顔は狼、お尻は羊!? スカイラインGT-R最後の4枚ドアモデルとは|オーテックバージョン40thアニバーサリー|

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長野県岡谷市の「プリンス&スカイラインミュウジアム」は、スカイラインファンの聖地として知られている自動車博物館。展示内容は毎年更新されていますので、何度訪れても新鮮さがあります。

今年の展示の注目は、かつてR32型スカイラインGT-R用に開発されたRB26エンジンが搭載されている2台の貴重な4ドアスカイライン。1台はR32型のスカイライン オーテックバージョンで、こちらはノンターボのAT仕様というGT-Rのイメージとはちょっと異なる性格のグランドツアラーです。そして、今回紹介するもう1台の4ドアスカイラインは、同じオーテックの開発ながら今度はGT-Rの名を冠したモデルです。

■1998年 スカイラインGT-R オーテックバージョン40thアニバーサリー

初代プリンススカイラインの登場から40年を数えた1997年に発表され、翌98年に発売されたのがR33型「スカイラインGT-R オーテックバージョン40thアニバーサリー」です。R32型のオーテックバージョンが2LモデルをベースにRB26を搭載したのに対し、こちらは2ドアのみだったR33型GT-Rそのものに4ドアボディを架装したもので、正真正銘の4ドアGT-Rです。ちなみにこの記事の掲載時スカイラインは初代登場から64年を数えますが、いまだに4ドアのGT-Rは3代目のいわゆる「ハコスカ」と今回紹介するこのモデルだけです。

【画像】正真正銘の4ドアGT-R

エクステリアはフロントが本家GT-Rそのもの。リヤは通常のR33型スカイライン4ドアという感じです。もちろん架装といっても単に4ドアのボディを流用しても車幅が合いませんので、リヤフェンダーとリヤドアは専用金型を起こすなどとても手間がかかっています。

また、同じ動力性能を持ちながら通常の2ドアボディに装備されている強大なリヤスポイラーは装着されず、落ち着きのあるシンプルな後ろ姿です。GT-Rの4ドア版ですから羊の皮を被った狼と言いたいところですが、顔は狼のままお尻が羊という感じでしょうか。

カラーはR32型オーテックバージョンが専用の1色だったのに対し、こちらはソニックシルバー/ホワイト/ミッドナイトパープルの3種が選べました(展示車両はソニックシルバー)。

内装に目を移すとフロント部は本家GT-Rそのもの。リヤシートは2ドアのリヤシートに近いデザインで、ホールド感がありつつゆったりとした2名がけデザインの専用品です。

走りに関しては本家GT-Rのままですので説明不要でしょう。エンジンルームに鎮座した縦置きの大きなRB26DETTはやはりGT-Rならでは。

このR33型の後継として登場したR34型スカイラインGT-Rには4ドアバージョンが存在せず、R35型GT-Rはスカイラインではなくなってしまったので、今回紹介した「スカイラインGT-R オーテックバージョン40thアニバーサリー」は名実ともに最後のスカイライン4ドアGT-Rとなってしまいました。

現在プリンス&スカイラインミュウジアムではオーテックバージョンのほか、4代目(ケンメリ)GT-R、8代目R32型GT-R、9代目R33型GT-R、10代目R34型GT-Rを展示中。3代目(ハコスカ)の2ドア、4ドアのみレプリカなのが少々残念ですが、GT-Rがこれだけそろうのは貴重です。1年に1回展示車両の入れ替えをがあることを考えると、GT-Rファンは11月7日まで公開される今年が狙い目かもしれません。

<文と写真=高橋 学>