不運と思いきやまさかの!…スマホ紛失の女性に訪れた「意外すぎる展開」

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現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、もはや体の一部となっていたスマホを失くした21歳女性。不便と思っていたスマホのない生活だったが…。彼女に舞い込んだ意外な結末とは!? 三松先生が、「スマホレスのススメ」を説きます!

文・三松真由美

【レスなひとびと】vol. 103

直美(21歳)スマホレスで、スマホより大事なものを手に入れた

ピコン。直美はいつものごとく、LINEの受信音が鳴り終わる前に携帯のロック画面を解除。友達のチキからの誘いだ。

「今日会える?」

「うん。インスタでカフェ検索するから、京都駅らへんで会おうや」

近鉄電車に乗って京都駅へ向かう30分ほどの間、Instagram、Twitter、Facebookのタイムラインを全部チェック。友人の投稿すべてにイイネをつけていく。チキと解散したあとは、寝るまでひたすらスマホゲーム。そんな日常を過ごす直美にとって、スマホはカラダの一部。

が、そんなスマホをなくしてしまった。

寝起きにLINEをチェックしようと思ったら、ない。大慌てで部屋中探したが、ない。最新のスマホに買い替えたばかり。とりあえずPCからSNSに「携帯をなくしました」と投稿したが、実家住まいの直美が家族共用のPCを持ち歩くことは許してもらえず。

3日間経過。

PCでメールをチェックしても誰からも連絡がない。スマホがないと、時間が潰せない。手持ち無沙汰とはこういうときに使うんだ。いや、絶対出てくる。チキもバーガー屋に忘れたけどすぐ戻ったって言ってたし。

家のテレビで映画を見始めたところ、どっぷりハマった。とくに『半裸監督』という映画が面白くて何度も見た。ちょうど映画館で、同じ監督が撮った映画を上映しているという。どうせ暇だし。最新作の『背面監督』を見に行ったら、涙アリ、笑いアリの傑作だ。

映画館を出て、涙を拭くティッシュがほしいと、リュックの奥をあさっていると、トントンと誰かが肩を。

「よければどうぞ。さっきの映画、泣けたでしょ」

顔を上げると、白いタートルネックが良く似合う同い年くらいの青年がハンカチを差し出す。彼も同じ映画を見たのだ。そのまま、ベンチで映画話が盛り上がり、LINEを聞かれた。

「ごめんね、わたしスマホ持ってなくて」

「じゃあハンカチ貸すから、水曜の19時、この映画館の前で返してよ。映画の話、もっとしよ」

帰宅後、もう一度家を大捜索した。「アイフォン探す」の機能は役立たんと怒りながら。しかし、意外になくても困らない、むしろ自分時間が充実して快適になってきていた。

そして借りたハンカチを見つめてほほえむ。なんか幸せ。

4時間の家中大捜索の結果、おばあちゃんの部屋のカーペットの下に挟まっていたスマホ発見。そういや、あの日、ばあちゃんに饅頭買ってきて渡したんだった。ばあちゃんと談話したのを思い出す。

水曜日、映画館へ向かう。

ていねいに洗ったハンカチを彼に返す。

「あ。これいい匂いの柔軟剤。ありがと」

「直美ちゃん、インスタとかやってる?」

「…ううん、もう止めた。インスタよりちゃんと会って話したいから」

ばっちり、彼と仲良くなった。

翌日、ピンポンが鳴ったので出るとチキが立っていた。

「え、直美、携帯持ってるやんか」

「見つかってん! 来てくれたん?」

「SNSの投稿もないし心配したわ。家電から電話くらいしてや」

「ありがと」

なんか泣けてきてハグした。

スマホ中毒にはもうならない。スマホがあってもなくても、なくならない大切なものに気づいた気がした。

【三松さんからのコメント】

電車やカフェなど、ふと周りを見やると、みんなが自分のスマホに目を落としています。LINEを返したり、SNSのタイムラインをチェックしたり、ゲームを楽しんだり。今やスマホは日常になくてはならないもので、‟コミュニケーション=スマホでの返事”となっているんじゃないかと。

スマホは遠距離でも愛を育めるなどのメリットがありますが、反対に即レスを返せなかっただけで、誠意がない、愛が足りない、浮気してるなどの判断をするギクシャクカップルがいるのも事実。

告白もお別れも、スマホで完結というひとがいるのは寂しいです。仕事メールはなる早レスが当たり前でも、プライベートに流れる時間は人それぞれ。ネットのあらゆる媒体から24時間連絡を受け取れる時代。大好きなパートナーの通知ですら辛く感じることもあるでしょう。

ぶれないパートナーシップを築くには、自分にとって必要なコミュニケーションツールは何かを見極める余裕も大事。

感染など心配なことはあるけど、十分気をつけながら、恋人だけじゃなくて、友達にもリアルで会って表情や声のトーンから「あ、今、こんなこと感じてるな」って観察してください。感性が磨かれて、ワンステップ大人の関係に上がれます。

「スマホレスを1か月やってみて。連絡取らなくても辛くないひとがたくさんいるって! 声が聴きたい、会いたいってひとがあぶり出されるぞ。たいして会いたくない彼氏なら別れろ」

三松 真由美恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。

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