のレポートを待ちたいところである。

Photo16: GeForce RTX 3050の紹介ページの一番したにこれが示されている。


私事であるが、実は筆者の原稿書きマシンにはRadeon RX 570×2が入っている。何しろ7枚液晶が繋がっているので、GPUカード1枚ではカバーできないという理由によるもので、ただRadeon RX 570だから消費電力が高めである。それもあってRadeon Settingsで動作周波数をギリギリまで落とすとかいろいろ工夫をしているのだが、いい加減更新したいとは思っていた。ところがRadeon RX 6500 XTでは消費電力こそ下がるものの画面出力も2ポートに削減されてしまい、という事はウチの環境だと4枚挿す必要があるので流石に論外という事で却下。

で、GeForce RTX 3050には期待している。実際描画性能と消費電力には文句が無いので、その意味でも価格は頑張ってほしいところ。4万円をきるくらいで、しかも潤沢に製品が出てくることを真剣に期待している。